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CISG適用の可否を争った中国判例|CITIC v 北山事件(上海二中院・2006年)と日本未加盟期の国際売買

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中国売主×日本買主「CITIC(中信) v. 北山」判決

  • CITIC v 北山事件(2006, 上海二中院)は、日本未加盟期にCISGの適用が争点となった国際売買紛争。
  • 判決全文未公開で詳細は不明だが、化学品2,000トン契約を巡りCISG適用の可否が審理された。
  • 契約書にCISGの適用可否・通知・検査・利息条項を明記することで予測可能性を高められる。

概要

中国の売主 CITIC International Business & Trading Co., Ltd.(中信国際商業貿易有限公司) と、日本の買主 Hokusan Co., Ltd.(北山株式会社) の間で発生した国際売買紛争について、上海市第二中級人民法院は2006年5月30日に審理を行い、CISG(国際物品売買契約に関する国際連合条約=ウィーン売買条約)を検討したとCISG-onlineに記録されています[F1]。

当時、中国はCISG締約国でしたが、日本は未加盟国(日本の加入は2008年7月1日、発効は2009年8月1日)でした[F2]。そのため、この事案は「双方が締約国に所在する典型例」ではありません。中国裁判所が自国の国際私法に基づいてCISG適用を判断した可能性があります。ただし、判決全文は公開されておらず、具体的な適用根拠は不明(要確認)です。

事案の背景

本件は、化学品(Chemical goods)2,000トンの売買契約に関する国際取引紛争としてCISG-onlineに記録されています[F3]。ただし、数量や品目の詳細が判決文で直接確認されたわけではなく、不明の部分が多いです。

  • 裁判所:上海市第二中級人民法院(Shanghai No.2 Intermediate People’s Court)[F1]
  • 事件番号:(2005)沪二中民五(商)初字第102号[F1]
  • 言い渡し日:2006年5月30日[F1]
  • 取引の性質:国際物品売買(中国の売主 × 日本の買主)[F1]

判決理由(CISG適用の枠組み)

中国は1988年にCISGへ加盟しましたが、その際に第95条(Art.95=1(1)(b)の不拘束宣言)を行っています。そのため、中国の裁判所は通常、CISG第1条1項(a)(当事者双方が契約時点で異なる締約国に所在する場合)を根拠にCISGを適用します[F2・F4・F5]。

本件では、日本が当時CISG未加盟国であったため、CISGをどの法理に基づいて適用したかは不明です。結論として、本件の勝敗や金額、適用された具体的条文(例:Art.53=代金支払義務、Art.78=利息)などの詳細は現時点でも未確認です。

なぜトラブルが生じたのか?

本件は 化学品2,000トン という大規模契約であり、数量・品質・引渡条件の管理が難しかった点が特徴的です。ただし、具体的なトラブルの内容は判決文が未公開のため不明です。

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1.条約適用条項(CISG Clause)の明記

当事者双方がCISG締約国に所在する場合、特に中国のようにArt.95宣言下にある法域では、CISGの適用が原則です。そのため、契約書に「全面適用する/排除する/一部のみ適用する」という方針を必ず明記すべきです[F2・F5]。

2.通知・検査・品質条項の具体化

CISGの規定する通知義務(Notice)や検査(Examination)は、契約で詳細に上書きすることができます。数量・品質の検収方法、期限、証拠化の手段(検査報告書や第三者による検定)を契約条項として定めることで、紛争を予防できます[F8]。

3.利息(Interest=Art.78)と遅延損害の取り扱い

支払遅延が発生した場合に備え、利息率・計算方法・通貨を契約に明示することが必要です。実務的には、中国の裁判例でArt.78に基づく利息付与が広く認められており、事前に利率を合意しておく方が安全です[F7]。

4.証拠の同一化

船積書類(B/L、CI、PL、検査証)の発行主体・名義・発行日をINCOTERMS条件と突き合わせ、数量・品質・危険移転のタイミングを明確にします。特に化学品2,000トンという大口契約では、これらを文書で一本化しておくことが必要です[F3]。

💡インサイト:貿易実務者の学び

本件のポイントは、「裁判地が中国であっても、当事者双方がCISG締約国なら条約の適用が優先される」という一般原則です。ただし、日本は2009年8月1日以前は未加盟であったため、当時の契約においてはCISGの適用可否は裁判所の判断や国際私法に委ねられていました。

契約書にCISGの適用可否や範囲を明記し、通知・検査・利息などの条項を盛り込むことで、紛争時の予測可能性が高まります[F2・F5]。

要点まとめ

  • 日本は2006年時点でCISG未加盟(加入2008年7月1日、発効2009年8月1日)[F2]
  • 本件の裁判所・日付・事件番号は確定(上海市第二中級人民法院/2006-05-30/(2005) 沪二中民五(商)初字第102号)[F1]
  • 判決全文は公開されておらず、勝敗・金額・条文適用は【不明(要確認)】
  • 中国はArt.95宣言国であり、Art.1(1)(b)は裁判所に拘束力を持たない[F2]

※本記事は法律的助言ではなく、貿易実務の参考情報です。

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