この記事では、農産物の関税率の一覧をご紹介。わさびのHSコード等も説明しています。
農林水産省やJAは、口をそろえて「農業は崩壊する」と言います。本当にそうなのでしょうか? たしかに後継者不足や古臭い農地制度によってジリ貧の状況であることは間違いないでしょう。ただ、HUNADEは、日本の農業に、大きな可能性があると信じております。
今回は、日本に入る農産物の関税率をまとめてご紹介します。ここで説明するデータは、2017年現在が基準です。今後、年数が経ってくると、以下で紹介している関税率は変化していきます。もし、輸入コストの計算などを行う場合は、必ず最新の「実行関税率表(関税率の一覧が書かれている表)」をご確認ください。
代表的な農林水産物の関税率まとめ
日本は貿易大国であるため、農林水産物から工業製品までたくさんの物が入ってきます。日本へ外国の商品が入ってくるときは、日本税関で「関税(かんぜい)」と呼ばれる税金をかけます。これは、商品を輸入しようとする人が日本の税関に対して支払う義務がある税金のことです。
関税は、輸入する商品ごとに細かく決められています。あなたが「うなぎ」を輸入したいなら3.5%の関税、はちみつなら25.5%の関税というイメージです。この3.5%や25.5%の率のことを「関税率」といいます。そして、この関税率は商品の価格に対して課税されます。
例えば、あなたが「うなぎ」を輸入するとします。このうなぎの関税率は3.5%、そしてウナギ自体の価格は100万円だとします。この場合、100万円の3.5%、つまり35000円を関税として支払います。(ざっくりと計算しています。)これが日本へ商品を輸入する人が行うべき納税義務になります。
関税は、実行関税率表や「ウェブタリフ」などのサイトを使い調べられます。もし、輸入価格の合計が20万円以下の場合は、「少額輸入貨物の簡易税率」を利用して輸入ができます。
それでは、以下でよく検索されている農林水産物の関税率を一覧でご紹介していきます。表の中の項目が示すことは、以下の通りです。
品目:品目の名前 HSコード:品目を数字で表したものです。また、基本税率、WTO税率、特別特恵、EPA税率などは、最も適する物を一つだけ適用します。これを決める基準は「どこの国の貨物なのか?」です。
例えば、天然蜂蜜を輸入するとしても、それがアメリカ産なのか、ラオス産なのか、メキシコ産なのかによって税率が異なります。
- アメリカ産であるなら「WTO税率」、
- ラオス産なら「特別特恵税率」
- メキシコ産なら「EPA税率」を適用します。
同じ貨物(はちみつ)でも、原産国によって、税率は細かく違うことを覚えておきましょう。なお、基本税率、WTO税率、特別特恵税率は、リンク先でご確認下さい。
29品目(一部例外有り)・農林水産物の関税率一覧
品目 | HSコード | 基本税率 | WTO税率 | 特別特恵 | EPA税率 |
うなぎ | 0302 | 3.5 | 無税 | 無税~1.6 | |
マグロ(冷凍) | 0303 | 3.5 | 無税 | 無税~3.5 | |
生乳 | 0401 | 21~25 | 無税 | ほぼ設定なし | |
蜂蜜(天然) | 0409 | 25.5 | 無税 | 無税(関税割当)~25.5 | |
花 | 0603 | 無税 | 無税 | 無税 | 無税 |
ネギ | 0703 | 3 | 無税 | 無税~2.5 | |
わさび | 0709 | 3 | 無税 | 無税 | |
スイートコーン | 0709 | 6 | 無税 | 無税~4 | |
れんこん | 0711 | 9 | 無税 | 無税~7.4 | |
バナナ | 0803 | 20~25 | 無税 | 無税(関税割当)~16.4 | |
マンゴー | 0804 | 3 | 無税 | ||
レモン | 0805 | 無税 | |||
みかん | 0805 | 17 | 無税 | 5.3~12.8 | |
オレンジ | 0805 | 16~32 | 無税 | 無設定~18 | |
梨 | 0808 | 4.8 | 無税 | 無税~3 | |
りんご | 0808 | 17 | 無税 | 無税~10.8 | |
緑茶 | 0902 | 17 | 無税 | 無税~13前後 | |
わさび | 0910 | 3.6% | 無税 | ||
そば粉 | 1104 | 17 | 無税 | 無税~13.9 | |
大豆 | 1201 | 無税 | |||
ごま | 1207 | 無税 | 無税 | 無税 | |
海苔 | 1212 | 1.5円/枚または40% | 無設定 | 無設定 | 無設定 |
わかめ | 1212 | 10.5 | 無税 | 無設定 | |
さとうきび | 1212 | 無税 | 無税 | 無税 | |
牧草 | 1214 | 無税 | |||
オリーブオイル | 1509 | 無税 | 無税 | 無税 | |
蜂蜜(人造) | 1702 | 50%または25円/kg | 無税 | 設定なし | |
ジャム | 2007 | 16.8 | 無税 | 無設定~13.7 | |
落花生 | 2008 | 21.3 | 無税 | 設定なし~21.3 | |
水 | 2201 | 9.9~13.4 | 無税 | 無税~6 |
余談:日本の農産物の関税率は、高い?
