海外へのお土産として「果物」を持ち出したいとき、どのような手続きが必要なのでしょうか。果物というと何かと難しい手続きが必要な気がします。実は、海外へ果物を持ち出す場合は「持ち出す国」「持ち出す果物」によって細かくルールがあります。
例えば、アメリカ、オーストラリアへの持ち出しは、精米と緑茶のみが許可されています。これ以外の物については持ち出すことすらできません。他方、タイであれば輸出検査に合格さえすれば「りんごや日本梨」など、およそ14種類の果物を持ち出すことができます。これらを見てもわかるとおり、持ち出す国、持ち出す果物によって扱い方が大きく異なります。
この記事では、日本の果物を海外へ持ち出す場合に確認すべき「輸出ができる国」「輸出ができる果物」などを国ごとにご紹介をします。
日本の果物を海外へ持ち出すには?
日本の果物を海外へ持ち出す場合は、以下の三点を確認するようにします。
1.持ち出すことができる「国」なのか。
訪問予定の国へ果物を持ち込めない可能性も十分にあります。具体的な果物の検討に入る前に、そもそもとして果物を持ち込むことができるのかを確認します。A国では持ち込み可能な品目であってもB国では禁止されている可能性もあります。
2.持ち出せる「果物」なのか。
持ち込むことができる国である場合、次に「持ち出せる果物なのか」を検討します。A国には果物を持ち込められたとしても「梨」や「スイカ」などの果物の種類によって持ち込みが禁止されている場合があります。
3.持ち出すには輸出検査が必要なのか。
最後に持ち出せる場合であっても日本における「輸出検査の合格」が条件になっている物があります。その場合は、時間的な余裕をもって空港へ行き、空港内で「輸出検査(植物防疫検査)」を受けて合格する必要があります。
これら三点と植物防疫所が公開している「輸出入条件の早見表」を照らし合わせて確認することにより、海外へ果物を持ち出すことができるのかがわかります。
それでは、以下のような条件の場合、どのような手続きの流れになるのかをご紹介します。
持ち出す先の国:タイランド
持ち出す品:トウガラシ
この場合、早見表を確認すると「Q品目」、つまり輸出検査を受けた後に発送が可能な商品であることがわかります。輸出検査とは、成田空港や関西空港に設置されている「輸出検疫カウンター」で行われる目視検査のことをいいます。出国の当日、時間に余裕をもって空港へ出向き、輸出検疫後、出国する流れです。
以下に具体的な流れをご紹介しておきます。
輸出検査~登場までの流れ
それでは実際に空港へ行った際の具体的な流れについてご紹介します。以下の流れにより、空港到着~搭乗が完了します。
1.空港にある輸出植物検疫カウンターに出向きます。
事前に輸出条件早見表などを確認しておきます。少しでも心配であれば、最寄りの植物防疫所の「輸出検疫窓口」へ電話で確認されることをおすすめします。
植物検疫カウンターでは…..
1-1.輸出検査申請書を記入します。
1-2.輸出検査を受けます。
1-3.植物検疫証明書が発行されます。
2.搭乗手続き
3.税関手続き
4.出国審査
5.搭乗
上記の1~5が空港内での手続きです。それでは、海外へ持ち出すことができる果物、持ち出し先の国などを以下の表でご紹介します。
海外へ持ち出すことができる果物一覧表
こちらの表を見るだけで持ち出しができる国、果物(野菜含む)、輸出検疫の有無を確認できます。赤文字なっている物は、別に何らかの規制がある品目です。
国/地域 | 輸出検査不要で持ち出しができる品目 | 輸出検査+合格で持ち出し可能な品目 |
台湾 | 精米、玄米、緑茶 | キャベツ、ネギ、ミョウガ、レタス、カンショ、ショウガ、ダイコン、タマネギ、ナガイモ、ニンジン、ワサビ、精米、玄米、緑茶 |
香港 シンガポール アラブ首長国連邦 |
カキ、キウイフルーツ、サクランボ、日本ナシ、西洋ナシ、ビワ、ブドウ、ウンシュミカン、モモ、りんご、イチゴ、かぼちゃ、きゅうり、スイカ、トウガラシ、トマト、ピーマン、メロン キャベツ、ネギ、ミョウガ、レタス、ショウガ、ダイコン、タマネギ、ナガイモ、ニンジン、ワサビ、精米、玄米、緑茶 |
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マレーシア |
