TPP協定の発効により、日本に輸入される商品の関税は、最終的に全廃される予定です。関税の全廃までの日程は品目ごとに異なり、即時撤廃、一年ずつ数パーセントずつ、向こう10年かかて撤廃するなど、品目ごとに様々です。そこで、この記事では、TPPにおける関税の削減日程の調べ方についてご紹介していきます。
TPPにおける関税の削減予定の調べ方(譲許)
TPPが発効されると、一部の商品を除き、ほとんどの商品の関税は撤廃されます。しかし、撤廃といっても、すべての商品の関税が協定発効時にすぐに撤廃されるわけではありません。国内産業との兼ね合いにより、即時撤廃、数年後に撤廃、撤廃の除外などがあります。この削減予定を「日本国の譲許(じょうきょ)」といいます。
日本の譲許の内容は、TPP協定の付属書2-Dの「日本国の関税率表」に書かれています。また、この付属書2-Dの内容を正しく読み込むための「一般的注釈」、付属書の内容を補完する付録文書「関税割り当て表」などがあります。
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関税率を調べるには?
TPPにおける関税率表を確認していきましょう! TPPの関税率には、日本側と外国側の2つがあります。外国側の関税率と削減予定を知りたいときは「ワールドタリフ」を使います。一方、日本側の現在の関税率は「ウェブタリフ」。関税の削減予定は「トレードコンパスTPP」下記の「譲許表(じょうきょひょう)」で調べます。調べやすさを考えれば、トレードコンパスTPPの方が便利です。以下は、譲許表での削減日程の調べ方をご紹介していきます。
譲許表による削減日程の調べ方
TPP協定の付属書2-Dの日本国の関税率表を開きます。比較的大きなPDFファイルが、なぜか縦方向に表示されます。このままでは、確認しずらいため「PDFファイルの向きを変更する方法」によって、まずは見やすいように修正します。文章の上に注目します。一年目などの表記があります。
TPP協定は、発効日を一年目、それが最初の三月三十一日まで続くと決められています。すでにご存じの通り、TPP11は、2018年12月30日に発効されるため、一年目は2018年12月30日~翌年3月31日です。以降、4/1日をまたぐときに関税の引き下げが行われます。(日本側のお話)
次に基準税率と実施区分を確認します。基準税率とは、おそらく国定の基本税率かWTO協定税率をさします。つまり、TPPに加盟していない国は、日本と他のEPAを結んでいない。または、特恵関税などの優遇税率が存在しない限り、こちらの基準税率が適用されます。
実施区分とは、関税の引き下げ日程を一言で示すものです。
例えば、下のB16とは、協定発効の16年目の4月1日をもって関税が完全撤廃されます。その他、EIFは、協定発効と同時に関税を撤廃すること。JPRなどは、関税割り当て品であることを示します。各記号がどのような意味を持つのかは、上記でご紹介した「日本国関税率表の一般的注釈」で確認します。
表の左側に注目してみましょう!緑枠の部分が関税率を調べる品目の特徴です。関税率を調べたい商品の特徴を基準にして、最も適切なHSコードを特定していきます。HSコードとは、品名を6桁~9桁の数字で示す物です。下の図で言えば、緑丸の中がそのHSコードに当たります。そして、対象のHSコードがわかったら、視線を右側にずらします。この横ラインが、この商品の関税削減予定です。
横軸を特定したら、次は縦軸(赤枠)を選びます。横軸と縦軸の交点が関税率です。下の図であれば、3年目を経過すると、20.3%の関税率になることがわかります。
関税の下がり方を示す記号の種類
表中の「実施区分」に書かれている記号は、それぞれ下記のような意味を持ちます。
記号 | 削減予定 |
EIF | 発効後、即時撤廃 |
B4、B11など | 発効後、4年目で撤廃。数字は経過年数を表します。 |
JPB×× | 上記と同様 |
JPR2 | 発効後、16年目で9%の関税になります。この場合の数字は、経過年数ではありません。 |
MFN | 輸入申告するときの世界貿易機関税率(WTO) |
TRQ | 関税割当品目(別の資料を読む必要あり) |
JPM | 世界貿易機関の関税割当品目 |
以上、TPPにおける関税率の削減予定の調べ方でした。
まとめ
- TPPにおける日本側の関税率の削減予定は譲許表を頼りにします。
- 譲許表で出てくる言葉の意味は、「一般的注釈」で確認します。
- また、譲許表を補完する付録文書として「関税割当表」があります。JPRなどの記号がでてきたら確認する文章です。
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