この記事は、関税率表の内「基本税率」を説明しています。
関税には、自国のみのルールに基づく「基本税率」と、他国との合意に基づく「協定税率」があります。基本税率は、日本政府だけで決められる税金です。他方、協定税率は世界貿易機関(WTO)で決められているため、日本政府の意向だけでは、変更はできない税率です。
仮に基本税率とWTO税率(WTO加盟国に適用される税金)の両方があるときは、WTO税率を優先的に適用します。そこで、この記事では、基本税率の基本的な知識についてご紹介していきます。
基本税率
関税率表(商品の関税率が掲載されている表)には、基本税率、暫定税率、WTO協定税率、特恵、特別特恵、経済連携協定の6種類があります。今回は、この中の「基本税率」を説明します。
基本税率は、「国定税率」の一部であり、二つの法律(関税率法と関税暫定措置法)を基にして定めています。関税定率法は、特別な事情がない限り長期間にわたり適用する関税率を定めています。
他方、関税暫定措置法は、6種類の関税の内「暫定税率」「特恵税率」「特別特恵」を規定しています。これらは、貿易関係の状況や他国の経済発展によって廃止したり、変更したりすることを前提とする関税率です。「暫定(ざんてい)」の名称には、”変更ありき”の税率であることを意味します。
基本税率に国の考えが表れている
関税の説明をするとき、日本国内で商売をしている人をまとめて「国内産業」と表現します。基本的に国内産業は、海外から安い商品が入ることを望みません。特に自分が扱っている商品とバッティングするときは、抗議などをして「商品に対する関税率の引き上げ」などを求めます。
基本的に世界各国の「国内産業の声」は、各国政府の姿勢を変える大きな力を持ちます。そのため、世界的に統一したルールを設けていないと、世界中の国で自国の産業を保護するため、自由に高い関税をかけてしまいます。
例えば、自国にある自動車産業の求めによって、海外からくる自動車に対して100%の関税をかけると、100万の自動車価格に、100万円の関税が掛かります。もし、このような横暴的な関税を世界中の国が自由に設定してしまうと、世界経済における「自由な貿易取引」ができなくなります。
これを防ぐために「世界貿易機関」では、貿易に関するルールを定めて、各国政府がこのルールに基づいて行動することを約束しています。
日本は世界貿易機関に加盟しています。したがって、日本政府も他国の商品に対して、好き勝手に関税を設定できません。一方、基本税率は、日本政府が独自に設定するため「日本の国内産業の意見」を反映しています。
基本的に関税は、国際競争力がない産業は、高い関税率をかけます。つまり、基本税率は日本国内産業の国際競争力を知る一つの目安であるとも言えます。
以下の関税率表をご覧ください。ここに「基本税率」と「WTO協定税率」の二つがあります。WTO協定税率とは、世界貿易機関に加盟している国にかけられる関税率です。
オリーブの関税は、基本税率が5%、WTO協定が3%です。この場合、基本税率の5%が日本が独自の関税率。一方、WTO協定の3%は、WTOのルールに基づいて設定されている関税率です。
関税率は、一つの商品に対して複数設定されていることが普通です。これらの関税の中から「商品に関する情報」と照らし合わせて、最適な関税率を一つだけ適用します。仮に基本税率とWTO協定が両方とも設定されているならWTO協定税率を優先して適用します。
基本税率と協定税率、暫定税率の関係のおさらい
適用する関税率には、優先順位があります。基本税率、協定税率、暫定税率は、次の順序です。
- 協定税率
- 暫定税率
- 基本税率
まとめ
基本税率は、日本国内にある産業界の意見をダイレクトに反映しているものです。しかし、WTO加盟国が多数を占める世界においては、基本税率の関税を適用することはありません。ほぼWTO協定税率、または特恵関税を適用します。また、基本税率は、6種類ある関税のうち、最も適用順位が低い税率です。最後に適用される物だとお考えください。
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