カキ、キウイフルーツ、サクランボ、日本ナシ、西洋ナシ、ビワ、ブドウ、モモ、りんご、イチゴ、かぼちゃ、きゅうり、スイカ、トウガラシ、トマト、ピーマン、メロン キャベツ、ネギ、ミョウガ、レタス、ショウガ、ダイコン、タマネギ、ナガイモ、ニンジン、ワサビ、精米、玄米、緑茶 |
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タイ |
カキ、キウイフルーツ、サクランボ、日本ナシ、西洋ナシ、ブドウ、モモ、りんご、イチゴ、かぼちゃ、きゅうり、スイカ、トウガラシ、トマト、ピーマン、メロン キャベツ、ネギ、ミョウガ、レタス、ショウガ、ダイコン、タマネギ、ナガイモ、ニンジン、ワサビ、精米、玄米、緑茶 |
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インドネシア |
カキ、キウイフルーツ、サクランボ、日本ナシ、西洋ナシ、ビワ、ブドウ、ウンシュミカン、モモ、りんご、イチゴ、かぼちゃ、きゅうり、スイカ、トウガラシ、トマト、ポーマン、メロン キャベツ、ネギ、ミョウガ、レタス、ショウガ、ダイコン、タマネギ、ナガイモ、ニンジン、ワサビ、精米、玄米、緑茶 |
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欧州連合(EU) |
キウイフルーツビワ、ブドウ、イチゴ、かぼちゃ、きゅうり、スイカ、トマト、メロン キャベツ、ネギ、ミョウガ、レタス、ショウガ、ダイコン、タマネギ、ナガイモ、ニンジン、ワサビ、精米、玄米、緑茶 |
カキ、サクランボ、日本ナシ、西洋ナシ、ウンシュミカン、モモ、りんご、トウガラシ、ピーマン
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スイス |
キウイフルーツ、ビワ、ブドウ、イチゴ、かぼちゃ、きゅうり、スイカ、トウガラシ、トマト、ピーマン、メロン キャベツ、ネギ、ミョウガ、レタス、ショウガ、ダイコン、タマネギ、ナガイモ、ニンジン、ワサビ、精米、玄米、緑茶 |
カキ、日本なし、西洋ナシ、ウンシュウミカン、りんご |
ロシア |
カキ、キウイフルーツ、サクランボ、日本ナシ、西洋ナシ、ビワ、ブドウ、ウンシュミカン、モモ、りんご、イチゴ、かぼちゃ、きゅうり、スイカ、トウガラシ、トマト、ピーマン、メロン キャベツ、ネギ、ミョウガ、レタス、ショウガ、ダイコン、タマネギ、ナガイモ、ニンジン、ワサビ、精米、玄米、緑茶 |
|
米国 オーストラリア ニュージーランド |
ショウガ、精米、玄米、緑茶 | |
カナダ |
カキ、キウイフルーツ、ビワ、ウンシュミカン、かぼちゃ、きゅうり、スイカ、メロン、キャベツ、ネギ、 カンショ、ショウガ、ダイコン、ニンジン、ワサビ、精米、玄米、緑茶 |
ブドウ、ピーマン、タマネギ、トウガラシ、ネギ |
ブラジル | 精米、緑茶 | |
ノルウェー |
カキ、キウイフルーツ、ビワ、かぼちゃ、きゅうり、スイカ、トウガラシ、ピーマン キャベツ、ネギ、ミョウガ、ショウガ、ダイコン、ナガイモ、ニンジン、ワサビ、精米、玄米、緑茶 |
サクランボ、日本ナシ、西洋ナシ、ブドウ、ウンシュミカン、モモ、りんご、イチゴ、トウガラシ、トマト、メロン レタス、タマネギ |
チリ | 精米、緑茶 | |
中国 | 緑茶 | |
韓国 | カキ、キウイフルーツ、さくらんぼ、ブドウ、イチゴ、カボチャ、トマト、メロン、キャベツ、ネギ、ミョウガ、レタス、ショウガ、ダイコン、タマネギ、ニンジン、ワサビ、精米、玄米、緑茶 | ウンシュウミカン、ナガイモ |
まとめ
日本の果物や野菜は、高品質であり、味だけでいうとかなりの競争力を持っています。問題はコストであり、これを解決すれば、大きな飛躍ができる産業であると言えます。今回の記事では、日本の農産物をお土産として海外へ持ち出す方法をご紹介しました。持ち出せる国、果物は細かいルールがあり、必ず早見表などの資料を事前に読み込み必要があります。国によっては、または果物によっては、別の規制を受けている可能性も十分にあるからです。
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