2017年6月、兵庫県尼崎市で初めて確認された特定外来生物「ヒアリ(Solenopsis invicta)」は、全国各地で発見が相次ぎました。特に、中国からの輸入コンテナを介しての侵入が多く報告されており、国際物流に携わる事業者の皆様にとっても他人事ではありません。
2025年、ヒアリ事件のその後
ヒアリとは?
ヒアリは、南米原産のアリで、刺されると火傷のような激しい痛みを伴うことから「火蟻」と呼ばれます。体長は2.5mmから6mmで、赤茶色の光沢を持ち、腹部はやや暗色です。攻撃性が高く、巣を刺激すると集団で襲ってきます。刺されると、強くアレルギー反応(アナフィラキシーショック)を引き起こすのが特徴です。
日本国内でのヒアリの発見状況(2025年現在)
2017年の初確認以降、全国18都道府県で135件のヒアリ発見事例が報告されています。特に港湾地域やコンテナヤードでの発見が多く、輸入コンテナを介した侵入が主な原因と考えられています。
例えば、2024年5月には横浜港本牧ふ頭で1,000匹以上のヒアリが確認されました。
2025年現在でも日本国内ではヒアリは確認されています。環境省は春から秋にかけて国内の港湾施設の定期的な調査を継続し、2025年1月には神奈川県川崎市でヒアリ講習会を開催しました。また、自治体レベルでの注意喚起が強化され、特に港湾周辺の地域住民に対しても対策が進められています。
世界各地で拡大するヒアリの脅威
ヒアリは日本だけでなく、世界各地で問題視されています。その影響は人体の健康被害だけでなく、農業やインフラ、生態系にまで及びます。
アメリカ合衆国における被害
ヒアリは1940年代にアメリカ合衆国に侵入し、現在では南部を中心に広範囲に定着しています。同国では、年間約1,400万人がヒアリに刺されており、農業被害や電力設備への影響も深刻です。2006年時点で、被害額は年間60億ドル(約6,600億円)と報告されています。
台湾における状況
台湾では、農地や都市部でヒアリの被害が報告されています。特に、農作物への被害や人々の生活圏への侵入が問題視されています。幸いなことに、台湾ではこれまでにヒアリによる死亡例は報告されていません。
オーストラリアでの対策と課題
オーストラリアでもヒアリの侵入が確認されています。しかし、広大な国土と多様な生態系があるため、ヒアリの完全な根絶は難しい見通しです。
輸入事業者としてできること
少しでもヒアリの侵入リスクを低減するには、どうしたらいいのでしょうか? できる対策例は、次の通りです。
- コンテナの点検:輸入コンテナの開封時には、ヒアリの存在を確認しましょう。特に、コンテナの隅や荷物の間に注意が必要です。
- 輸入時の殺虫対策:可能であれば、中国の積出港で殺虫処理を依頼する、もしくは日本到着後に害虫駆除業者へ依頼しましょう。
- 従業員教育:ヒアリの特徴や対処法を従業員に周知し、発見時の迅速な対応を可能にする体制を整える。
- 専門機関への通報:ヒアリを発見した場合、環境省のヒアリ相談ダイヤル(0570-046-110)や地元の環境部門に連絡し、適切な指示を仰ぎましょう。
- 取引先との連携:海外のサプライヤーと連携することで、コンテナ内への侵入リスクを小さくできます。
まとめ
- ヒアリは中国からの輸入コンテナを介して日本に侵入するリスクが高い。
- 2025年現在、引き続き日本国内でもヒアリの発見が増加している。
- 世界各地でヒアリの被害が広がっており、アメリカでは年間約1,400万人が刺され、被害額は60億ドルに上る。
- 輸入事業者として、コンテナの点検や従業員教育、輸入時の殺虫対策を行うことで、侵入リスクを低減できる。
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