評価申告と課税価格 輸入の税金は何にかかるの?

評価申告 輸入ビジネス
この記事は約11分で読めます。

日本国内に商品を輸入するときは、商品ごとに決めらている関税と消費税を支払う必要があります。輸入ビジネスをされている方は、ご存の方も多いでしょう。ところで、この関税などは、何に対して発生するのでしょうか? 商品の価格? それとも別の何かでしょうか? そこで、この記事では、関税をかける対象の価格と「評価申告」についてご紹介していきます。

評価申告

評価申告とは?

関税は、商品の原産国や品目の種類によって決められている輸入税の一種です。輸入者は、この関税と消費税を支払うことで、初めて日本国内に貨物を輸入できます。

さて、輸入ビジネスをするときは「インボイス」と呼ばれる書類を扱います。インボイスとは、商品ごとの価格などを示す書類です。「外国の○○さんから、○○を○○円で購入しました~」ということを税関に対して証明するために使います。関税や消費税は、このインボイスの価格を含めて、所定の率をかけて算出します。この関税率をかける対象の価格を「課税価格」と言います。

しかし、ここで重要なポイントがあります。実は、課税価格=インボイスの金額ではありません。課税価格は、インボイスの価格に必要な諸費用を加える必要があります。

インボイスの金額+加算すべき費用=課税価格

本日は、この加算すべき費用(通称・評価)を詳しくご紹介していきます。

課税価格と評価の関係

まずは課税価格と評価の関係について確認していきましょう!

関税定率法4条によると、課税価格とは、

1.買い手から売り手
2.売り手のために

輸入貨物に対して

1.現実に支払った。 又は
2.支払われる予定の費用

と決められています。代表的な物が送料。これ以外に加えるべき費用のことを「評価」ともいいます。そして、輸入者は、商品価格に評価などを加えた価格を輸入申告価格として算出します。これを「評価申告」と言います。特に海外の工場に「日本の資材を送っている」「金型を送っている」「第三の仲介者を挟んで買い付けをしている」などは、この評価申告が必要なため注意が必要です。

評価漏れの輸入申告=税関の事後調査などで追徴課税される可能性がある。

課税価格 評価申告

少し説明が難しい部分もありますが、まずは以下3つの大原則を覚えましょう。

  • 課税価格とは関税率をかける価格
  • 課税価格=インボイスの費用+加算すべき費用
  • 加算するべき費用のことを「評価」ともいう。

評価の意味とは?

評価とは、課税価格に含めるべき費用の合計です。輸入者は、貨物の価格と評価(運送代金など)を合計した価格(課税価格)に所定の関税率をかけることで、納めるべき諸税がわかります。では、結局の所、評価とは、どのような意味なのでしょうか? これは次のように理解するとわかりやすいです。

「商品が日本に到着するまでのすべての諸費用を含めた価格=その商品の価値」

例えば、日本国内で商品を製造しているとしましょう。その商品がコンビニで販売されるときは、どのような費用が含まれるのでしょうか?

少し考えただけでも…

  • メーカーさんの製造原価と利益
  • パッケージ屋さんの利益
  • 店舗に運ぶための運送代金
  • コンビニ本部の利益
  • コンビニオーナーの利益
  • その他の経費
  • アルバイト従業員の人件費

など、様々な物があります。その上で、私たちは、一つ200円や300円の商品を購入していますね!つまり、それらの中間的な費用をすべて含んだ価格が、その商品の価値だというこです。実は、輸入価格もこの考え方と同じです。

外国から商品を運ぶには、船や航空機などを使う必要があります。もし、製造するときに買い手側から何らかの提供があり、その分が輸入の取引価格から引かれている場合は、その貨物本来の価格を正しく計算できません。これは、日本の国内産業がフェアな環境下で競争をする上でも重要です。

「輸入品の価格は、日本港に到着するまでのすべての諸費用を加算した金額とする」これは、輸送方法に関わらず同じです。

  • 船便であるなら日本の港に着くまでの費用を加えた物
  • 航空便であるなら日本の空港につくまでの費用を加えた物
  • 商売目的の手荷物の場合も同じく日本の空港につくまでの費用を加えた物

そして、既述の通り、加算するべき費用は「日本の港または空港までのすべての費用」と決められているため、国際運送費や保険代金以外にも加えるべき費用があります。それらを合わせて「評価」といいます。評価には、個別評価と包括評価の2種類があります。また「按分」と呼ばれる方法で課税価格を算出する必要もあります。

何の評価を計上するかによって、必要な書類もかわってきます。

例えば、一般的な輸入申告であれば…

などの書類を出すだけで課税価格を決定できます。上記の場合、アライバルノーティスや海上保険証により、海外と日本との運送費用と保険代金を証明できます。アパレルビジネスを展開する方は「暫定八条」により、日本から海外工場に送付する「副資材」の価格を証明する書類が必要です。このあたりはケースごとに異なるため、税関に相談をしましょう。

