貿易業を始めようとするときに迷うのが個人事業か法人の選択です。個人事業主とは、税務署に開業届けを提出すれば、その日から事業主になれます。一方、法人とは「人」という言葉の通り、法律に定めた基準に合致する自然人のことです。こちらは、定款と呼ばれる書類をそろえた後、法務局にいき「登記作業」が必要です。
さて、貿易ビジネスを始めるときは、個人事業主と法人とでは、どちらがいいのでしょうか? 実際の業務を進める中での問題点を含めてご紹介していきます。結論から申し上げると、あなたが意味する「貿易」により、法人格が必要になるのかが決まります。
貿易ビジネスにおける法人格の必要性
貿易ビジネスには、法人格が必要なのか? この答は、あなたが意味する「貿易」が何かを明らかにすることでわかります。
例えば、海外にあるアマゾンなどのECサイトで購入(輸入)して、それを日本のアマゾンやフリマアプリなどで転売するビジネスであったり、海外に買い付けたものをスーツケースで持ち帰り、転売したりする程度であれば、個人事業主のままでも十分に可能です。また、元々、貿易業界に携わっている人であれば、そのコネを利用すれば、個人事業主のままでも貿易できます。しかし、もし、あなたが上記のどのケースにも該当しないときは、法人化を検討する必要があります。
法人でないと発生する2つの問題点
転売程度の貿易であれば、個人事業主のままでも十分に可能です。ただ、単なる転売ではなく、コンテナやLCL(混載)ベースで貿易をする規模の場合、法人格を所有していた方が何かと都合が良いです。特に個人事業主のままでは、次の2つの問題が発生しやすいです。
- 通関・フォワーダー関係の会社が相手にしてくれない。
- 新しい取引先の開拓の妨げになる。
1.通関・フォワーダー等が相手にしてくれない。
日本から輸出入をするときは、通関業者やフォワーダーと呼ばれる業者を活用することが多いです。
- 通関業者とは、税関に対して荷主の代わりとなって輸出入の申告をする会社
- フォワーダーは、国際物流のコーディネートをする会社
どの会社も、新しい依頼を受けるときは「法人格」を必要とするところが多いです。といいますか、法人格を持っていない時点で、まともに返信すらもらえない経験をすることが多いです。
2.新しい取引先の開拓における妨げになる。
法人格がないことは、対海外バイヤーやセラーに対しても同様です。
例えば、国際見本市などに出店している会社を見つけてアプローチをしても、法人格がないと、まともに話を聞いてくれないことが多いです。見積書を要求しても完全に無視。こちらが買い手の場合であっても、個人事業主は冷たくあしらわれることが多いです。ましてあなたが売り手に周るときは、なおさら「信用力」の意味で法人格を要求されると考えた方が良いです。
とはいえ、実際は、個人事業主でありながらも、次々と貿易ビジネスを拡大されている事例もありますし、アメリカなどでは個人が輸出入業をやっているのは普通です。そのため、貿易=法人格といきなりハードルを上げる必要もなく、まずは法人格を必要としない程度に貿易ビジネスをおこない、しかるべきときに法人格を取得されればいいかと思います。
法人を作るには?
法人を作るときは「定款(ていかん)」と呼ばれるルールを決めた後、法務局に「登記作業」が必要です。会社の設立自体は、誰でもできます。しかし、ご自身の時間を使い煩雑な手続きをするのはかなり大変です。と、いいますか、その時間を使い、貿易ビジネスの拡大に努めた方が良いです。そこでお勧めするのが「会社設立の代行会社」です。
会社設立の代行会社は「こんな目的の法人を作りたい!」と相談するだけで、あとは、ほとんどの手続きを代行してくれる所です。もし、法人設立を検討している方は、ぜひ、ご相談ください。
まとめ
- 個人事業主であっても貿易ビジネスは可能
- ただし、他企業(通関業者やフォワーダーなど)と絡むときは法人の方が有利
- 多くの場合、法人でない時点で門前払いされるケースが多い。


国際輸送の見積もり依頼例
種別 | 積み地 | 揚げ地 | 品目 | 輸送モード |
法人 | アリババ | 東京 | アロマオイル | 相談希望 |
法人 | 寧波 | 新潟 | キャンプ用品 | LCL |
法人 | アリババ | 東京 | アロマオイル | 相談希望 |
法人 | 寧波 | 新潟 | キャンプ用品 | LCL |