「HSコードがわからない!」「一体、輸入のときに、どれだけの関税がかかるのか?」
商品に対する所属(HSコード)や関税率を知りたいときは、税関が提供する「事前教示制度」が便利です。そもそも輸入するときにかかる関税率は、「○○ショップから購入するから○○%」や「○○国から輸入するから○○%」と一律に決められているわけではありません。
- 輸入目的
- 輸入する国
- 商品内容
などによって、細かく決められています。単純に「○○から輸入するから○○%」と決まるのではなく、いくつかの条件の結果、支払うべき関税が決まります。
日本では、この条件を「ウェブタリフ」と呼ばれる関税率表の中にすべて記載しています。この中には、HSコードと呼ばれる数字と関税率があり、およそ10000にも及ぶ品目があります。つまり、あなたの輸入する商品は「何パーセントの関税なのか?」を調べるときは、その商品がどこに所属を(HSコード)ウエブタリフなど突き止める必要があります。多数の品目から最も適切な商品を選ぶ必要があるため、非常に大変です。
このようなときに便利なのが「事前教示制度(じぜんきょうじせいど)」です。
事前教示制度とは、輸入する商品の所属と関税率を「事前」に問い合わせができる仕組みです。この事前教示制度を活用することで、輸入時における関税率を確定させられるため、特定ミスによる関税率の納付が多くなるなどのリスクを小さくできます。この記事では、この事前教示制度の基本的な仕組みをご紹介していきます。
関連記事:個人輸入の関税計算ツール、輸入ビジネスの関税計算ツール
輸入する商品のHSコード(関税率)を調べる方法
海外から商品を輸入する場合は「その商品の関税率は何パーセントなのか?」を事前に理解したいですね。日本へ商品を輸入する場合の関税率(HSコードの特定)は、税関の「実行関税率表」で調べます。実行関税率表(WEBタリフ)は、およそ10000物品目と関税率を一覧で記載する表です。あなたがどこかの国から商品を輸入するときは、このウェブタリフに記載されている品目から最も適切な物を選び出し、関税率を特定する必要があります。
もし、海外通販による関税率を知りたいときは「簡易税率」の記事をご確認ください。また、海外旅行時に持ち帰る貨物は「海外旅行者の関税率」などが適用されます。いわゆる海外通販で購入した商品の分類は、各国際空港の近くにある「税関外郵出張所」が担当してます。
およそ10000もの品目から適切な分類項目の商品を見つける必要がある。ここで特定ミスをすると、支払う関税率が変わり、事後的な追徴課税の可能性がある。
商品の関税は「実行関税率表」で調べられる。ただし……
商品の分類および関税率は、ウェブタリフを使えば、誰でもできます。ただし、その特定が「正しくできるのか?」は別のお話です。下の図をご覧ください。こちらがウェブタリフです。
例えば、あなたは、ボールペンを輸入するにあたり関税率を調べたいとしましょう。この場合、画面の左側にある「ボールペン」の中から最も適切な一つを選びます。ボールペンの中にも「軸またはキャップ….」という表記の物と「その他のもの」がありますね? もちろん、ボールペンとフェルトペンの違いも明確です。
次に右側を見てみましょう。国が書かれていますね? この商品に限って言うと、国ごとの関税率の差はそこまでありません。ただ、物によっては、生産国ごとに全く違う関税率が設定されているため注意が必要です。これが「国による関税差」です。つまり、あなたが「どこの国から何を輸入するのか?」を明らかにして、その条件から最適な物を特定します。口で言うのは簡単ですが、実際は、非常に難しく感じられることが多いです。
間違った特定をするとどうなるの?
なぜ、ここまで商品の所属が重要なのでしょうか? この理由は、最終的にあなたが支払うべき関税額が大きく関係するからです。
例えば、商品A100万円の物を輸入するとしましょう。当初、この商品Aの所属は、関税率が5%の所であるとして関税額を計算したとします。この場合、納めるべき関税額は、100万円の5%で5万円です。仮にこの商品Aの所属が本当は、関税率が10%の所だとしたらいかがでしょうか?支払うべき関税額は、10万円です。
- 税率5%の所に所属するとき→5万円
- 税率10%の所に所属するとき→10万円
つまり、同じ商品を輸入するとしても、それが「どこの所属の商品なのか?」によって、支払うべき関税額が変わります。このとき、本来、支払うべき関税額よりも低く申告していたときは、過少申告加算税や重加算税と呼ばれるペナルティ金がかかることもあります。よって、あなたの輸入する商品が「どこのHSコードに該当するのか?」を調べることは非常に重要です。
税関職員の見解も変わる可能性あり!