他の例:日本から海外に「金型」を無償で提供して商品を作らせた。それを日本に輸入した。これも本来は、海外工場が自ら調達して用意した上で製造する物であるため、課税価格は、日本から無償提供した金型部分の価格も含めて計算します。(本来、この金型がなければ、海外工場では製造できないわけです。だからこそ、この金型部分の価値も商品の価値として含めるべきとの考えです)

課税価格を決めるときの考え方

課税価格の算出は、本来、商品が持っている価値を正しく決定することでもあります。これにより、関税と消費税などを正しく計算できます。では、さらに具体的に加えるべき費用を確認していきましょう。課税価格に含める費用は、関税定率法4条と関税定率法施行令に記載されています。関税定率法と施行令は、法と政令の関係にあり、定率法で大枠の枠組み、施行令で細かい規定しています。

課税価格を決めるときは、大きく分けて次の2つがあります。

  1. 原則的な課税価格の決定方法
  2. 原則的な課税価格の決定方法以外

この2つの違いは、後述する「特殊な輸入取引をしているのか?」または、「輸入取引には該当しない取引」などにあります。原則的な課税価格の決定方法を詳しく見ていきましょう。

1.原則的な課税価格の決定方法

通常の輸入形態の場合、商品代金の他、次に記載する費用を加えた物を「課税価格」とします。もちろん、ご自身が当てはまる物のみを計上します。

あなたは、買い手(日本側の輸入者)の立場であることを前提としています。

あなたが…….

  1. 国際輸送代金+保険代金
  2. 買うときに手数料・仲介料(買い手の代理人は除く=ブローカーのような存在)を支払っている。
  3. 海外工場で製造する貨物の容器、包装を提供している(間接や直接を問わない)
  4. 海外工場で製造する貨物の資材や役務(直接や間接を問わない、)を提供している。
  5. 海外工場で製造する貨物の材料や部品の提供している。
  6. 海外工場で製造する貨物を生産するときに使う工具や金型を提供している。
  7. 海外工場で製造するときに消費された技術、設計、考案、工芸、意匠(日本以外で開発されたものに限定)を提供している。
  8. 輸入貨物にかかる特許権や商標権、実用新案権、著作権及び著作隣接権、ロイヤルティ又はライセンス料などのライセンス使用料(買い手が負担する物)を負担している。
  9. 買い手(輸入者)が輸入貨物を使用することで「売り手の利益につながる物」

などを支払っているときは、課税価格に含めます。

例えば

  • 日本から無償で副資材を送り、それを現地の工場で完成品に使い仕上げる。
  • 日本から金型を提供して、現地の工場で輸入品を製造している。
  • 海外の現地で資材を調達して、輸入品を製造する工場に無償で提供している(間接)
  • 本来、海外工場がライセンス料を支払って製造しなければならないのに、そのライセンス料を買い手が払っているなど
  • 海外の工場で生産するときの人件費を負担しているなど。

共通すること

輸入品の工場に対して、あなたが無償・間接・直接などを問わず、輸入品を生産するときに提供した様々な物品や役務は、すべて日本に輸入するときの課税価格に計上します。

では、逆に含まない費用は、どのような物があるのでしょうか?それは、次の3つです。

  1. 輸入貨物の据付け、組立て、整備又は技術指導の費用
  2. 輸入港到着後の運送、保険代金
  3. 関税や消費税

課税価格に含めるべき費用は「日本の輸入港到着まで」と決められているため、インボイスに「輸入港到着後」の諸費用が含まれている場合は、それを除外できます。

例えば、インコタームズを「DDP」にすると、日本の輸入港到着後の国内運送費や様々な諸費用に加えて、日本側の関税や消費税がインボイスに含まれています。よって、この場合は、インボイスからそれらの諸費用を除いた部分を課税価格にします。但し、日本港以降の費用を明らかにできない場合は、この原則的な課税価格の決定方法の利用はできません。

1.原則的な課税価格の決定方法以外の方法

次に原則的な決定方法では、課税価格を決められない場合を確認していきましょう。次の2つのケースがそれにあたります。

1.輸入取引に関して特別な事情がある場合
2.「輸入取引に該当しない」場合

1.輸入取引に関して特別な事情がある場合

1.買い手による輸入貨物の処分や使用に制限(販売地域の限定は除く)
2.輸入貨物の取引価格が別の取引に依存している場合
3.売り手と買い手との間に「特殊関係」があり、輸入貨物の取引価格に影響を与えているとき

特殊関係とは?

