「メガFTA」って何?メリット、特徴、定義、加盟国

フリートレード 関税とEPA
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2018年7月17日、日本とEUは「日欧EPA」に署名しました。今後、国会において署名の内容を審議した後「批准するのか?」を決めます。日本側もEU側も、批准が終われば、日欧EPAは、日本とヨーロッパの国々に対して、その効力が発生します。EUとの貿易を考えている方は、この批准状況を見ながら、今後の貿易戦略を考えていくようにしましょう。

さて、このところ、立て続けにEPAやTPP、日欧EPAや、TPP11などの言葉が聞こえてきます。様々な名称があり、何だか混乱しそうです。また、これらと合わせて、最近、よく聞くのが「メガFTA」です。メガといえば、メガソーラーなどに使われている言葉ですね。一体、貿易でいう「メガFTA」とは、どのような意味があるのでしょうか?

そこで、この記事では、メガFTAの定義、特徴、メリットなどをご紹介していきます。

メガFTAとは?その定義はどうなっているのか?

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メガFTAの定義は、アメリカ、日本、中国、EUなど、経済規模が大きな国が2つ以上加わる経済協定とされています。

例えば、アメリカのジャイアンが希望している「日米自由貿易協定」は、完全にメガFTAです。また、元々、アメリカを含む12か国で形成されていたTPPもメガFTAと言えます。その他、日欧EPAも同様に、日本とEUが含まれているため、メガFTAです。アメリカ、日本、中国、EUの国々の内、二か国以上が一つのグループに属している協定と覚えておきましょう。

したがって、現在のTPP11は、正式な定義でいうと、メガFTAには該当しない可能性高いです。まぁ、単なる言葉上の定義であるため、どちらでもいいですね。

■メガFTAとは?

アメリカ、中国、日本、EUの国々が2か国以上、加盟する経済協定

メガFTAの特徴とメリット

メガFTAの特徴は、経済力の大きな国と小さな国が一つのグループに入ることにあります。なぜ、経済力の小さな国々と加盟するのでしょうか? その答えは、メガFTAに含まれる各国の役割にあります。

例えば、TPP11を考えてみましょう。TPP11は、日本を含めて11か国で構成される経済協定です。日本、オーストラリア、ニュージーランド、ベトナム、ブルネイ、シンガポール、マレーシア、チリ、メキシコ、ペルー、カナダです。そして、これらの国々は、次の4つに分類できます。

  • 経済力がある国(消費市場)
  • 物価、労働力が安い国(生産市場)
  • 資源強国
  • 成長国

例えば、消費市場であるなら、日本、シンガポールなどが当てはまります。生産市場であるなら、マレーシア、チリ、メキシコ。成長国であればベトナム。資源強国であるならブルネイです。経済力の観点からみると、一見、不釣り合いに感じる場合であっても、そこには必ず意味があります。これがメガFTAの特徴です。また、特徴以外にも次の2つのメリットがあります。

  1. 累積原産性
  2. 原産地規則の統一

1.累積原産性とは?

累積原産性とは、同じグループ(協定)に所属する国で作られた物であれば、それを「原産品」として累積できる仕組みです。

例えば、最終完成品のYを作るために、いくつかの作業があるとします。作業工程は、全部で8つ。その内、1~3を日本。4~6の工程をマレーシア。最後の7と8の工程をオーストラリアで行ったとしても、日本、マレーシア、オーストラリアのすべての作業を合計して「原産品」として扱えます。そして、域内の原産品であるため、例えば、これをオーストラリアからカナダに輸出しても関税ゼロで貿易ができます。

2.原産地規則の統一

原産地規則とは「どのような加工をしたものを原産品にするのか?」を決めるルールのことです。もし、このルールが決まっていなければ、どんな物でも原産品として輸出ができてしまいます。

例えば、中国から日本に海苔を輸入したとします。当然、TPP11には、中国は入っていないため、中国で作られた海苔は、TPP11上の原産品にはなりません。

しかし、これを日本に輸入した人が「日本産」として再輸出をすれば、日本の原産品、つまり、TPP11上の原産品として扱われるのか?ということです。もちろん、この場合は、原産品としては扱われません。ただし、原産品であるかどうかを判断するには、必ず「基準」が必要ですね。この基準が「原産地規則」です。

一般的に、原産地規則は、協定ごとにバラバラです。

例えば、日タイEPAであれば、日本とタイだけで通じる原産地規則。日マレーシアEPAであれば、日本とマレーシアで通じる原産地規則。日アセアンEPAであれば、日本とアセアン諸国だで通じる原産地規則になっています。協定ごとに原産地規則が違うため、協定を活用する人は、協定ごとに決めらている原産地規則を把握する手間が発生します。

一方、メガFTAは、一つの原産地規則を覚えるだけで、それに加盟するすべての国で原産地規則が通じます。TPP11であれば、11か国。日欧EPAであれば、28か国の間で統一した原産地規則を適用できます。これは、少しでも業務負担を軽減したい人にとっては、非常に大きなメリットです。