商品の分類違いのリスクは、個人のミスに限りません。実は輸入書類を調べる税関職員によっても見解に相違が生まれることもあります。
例えば、事前に相談をした税関職員Aは、この関税率は「5%に分類される」と回答していたとしましょう!ところが、この商品を実際に輸入するときに受けた税関職員Bの判断は「これは10%に該当する産品である」と判断することも十分にあります。このように税関職員によっても商品分類が変わる可能性があります。
仮にあなたが高額な商品を輸入する場合は、関税額が数パーセント違うだけで、数万円、数十万円単位で納める関税額が変わります。
事前相談した税関職員は2%と言っていたのに、輸入審査をした税関職員は8%だとの見解を出されてしまえば、輸入ビジネスの利益計算が大きく狂います。つまり、これはリスクです。このように、個人で特定することにより間違いや税関職員による見解の相違によるリスクを考えると、事前に商品分類を確定させたいです。この商品分類の確定こそが「事前教示制度」です。
税関の事前教示制度を利用して関税を確定させる方法
事前教示制度とは?
輸入する商品のHSコード(関税率)を特定したいときに、それを「事前」に税関に問い合わせをして「教示」してもらう方法です。この方法は、口頭による方法、電子メールによる方法、書面による方法などがあります。
書面による回答を求めれば「実際に輸入通関するさいに、事前教示で示された関税率優先的に適用」してくれます。これによって、万が一、輸入通関の書類審査をしている税関と関税率に見解の違いが出ても「印籠(いんろう)」のようにして、事前に教示された関税率を認めさせることができます。
その根拠が以下の税関文書に書かれています。
画像引用:税関のホームページをキャプチャ(http://www.customs.go.jp/zeikan/seido/#a)
事前教示制度の利用方法
事前教示制度は、個人や法人を問わず無料で使えます。もし、あなたが通関業者に依頼している場合は、通関業者に「事前教示制度」を使ってHSコード(関税率)を確定させたい旨を伝えます。事前教示制度の内容の見解は、発行から三年間、輸入審査において尊重されるものになります。ただし、電話やEメールなどで問い合わせをしたものは、その効力はありません。
事前教示制度を利用できる三つの方法
事前教示制度を受ける場合は「1.口頭」「2.Eメール」「3.文書」のいずれ好きな方法で選べます。しかし、輸入通関時に「関税率を優先適用させること」ができるのは、文書による回答を得ている場合のみです。そのため、お勧めな方法としては「文書による回答」です。
事前教示制度に必要な書類
申請書として必要な書類は「税関様式C-1000」です。こちらに必要な情報を記載した後、輸入する商品を説明する書類(写真、仕様書、用途)を用意して最寄りの税関へ提出します。もし、通関業者を使っている場合は、通関業者へ頼むこともできます。税関から公式な回答を受けた場合は「事前教示回答書」が手に入ります。これで輸入するときの税率が確定することなります。実際の輸入申告のさいは、この輸入書類の他に「事前教示回答書」を提出します。
事前教示制度申請書:記載例
事前教示制度の回答期限
原則として事前教示を申請した日から30日以内に回答がきます。回答にはある一定の時間がかかるため、関税率があやふやな商品を輸入すると決めた場合は、なるべく早く事前教示を求めることがポイントです。
知っておくべきこと
事前教示の回答例は、公益性の観点から、個人が特定できないように加工されて、一般に広く公開されます。この回答集は「過去の事前教示制度の回答集」で確認ができます。
事前教示制度の問い合わせ先
税関官署 | 電話番号 | メールアドレス |
函館 | 0138-40-4716 | hkd-gyomu-kansa@customs.go.jp |
東京 | 03-3529-0700 | tyo-gyomu-info@customs.go.jp |
横浜 | 045-212-6156 | yok-kansakan@customs.go.jp |
名古屋 | 052-654-4139 | nagoya-gyomu-kansa@customs.go.jp |
大阪 | 06-6576-3371 | osaka-bunrui@customs.go.jp |
神戸 | 078-333-3118 | kobe-bunrui@customs.go.jp |
門司 | 050-3530-8373 | moji-kansakan@customs.go.jp |
長崎 | 095-828-8669 | nagasaki-kansakan@customs.go.jp |
沖縄 | 098-862-8692 | oki-9a-bunrui@customs.go.jp |
ちなみに、EPA(自由貿易)を利用するときの外国税関による事前教示を「Advance Ruling」と言います。
よくある疑問・事前教示を受けたら輸入義務はあるの?
事前教示を受けても輸入義務はありません。
まとめ
- 商品の関税率は、複数の条件による決める。
- 輸入する商品の関税率は「HSコードの所属」により決まる。
- 自分では特定が難しい場合は、税関が提供する「事前教示制度」を利用する。
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