「輸入販売(輸入業)をするための許可や資格は、何がある?」
「これを輸入しても問題はない?」
「オフィスを構えた上で、会社を作る必要がある?」
そこで、この記事では、輸入業の許可や資格について詳しくご紹介していきます。
この記事の結論
- 輸入販売に許可や資格は不要
- 法人、個人、個人事業主など形態も自由
- 登記、税務署への登録も必須ではない。
- 一部の貨物を取り扱うときは必要
輸入販売の許可と資格
商品を輸入したら、何らかの方法により販売します。個人や個人事業主が手軽に販売する方法としては、ヤフオク、フリマアプリ、アマゾンなどがあります。ネット上のプラットフォームを利用して、国内販売をしていきます。参入するためのハードルも極めて低く、誰でも参入しやすいです。しかし、ここで一つの疑問を感じます。
「輸入販売するときには、何らかの許可や資格が必要ではない?」
「もしかして、無許可で販売すると、最悪、逮捕等もある?」などです。
実際、世の中にある様々な物には、許可や資格が必要です。この点、輸入販売は、どのような取り扱いになっているのでしょうか?
国内販売で必要な資格/基本は許可や資格不要
結論から申し上げます。
輸入販売(’輸入業)をするために特別な許可や資格等は不要です。
基本的には、誰でもできます。専用オフィス、税関や税務署からの許可、資本金の規定、通関士や貿易実務検定の資格も不要です。「貿易業を始めます!」と宣言するだけで、誰でも自由に輸入&販売ができます。
しかし、基本的にはと、表現する通り、ある一部の品目を取り扱うときは、特別な許可や資格等が必要です。代表的な物は、次の通りです。
- 医薬品
- 化粧品
- アルコール類
- 塩類
但し、輸入時に許可や資格は不要でも、他の機関から確認を必要とする貨物(他法令の確認貨物=例:食品、植物など)もあります。また、輸入時に許可が不要でも国内販売時に許可や資格が必要となる物もあるため注意が必要です。(例:肉類)
なお、「輸入禁制品」は除外をされるので留意しましょう!
- 輸入禁制品以外は、自由に輸入ができる。(ほとんどの貨物はok)
- 輸入につき、許可や資格等は不要
- 但し、一部の品目を扱うときに許可を必要とする物がある。
- 輸入時の許可と販売時の許可を区別して考えること
1.医薬品の輸入資格
最も強い輸入規制があるの医薬品です。これは、何も特別に難しい薬ではなく、海外で一般的に使用されている市販薬でも強い規制があります。
例えば、胃薬、風邪薬などです。どちらの薬もかなり一般的です。しかし、商売目的で輸入し販売することは、ほぼ不可能です。規制のレベルを考えれば、実際に商売目的で薬を輸入できる企業は、製薬会社など、一部の企業に限られます。少なくても、一般的な法人レベルでは、実現できない規制があるため十分に注意しましょう!
根拠法:医薬品、医療機器等の品. 質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
2.化粧品・美容関係・石鹸などの輸入資格
化粧品、韓国コスメ、石鹸、美顔器、美容機器、マッサージオイル、ハンドクリーム、スキンケア用品を輸入販売することも難しいです。これらを輸入販売するには「化粧品の製造販売業の許可」が必要になり、個人が取得するのは事実上、不可能です。
大手フリマアプリなどの転売もすべてNG
近年、不用品を販売する方法としてフリマアプリなどは大人気です。
例えば、東南アジアなどに旅行にいき、石鹸やボディーソープ、その他の美容製品等を輸入してフリマ等で販売している方がいます。このような行為はすべて違法です。厚生局の職員も適宜、ネット巡回をしているとのことですから注意が必要です。
海外から違法に輸入した商品(例:個人使用といつわり輸入)を転売等をしたとします。購入者が商品を購入し、深刻な健康被害が発生した場合は、違法輸入をした人に全ての損害賠償請求が発生します。
但し、化粧品製造販売業の許可を持っている会社に輸入してもらえば可能
どうしても海外の化粧品、美容関係品を輸入したい場合は、どうすればいいのでしょうか? この場合は、化粧品製造販売業の許可を有している会社に輸入をしてもらい、これを国内販売します。
- 化粧品製造販売業の許可を持つ会社名で輸入する。
- あなたは、1番の会社から「国内販売」で仕入れる。
- その後、あなたは「販売者」として、日本国内に販売します。
上記の場合、1番の会社が輸入元の扱い、製造物責任法上の全ての責任を負うことになります。ただし、当然、この方法で仕入れをする場合は、対象の商品を販売する限り「保証料」などのお金を払い続ける必要があります。
この費用を支払っても商売になるのか?を冷静に判断することをお勧めします。
3.アルコールの輸入資格
アルコールの輸入&販売はお酒の免許が必要です。
- 輸入するお酒
- 誰に売るのか?