日本は、外国と自由貿易の交渉をするときに「農産物の開放」を要求されることが多いです。しかし、実際のところ、日本の農産物に対する関税率は、WTO協定税率(WTOに加盟している国に適用される税率)で平均10%以下であり、少し高い関税率でも20%を超える物は、少ないです。
一方、諸外国に目を向けてみると、農産物に対する関税率は、日本よりもはるかに高く設定している国々が多いです。
下の表をご覧ください。こちらは、日本と各国が設定している農産物に対する関税率表です。緑色の背景が日本が設定する関税率です。一方、白色背景は、各国が設定する農産物の関税率です。
例えば、タイの場合、平均的に30%~40%の関税をかけており、10%以下の関税率を設定している品目はほぼないです。お隣の中国の場合も同様です。日本と中国は、自由貿易を結んでいないため、以下に記載されている10%の関税がかかります。
もちろん、下の表に記載されているデーターは、ある一部にすぎません。データー的に不足している部分もありますが「日本の農産物に対する関税率は、決して高いわけではない」といえます。日本の農産物の関税率は高くありません。むしろ、他国よりも低く設定されており、関税上の障壁は、現状でも低いです。
品目 | HSコード | WTO税率 | 最も低い税率 | タイ | ベトナム | アメリカ | オーストラリア | フランス | 中国 | ブラジル |
ばれいしょ | 0701.90 | 4.3 | 0 | 0 | 20 | 0.005usd/kg | 0 | 5.8 | 13 | 10 |
トマト | 0702.00 | 3 | 0 | 40 | 20 | 0.039usd/kg | 0 | 14.4 | 13 | 10 |
タマネギ | 0703.10 | 8.5 | 0 | 27 | 15 | 0.0083usd/kg | 0 | 9.6 | 13 | 10 |
アーモンド | 0802.11 | 2.4 | 0 | 10 | 15 | 0.077usd/kg | 5 | 6 | 10 | 10 |
バナナ | 0803.10 | 20 | 0 | 30 | 25 | 無税 | 0 | 16 | 10 | 10 |
アボガド | 0804.40 | 6 | 0 | 40 | 15 | 0.112usd/kg | 0 | 4 | 7 | 10 |
マンゴー | 0804.50 | 3 | 0 | 30 | 25 | 0.066usd/kg | 0 | 0 | 15 | 10 |
グレープフルーツ | 0805.40 | 10 | 0 | 40 | 40 | 0.0019usd/kg | 0 | 1.5 | 12 | 10 |
レモン | 0805.50 | 0 | 0 | 30 | 20 | 0.022usd/kg | 0 | 6.4 | 11 | 10 |
ぶどう | 0806.10 | 17 | 0 | 30 | 10 | 1.13usd/kg | 5 | 17 | 13 | 10 |
りんご | 0808.10 | 17 | 0 | 10 | 10 | 0 | 0 | 11 | 10 | 10 |
いちご | 0810.10 | 6 | 0 | 40 | 15 | 0.002usd/kg | 0 | 11 | 14 | 10 |
キウイフルーツ | 0810.50 | 6.4 | 0 | 30 | 7 | 0 | 0 | 9 | 20 | 10 |
平均関税率 | 7.97 | 0.00 | 27.46 | 18.23 | 0.11usd/kg | 0.77 | 8.59 | 12.38 | 10.00 |
関税率だけではなく、課税価格を見る
また、農産物の関税率が高いと言い張る方は、関税率ばかりに注目をして「課税価格」に目を向けていません。課税価格とは、関税率をかける対象の価格のことです。人件費が安い国で生産した農産物の課税価格は、当然、安いです。そして、この安い課税課価格に対して、さらに低い関税率を適用したらどうなると思いますか?
日本で生産された農産物は、価格上、どうしても不利になります。だからこそ、自由貿易を推進する一方、農産物に対する関税率は、ある程度、維持されるべきだと考えます。
必要であれば、自由貿易で特定国のみに関税率を下げればよい。
仮に農産物の関税率を下げるのであれば、特定の国に対して、特定品目のみの関税率を下げればいいだけです。「世界」に対して、広く農産物の関税率を下げるのは危険です。
例えば、タイは「いちご」に対して、40%の関税率を設定しています。しかし、日本とタイは、自由貿易協定により、日本産のいちごに対しては「40%→0%」です。タイ向けのイチゴであったとしても、すべての国の物に課税されるのではなく、特定の国以外(タイと自由貿易協定を結んでいない国)の商品ついて高い関税率がかかります。
タイにおけるイチゴの事例からもわかる通り、農産物に高い関税率を設定するのは、決して日本だけではありません。むしろ外国の方が高い関税率を設定している方が多いです。マスコミによる誤った情報を捨て去り、日本の農業をどうするべきなのか? 農業以外の産業をどのようにのばしていくのか?
この2つを推進又は、適切にブロックして、日本国内の生産力の低下を招かないようにすることが重要だと考えます。
まとめ
農林水産物にかかる輸入関税をご紹介しました。ご覧になって分かる通り、ある特定の貨物については、非常に高い関税率が設定されています。その中でも「海苔」は、意外に輸入規制が強い商品です。海苔を輸入するときは、上記のような高い関税を支払うのはもちろんのこと、経済産業省から「輸入割当」と呼ばれる特別な許可を受けなければなりません。
農産物に限らず、品目に対する関税率を見るだけで、国の方針や利益団体などの状況が手に取るように見えてきます。関税を設定する目的は「国内産業の保護」にあります。しかし、特定の品目だけ一段と高い関税率を設定している事実を見ると、この大義名分がどこまでが本当なのはよくわかりません。
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