海外取り引きには、インボイスを使います。インボイスとは、商品の単価、購入数、取引条件などを記す貿易書類の一種です。輸入者は、このインボイスを輸入税を計算するための根拠書類として使います。
例えば、あなたが輸入者なら海外の売り手が発行したインボイスを日本の税関に提出します。逆にあなたが輸出者ならインボイスを作成し買い手に送ります。実は、このインボイスには、2つの種類があります。
- コマーシャルインボイス
- プロフォーマインボイス(PROFORMA INVOICE)
*正確には、これ以外にもあり!
どちらも同じインボイスですが、若干、意味合いが違います。輸入通関では、コマーシャルインボイスを使う一方、輸出交渉では、プロフォーマインボイスを使います。
今回は、輸出交渉におけるプロフォーマインボイスの目的や役割、意味などを詳しく解説していきます。
■結論
プロフォーマインボイスとは、海外の買い手又は売り手と売買交渉をするときに、そのたたき台として使う書類です。お互いの条件、交渉するべき内容を提示することが目的の仮発行のインボイスです。そして、この仮インボイスで修正等を繰り返し、最終妥結したものがコマーシャルインボイスです。
【輸出で重要】プロフォーマインボイスとは?
インボイスは、海外取引における商品の価格、取引条件等を示す書類です。輸出者は、買い手にインボイスを発行します。買い手は、売り手発行のインボイスを税関に提出して輸入手続きをします。
プロフォーマインボイス
プロフォーマインボイスは、仮のインボイス。コマーシャルインボイスを発行する前に作成する書類です。
プロフォーマインボイスの役割・目的
プロフォーマインボイスは、取引条件、価格、輸送リスク等を一つの紙にまとめて希望条件をクリアにすることが目的です。クリアにした後、受け入れられる部分、改善してほしい部分、不明点等を交渉していきます。
必要になるシーン例
正式契約後にコマーシャルインボイスを発行します!
プロフォーマインボイスを発行する3つの理由
プロフォーマインボイスは、海外交渉のたたき台としての役割の他、買い手側が以下3つのいずれかを希望するときにも活用します。
- 買い手(輸入者)が輸入ライセンスを取得するとき
- 買い手(輸入者)がL/Cを開設するとき
- 買い手(輸入者)が外貨を購入するとき
1.買い手(輸入者)が輸入ライセンスを取得するとき
一部の国では、ある特定の貨物を輸入するときに「輸入許可:Import License」が必要です。
例えば、日本の盆栽をベトナムに向けて輸出するときがそれにあたります。この場合、ベトナム側の輸入者がベトナム政府から「盆栽の輸入許可」を取得しないと、日本から輸出ができはできません!そして、ベトナムの輸入者がベトナム政府へライセンスの申請をするときに、日本側の輸出者とやり取りをしたことを証明する「プロフォーマインボイス」が求められます。
ベトナム側の輸入者が、ベトナム政府に対して、次のようなお願いをするときに必要です。「今度、日本の〇〇という会社から盆栽を輸入します。だから輸入ライセンスを頂戴!今までの交渉の証拠としてプロフォーマインボイスを提出します」
2.買い手(輸入者)がL/Cの開設をするとき
輸出者と輸入者との決済をL/C(決済に銀行が入るもの)にするときは、最初に輸入者が手続きします。このとき、輸出者は輸入者に対してプロフォーマインボイスを作成します。輸入者は、プロフォーマインボイスを参考にしてL/Cの開設依頼書を作成します。
3.買い手(輸入者)が外貨を購入するとき
買い手が銀行等から外貨を調達するときにプロフォーマインボイスを要求されるときがあります。
プロフォーマインボイスに記載するべき項目
プロフォーマインボイスとコマーシャルインボイスの記載内容は、ほぼ同じです。主な記載内容は次の通りです。
- 売り手や買い手の連絡先
- 見積の有効期限
- 価格、数量、通貨
- 支払い条件
- 貨物の詳細情報
- 船積み日と受け渡し日(予定)
- インコタームズ
- 特別な費用(必要な場合)
インコタームズとは?
は、買い手と売り手の責任と費用負担を定義した型です。海外取引では、このインコタームズを採用することで、運送費負担、保険負担、書類作成義務、通関義務、国内配送部分の費用負担や責任を明確にしています。
特別な費用とは?
特別な費用とは、買い手からの要望等により、追加で必要な作業(書類の発行や検査など)が発生する場合に請求する物です。
- 特別な書類の発行
- EPA協定で必要な書類
- 船積み前検査証明書
- 何らかの検査証明書など
PROFORMA INVOICEのサンプル
プロフォーマインボイスのサンプルは、以下の通りです。重要な点は、タイトル部分に大きく「PROFOMA INVOICE」と記載することです。ちなみに、プロフォーマインボイスは、Inco Docsと呼ばれるサイトでオンラインで作成できます。
画像引用元:https://incodocs.com/blog/download-proforma-invoice-template-pdf/
参考情報:プロフォーマインボイスとコマーシャルインボイスの違いとは?
コマーシャルインボイスと、プロフォーマインボイスには、次の2つの違いがります。
- 積み込み日時の有無
- 商品数量の記載」の部分にあります。
1.積み込み日時の有無
正式なコマーシャルインボイスには、積み込み日時が記載されています。インボイスのフォームによっても違いますが「Date」として記載されているはずです。通常、この部分の日付は、正確な船積みの日時が記入されます。
しかし、プロフォーマインボイスのときは、この日付が「月」単位で記入されていること多いです。ちなみに、銀行を通してお金のやり取りをする「L/C決済」は、この部分の日時がとても大切です。
2.商品数量の記載
正式なインボイスには、商品名と金額、数量が確定情報として記載されています。プロフォーマインボイスの場合は、この数量と金額の部分が少し曖昧に記載されていることがあります。これは、最終的な船積み時期がわかるまで、どれくらいの数を出荷できるかわからないときに作られるためです。商品名と数字の部分は、とりあえずでOK。でもその他の部分は、合意した内容を盛り込んで作成するイメージです。
まとめ
プロフォーマインボイスは輸出交渉時に活用。他方、コマーシャルインボイスは、輸入通関時に使います。プロフォーマインボイスは、コマーシャルインボイスの基になるたたき台のような存在の書類です。
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