輸入通関の成否は、適切な書類の準備と管理にかかっています。本記事では、輸入通関に必要な書類について、基本的な知識から実務的なノウハウまで詳しく解説します。
輸入通関で必要な書類
輸入通関の基本書類
輸入通関において最も重要なのが「基本三点セット」です。これらはインボイス(仕入書)、パッキングリスト、そしてB/L(船荷証券)から構成されます。
- インボイス
- パッキングリスト
- B/L
- アライバルノーティス
- イラスト、絵柄
- 原産地証明書(必要な場合)
1.インボイス(Commercial Invoice)
取引の基本となる書類で、商品の単価や数量、取引条件などが記載されています。
- 売主と買主の情報
- 商品の詳細情報
- 単価と総額
- 決済条件
- 取引条件(インコタームズ)
2.パッキングリスト
貨物の梱包明細書です。「このコンテナには、●●という商品が56ケースあります」など、貨物の梱包数を記載した書類です。
3.B/L(船荷証券)
輸出国において、輸出者が船会社に貨物を預けると発行される書類です。以下の情報が記載されています。輸入国側で貨物を引き取る際に必要です。
- 荷送人・荷受人情報
- 船積港・陸揚港
- 貨物の明細
- 運賃条件
4.アライバルノーティス
アライバルノーティスは、船の到着を知らせるために船会社が発行する書類です。ここには、船賃や燃油サーチャージ、CTHなどの港での作業料金が記載されています。
5.イラスト、絵柄などのカタログ
申告している貨物の概要がわかるように写真やイラストが必要です。手書きでも良いですし、何かのカタログのコピーでも構いません。
6.原産地証明書の役割
貨物の原産地を証明する書類です。輸出国側の税関等が発行します。
輸入通関の流れ
- 売り手から通関書類を受け取る。
- 通関書類を通関業者に転送する
- 本船到着(アライバルノーティス発行)
- 本船から貨物が降ろされる。
1.輸出者から輸入書類を受け取る。
輸出者からは、インボイス、パッキングリスト、B/LなどをPDFにした後、Eメールなどで受け取ります。
2.受け取った輸入書類を通関業者へ転送する。
売り手から受け取った書類を通関業者へ転送します。通関業者は、書類を基にして、輸入申告の為の準備を始めます。
3.本船到着(アライバルノーティス発行)
本船が日本へ入港する直前になると、アライバルノーティスが届きます。このとき「ETA(入港日)」の部分に本船が入港する日がのっています。この時点で商品の納品日を確定できます。
- コンテナで輸入する場合:本船入港日に翌々日が納品日
- LCLで輸入する場合:上記にさらに+一日前後
*納品日は、輸入実績や船会社との契約(個別搬入など)、税関検査によっても異なります。
4.本船から荷物がおろされる。
船からコンテナなどが降ろされて「荷物の搬入」が完了すると、上記の予備申告で区分「1」や区分「2」の人は、輸入許可になります。区分「3」の人は、税関検査の日付を決めて検査を実施します。この検査で問題がなければ、輸入許可にいたります。
通関書類に関連する知識
書類の作成者は誰? 作成する際の注意点とは?
通関書類、船積み書類は、売主側が行います。書類を作成する際は、以下の点に注意します。
- 記載内容の一貫性確保
- 英語表記の統一
- 数値の正確な転記
- 必要な署名・押印の確認
例えば、あなたが輸入者の場合は、売り手に対してインボイスやパッキングリストなどを請求し、それを船積書類や通関書類として活用します。
- インボイス → 売り手が作成
- パッキングリスト → 売り手が作成
- B/L → フォワーダーが作成(船会社側)
- アライバルノーティス → フォワーダーが作成
- 絵柄(写真・イラストなど) → 輸入者が用意
デジタル化への対応
近年、船積み書類や通関書類は、電子化の流れがあります。電子化には、以下の点があります。
- 電子保存のための要件確認
- スキャンデータの管理方法
- バックアップ体制の構築
- セキュリティ対策
例えば、船積書類は、税関による事後調査を受けることがあります。
通関書類の保管要件
通関書類は、法令により次の期間、保存する必要があります。
- 保管期間(通常7年間)が無難
- 保管場所の適切な管理
- 検索性の確保
- 定期的なチェック体制
例えば、税関から書類の提出を求められた場合に対応できるようにしておきます。
特殊な輸入案件への対応
上記の通関書類の他、品目により必要とされる書類があります。
例えば、食品を輸入する場合やEPA協定国の産品を輸入する場合です。
食品輸入の場合
食品を輸入する場合は、追加で以下の書類が必要です。
- 製造工程表
- 成分表
- 衛生証明書
EPA利用時に必要な書類
EPA利用時は、以下の書類が必要です。
- 特定原産地証明書 又は原産品申告書
- 上記を裏付ける資料や情報
トラブル防止と対策
よくある通関書類のトラブルとその対応をご紹介します。
- 記載内容の不一致
- 書類が不足している
- 数量に過不足が発生している。
- 申告内容と実物が違う。
上記のトラブルを防止するため、事前にチェックリストで確認しておきましょう!
事前チェックリスト
- 書類間の整合性に問題はない?
- 必要書類を用意している?
- 書類の有効期限は大丈夫?
- 署名・押印は存在する?
まとめ
輸入通関の書類準備は、ビジネスの成功に直結する重要な業務です。基本書類の理解から、作成・管理のノウハウ、さらには特殊ケースへの対応まで、体系的な知識を身につけることで、スムーズな輸入業務が可能となります。
この記事をお気に入りに登録
輸出入と国際輸送の手引き
タグ一覧
新着記事の一覧
記事を検索する
種別 | 積み地 | 揚げ地 | 品目 | 輸送モード |
法人 | 中国の広州の工場 | 千葉県市原市 | テント系製品 10トン | 海上輸送 |
個人 | アリババ | 東京都大田区 | 化粧台 | LCL |
法人 | 惠州市 | 六甲 | 機械 | FCL |
法人 | 中国の広州の工場 | 千葉県市原市 | テント系製品 10トン | 海上輸送 |
個人 | アリババ | 東京都大田区 | 化粧台 | LCL |
法人 | 惠州市 | 六甲 | 機械 | FCL |