特殊関係とは、買い手と売り手の間に、正常な輸入取引価格を実現できないような要素が含まれている関係をさします。

例えば、アメリカにいる親と日本の子供が取引をするケースです。アメリカの親が「子供向けの輸出だから、本来100ドルの所、20ドルでいいや~」と、本来の取引価格ではない価格で輸出をするケースです。このような親族関係の他、次のようなケースも特殊関係があるとみなされます。

・売り手と買い手が共同経営者
・一方が他方の使用者
・一方が議決権がある株式の5%以上を所持・管理している
・一方が他方を支配している(直接・間接問わず)
・売り手と買い手のどちらも第三者の支配下にあるとき(この逆もあり)
・売り手と買い手が親族関係にある

委託取引をしている場合はどうなる?

例えば、以下のような「委託」と「受託」の関係にある場合の課税価格は次の通りです。

・委託者→受託者
・委託者が原料や材料を提供
・委託者が提供する原料を外国に送付して加工又は組み立てをする。
・最終的には、完成品を委託者が取得する場合

課税価格 委託生産の場合

2.「輸入取引ではない」ケース

そもそも輸入取引の定義を満たさない場合もあります。関税定率法4条によると、輸入取引の定義を除外する物として「買手が本邦に住所、居所、本店、支店、事務所、事業所その他これらに準ずるものを有しない者であるものを除く。」とされています。

輸入貨物の課税標準となる価格(以下「課税価格」という。)は、次項本文の規定の適用がある場合を除き、当該輸入貨物に係る輸入取引(買手が本邦に住所、居所、本店、支店、事務所、事業所その他これらに準ずるものを有しない者であるものを除く。以下同じ。)がされた場合において、当該輸入取引に関し買手により売手に対し又は売手のために、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格

引用元:税関

輸入取引ではない具体例

  • 無償貨物
  • 委託販売の輸入貨物
  • 売手が税関事務管理人を立てて輸入した物
  • 賃貸借契約に基づき輸入される貨物
  • 輸出者の所有権が存在し続ける貨物
  • 同じ法人格の取引(支店)

課税価格を決める方法

上記、1や2に該当する場合は、課税価格は、次の手順により決定します。1から検討を開始して、課税価格を決定できるまで続けます。例:1で検討→×→2で検討→〇など。

  1. 同種又は類似の貨物の取引価格
  2. 国内販売価格からの課税価格の決定
  3. 製造原価からの積み上げによる課税価格の決定

1.同種又は類似の貨物の取引価格

輸入貨物と同種や類自信×輸入申告日に近い物を基に価格を決定します。(輸出国が同じことが条件)
同じ取引段階にある価格を参考にする。

2.国内販売価格からの課税価格の決定

日本国内での同種の貨物の販売価格から課税価格を算出します。この場合は、日本国内の販売価格から、日本の輸入港到着以降に加算された費用を引いて、日本の港での価格(CIF)にします。

主な国内諸費用の例:

1.同じ輸入品を日本国内で販売した場合の手数料や利益、一般経費
2.輸入港到着後から国内販売するまでの日本国内の配送費用
3.輸入時に課された関税や消費税
4.輸入後、日本国内で加工等をおこなったときの手数料

3.製造原価からの積み上げによる課税価格の決定

国内価格からも算出できないときは、輸出国の製造原価から日本港での輸入価格を決定します。具体的には、輸出国の製造原価の他、輸出国の運送、利潤、一般経費、国際輸送価格などを加えた価格を日本の港での価格=CIF価格(課税価格)とします。

以上、課税価格と評価申告についてでした。

あなたの取引は、評価申告の対象かをチェック

あなたの輸入取引が評価申告の対象であるのか?を確認しよう。

  • 親族など、特殊な関係にある相手との取引でないか?
  • そもそも輸入取引の定義に該当するのか?
  • 売り手に何らの物を送付していないのか?

例:副資材や役務の提供、ライセンス使用料など。

上記のいずれかに該当する場合は、課税価格を検討する上で、特別な基準により課税価格を決めたり、使った費用等を計上したりする必要があります。税関の事後調査では、この「評価漏れ」による追徴課税等が多いです。気を付けましょう

詳細:課税価格の決定原則

まとめ

  • 関税は「課税価格」に基づきかかる。
  • 課税価格は、商品の価格と評価の合計
  • 評価とは、関税定率法4条に規定されている「加算するべき費用」
  • 加算するべき費用には、海上運賃の他、各種手数料などがある。
  • 輸入者は評価漏れが発生しないように、随時取引内容を確認する必要がある。
FavoriteLoadingこの記事をお気に入りに登録

【HUNADE公式パートナー】

転送サービス

[スポンサードリンク]


タイトルとURLをコピーしました