- ネット上で販売なのか?
などの条件ごとに細かくライセンスがあります。自店舗の飲食店で提供するためにお酒を輸入する場合はライセンス不要などのルールもあります。詳しくは「ゼロから覚えるお酒の輸入ビジネス」をご覧ください。簡易的な「酒税計算ツール」もお使いください。
4.塩、肥料など
塩や肥料など、一部の製品には、何らかの届け出を必要とする物があります。
5.他法令が関連する貨物
- 輸入禁制品として指定されていないこと
- 化粧品、薬、アルコール類、塩、肥料など…….
の商品を除けば、基本は、自由にできます。ただし、輸入時に許可や資格等が不要でも、輸入するときに他機関からの確認を要する物(他法令の確認)はあります。
例えば、食品、植物、電気製品、乳製品、ワシントン条約(革製品やサボテン類など)、商標権侵害貨物などです。これらの商品は、輸入時に税関とは別の機関から確認されます。
商品別の許可や資格・関係する法令
よく輸入される貨物の内、注目するべきポイントは次の通りです。なお、これ以外は「輸入他法令まとめ」の記事をご覧ください。
品目例 | 注目するポイント |
コーヒー豆、スパイス、お茶、紅茶、台湾茶 | 食品衛生法、植物防疫法 *ポイントは、乾燥状態や加工状態にあり! |
子供服、ファッション、靴、古着、スニーカー、バッグなど | 商標権侵害貨物、革靴関連は、関税割当。とにかく商標権関連が厳しいです。 |
オリーブ油、チョコ | 食品衛生法 |
お酒類(ワイン、ウィスキー、クラフトビールなど) | 食品衛生法、酒税法 |
プロテイン、サプリメント | 食品衛生法、薬機法 |
チーズ、バター | 食品衛生法、関税割当、畜産経営の安定に関する法律(調整金)、動物検疫 |
電気製品 | PSEマーク(電気用品安全法) |
マスク、マスク | 効果・効能をうたうことはNG(関連は薬機法と景品表示法) |
ギター | ワシントン条約に注意 |
ゴルフクラブ、絵本、タイル、自転車、サングラス、スマホケース、フローリング、スポーツ用品(商標権に注意)、腕時計 | 特に規制なし |
ペット、爬虫類、熱帯魚 | 動物検疫、ワシントン条約 |
植物関連 | 植物防疫法 |
バイク | 輸入後の陸運局の手続きに注意 |
食器類 | 食品衛生法 |
雑貨 | 基本的に規制なし。ただし乳児用の製品は食品衛生法に関連する可能性 |
よくある疑問
個人輸入に通関士の資格は必要?
個人輸入を行う上で通関士の資格は「不要」です。そもそも通関士の免許は、他人の通関を代行するときに必要になるだけです。したがって、自社で使う商品や資材を輸入するとき(自社の貨物の書類)などは、特に通関士等の免許を持っていない人であっても輸入申告ができます。
正規品と並行輸入品との関係は?
正規品と並行輸入品は、どちらも「本物であること」は同じです。違いは「どこの国に販売しているのか?」です。外国向けの本物を日本のバイヤーが買い付けて輸入した物が並行輸入品。対して、日本向けの本物品の輸入が「正規品」です。
関連記事:並行輸入と輸入の違いとは?違法なの?
関連疑問:輸入代行に資格は必要?
輸入代行業も許可・資格等は不要です。誰でも自由に始められるため、粗悪な業者が多いです。実際、全く通関の知識がない人が運営していることも多いため注意しましょう!
関連疑問:古物商との関係は?
輸入ビジネスと古物商の関係は、以下のページをご覧ください。
まとめ
輸入したものを日本国内で販売するときは、何か特別な手続きが必要になるわけではありません。原則的に自由に輸入ができます。
しかし、いくつかの品目については、資格が必要になるのか?というレベルではなく、そもそも輸入をあきらめた方が良い物があります。それが「医薬品や化粧品(美容品関係)」です。人の体に何かしらの作用があるももの、皮膚にふれるものについては、とても強い規制があるためご注意ください。
医薬品、化粧品(美容系グッズ・石鹸なども含む)は、ほぼ商売目的の輸入をあきらめた方がいいです。アルコールに関しては、一つずつ許可を受けていくことにより、個人でも取り組みやすいビジネスになります。ただ、やはり何も輸入の経験がないのであれば、このような資格が必要としない物から輸入ビジネスを行うことをお勧めいたします。
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