メガFTAのメリット

1.累積原産性で原産部分を積み増すことができます。←作業工程を細かく分けられる。
2.一つの原産性条件を覚えるだけで、一気に数十か国に通じる商品ができあがる。

メガFTAとWTOの関係

世界の貿易ルールを決めているのが世界貿易機関(WTO)です。WTOは、世界各国の貿易がなるべく障害がない、自由な環境の中で行えるようにすることを使命としています。具体的には、関税の撤廃、不公正な貿易条件の是正、一部の国にだけ有利な条件を付けることの禁止。これらの使命を果たすため、時には、加盟国に制裁金を科すこともあります。

なるべく自由な貿易環境を創る。これがWTOの使命です。ただし、すでに矛盾に気づかれている方も多いかと思いますが、WTOの「一部の国にだけ有利な条件を付けることの禁止」と、いわゆるメガFTAは、どう考えても、矛盾した制度です。この点についてWTOでは、次のように考えているそうです。

たしかにFTAは、一部の国にだけメリットを与える制度。ただし、現在、WTOがかかえている「決められない状況」を踏まえると、先行して一部地域がFTAを結び、少しずつ拡大していけば、それが世界全体の自由貿易の実現に近づいていく。

少し強引な解釈ではありますが、ある一定の部分で理解ができますね。

メガTAの比較表

2018年現在、日本は、3つのメガFTAを並行して検討しています。

  1. TPP11
  2. 日欧EPA
  3. RCEP(アールセップ)

現在、TPP11は、日本の批准が完了。日欧EPAは、署名済み。RCEPは、交渉中です。この内、TPP11と日欧EPAは、実際に発効される可能性が極めて高いです。

RCEPについては、この中に中国が含まれているため、知的財産権や技術移転の問題などもあり、なかなかスムーズに事は運ばないと思います。ただし、下の表をご覧になればわかる通り、TPP11は、RCEPに前段階にある協定です。そのため、中国などとの交渉を終えた時点で、いきなり署名に向けて動き出す可能性があります。

もし、これら3つのメガFTAがすべて結ばれたとすると、日本は、アメリカ大陸~アジア、そしてヨーロッパまでの地域で巨大な自由貿易圏を形成することになります。おそらく、今後は、TPP11、RCEP、日欧EPAが3メガFTAとして浸透していくことになるはずです。

そういえば、今時、関税をかけて自国を保護しようするどっかの国がありましたね。もちろん、世界最大の経済大国であることは間違いないですが、それは、世界を国単位の物差しでみた場合の結果でしかありません。むしろこれからは「自由貿易圏単位」で考えていくことが常識です。なぜなら、自由貿易圏単位で考えると、あの世界最大の経済大国であっても「並みの国」になってしまうからです。

したがって、日本は「日米自由貿易協定」などは一切考えなくていいです。ジャイアンの言うことは完全に無視。結びたければ「TPP11」に入るように進言するだけで十分です。なぜなら、アメリカの産業界は、自国だけどんどんと「自由貿易の蚊帳の外」にされていき、焦っているからです。いずれアメリカ国内から、ジャイアンの引きおろしが始まるはずです。

2018年7月現在、対日本だけを考えたとしても、アメリカのライバル国であるオーストラリア産の物がアメリカ産の物より、関税上、有利なメリットを受けています。さらにこれからは、カナダやニュージーランドなども優位に立つ見通しであるため、アメリカ産業界は、嫌でも関税上の取り扱い差に不満を感じているはずです。だからこそ、日米自由貿易協定は無視。TPP11への加入を促せばいいのです。

TPP11 RCEP 日欧EPA
日本 日本 アイルランド ハンガリー
オーストラリア オーストラリア ルクセンブルク フィンランド
ニュージーランド ニュージーランド イタリア フランス
ベトナム ベトナム エストニア ブルガリア
ブルネイ ブルネイ オーストリア ベルギー
シンガポール シンガポール オランダ ポーランド
マレーシア マレーシア キプロス ポルトガル
チリ フィリピン ギリシャ マルタ
メキシコ インドネシア クロアチア ラトビア
ペルー カンボジア スウェーデン リトアニア
カナダ タイ スペイン ルーマニア
ミャンマー スロバキア
ラオス スロベニア
インド チェコ
中国 デンマーク
韓国 ドイツ

メガFTA早見表

メガFTA 加盟国 GDP(兆ドル) 域内人口
日欧EPA 日本とヨーロッパ加盟国 10 5
TPP11 日本、シンガポール、ニュージーランド、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、メキシコ、ペルー、チリ、オーストラリア、カナダ 21 6.4
RCEP 日本、アセアン、オーストラリア、ニュージーランド、インド、中国、韓国 24 35
日中韓FTA 日本、中国、韓国 18 16

ソース:ソース:IMF World Economic Outlook

まとめ

  • メガFTAとは、日本、アメリカ、中国、EUのいずれかの国のうち、2つ以上が加盟する協定です。
  • 2018年現在、日本はTPP11、RCEP、日欧EPAの3メガFTAを結ぼうとしています。
  • 仮にすべてのEPAが結ばれると、日本は、黒船以降で最大の「開国」に向かっていきます。
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