海外交渉後(輸出交渉後)無事に契約が成立したら、代金の受け取りが行われます。その後、約条通りに貨物の用意、出荷書類の準備をします。貨物と書類の用意ができたら、適切なフォワーダーに依頼して国際輸送します。これが輸出物流です。
この記事では、輸出商品の用意、適切なフォワーダーの選び方、出荷書類についてお伝えします。
輸出と物流の仕組み
輸出用に製品を準備する
輸出用に製品を準備するとは、…
- 日本から問題なく輸出ができる。
- 海外に問題がなく輸入ができる
ように貴社製品を海外対応にすることです。具体期には、次の3つの観点があります。
- 製品の標準仕様を決める。
- 対象国で必要になる各種書類を用意する。
- 対象国の規制(レギュレーション)を理解する。
1.製品の標準仕様を決める。
製品の標準仕様とは、輸出先の文化、慣習、現地製品仕様を理解し、貴社商品の海外版仕様を決めることです。
例えば、人気があるカラーリング、ラベル基準、形状、容量、海外用の貴社ブランド名の登録などです。中華圏であれば、赤を基調としたカラーリングに人気があります。環境関連品であれば、緑又はブルーの方がブランドコンセプトが伝わりやすいです。相手国の文化、慣習などから受け入れられやすい製品仕様を見つけましょう!
- アメリカのピザは、日本で売れる?→ 厳しい。体格差があるので食べられない。
- アメリカのホーム家電を日本で売れる→ 厳しい。電圧の問題、キッチンの大きさがあっていないなど。
- 日本の服の規格でラオスで売れる→ 厳しい。理由は、日本人の方が体格が大きいからです。
2.対象国で必要になる各種書類を用意する。
輸出先で必要になる証明書類の確認とそれらを用意できるかを確認します。
例えば、日本とEPAを結んでいる国に輸出するなら特定原産地証明書が必要です。日本から植物製品を輸出するなら植物検疫書、肉類などを輸出するなら、指定解体施設での処理と検疫書の添付が必要です。
どの国に、何を輸出する場合に、何の書類がいるのか?
上記の情報を調べる場合は、あなたの販売先に聞くか、ジェトロサイトなどを活用します。
3.対象国の規制(レギュレーション)を理解する。
輸出先の法的な規制(レギュレーション)を確認します。
例えば、EU向けならCEマーク(機械製品が必要)、中国向けならCCCマークが必要です。それぞれのマークで求められている基準を確認し、輸出商品を適合させます。その他、こられのマーク以外にも農産品、美容品、化粧品、医薬品、幼児向け製品、お酒、肉類、植物などにも特別な規制や制限があります。
各国ごとの規制は、ジェトロの国別海外情報、海外現地税関のサイトでも確認ができます。
フォワーダーとのお付き合い。
国際配送に求められることは、安全に、早く、法令を満たすことです。段ボール程度の小型貨物の輸送であれば、郵便局やフェデックスなどの小型配送業者に依頼することで、比較的、簡単に輸送ができます。一定規模以上の貨物を運ぶ際にフォワーダーが役立ちます。
フォワーダーは、船舶、飛行機等のスペースを借りて、そのスペースを荷主に再販するビジネスをしています。海外に一定規模以上の輸送を希望する場合は、フォワーダーに依頼することが一般的です。フォワーダーは、輸送先や貨物等により得手不得手な部分があります。そのため、複数のフォワーダーから見積もりを取りか価格競争力やサービス品質等を見比べて利用するのがお勧めです。
要注意な貨物
国際輸送で特に注意が必要な貨物は、次の通りです。
- 化学品
- 危険物
- 農産品
- 非常に大きな貨物
これらの貨物を輸送する場合は、特別な書類が求められる可能性が高いです。(MSDS等)これらに関係する貨物を輸送しようとする場合は、できるだけ早くフォワーダーに相談をしましょう!
国際輸送とインコタームズの関係
国際輸送とインコタームズは密接な関係があります。採用するインコタームズによっては、国際輸送が一切不要になることもあります。(例:EXW)
例えば、あなたは輸出者、インコタームズはFOBの場合、次の条件で取引をします。他のインコタームズは、インコタームズ2020を徹底解説で説明しています。
売り手(輸出者) | 買い手 | |
国際輸送代金を負担する人 | ● | |
海上保険を付保する人 | ● |
製品を安全に輸送する為の輸出梱包
国際輸送は、長い時間をかけて輸送する為、国内輸送時よりも頑丈な梱包が必要です。特に海上輸送の場合は、赤道付近で約70度にも達すると言われるほど過酷な環境に置かれます。輸出梱包は、非常に厳しい環境下でも商品にダメージを与えない為の技術です。
特に一般的なカーゴではなく、水漏れ、日光、温度等に弱い貨物。船の揺れや飛行機の離着陸の振動に弱い貨物を輸送する場合は、より丁寧な輸出梱包が必要です。なお、輸出梱包は、輸出梱包だけを行う会社があります。特殊貨物を輸出する場合は、一度、相談することをお勧めします。
出荷書類の準備(EPA)
輸出の必要書類は、国内取引よりも多いです。必要書類は、輸出先、商品、決済方法によって変わります。必要な書類がわからない場合は、海外にいる販売先(買い手)又は、フォワーダーに相談しましょう!弊社でもゼロイチ貿易起業相談でお受けしています。
一般的に必要な書類 |
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特別な場合に必要な書類 |
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輸出通関の流れ
輸出準備ができたら、貨物の輸出手続きを進めていきます。これを「輸出通関」と言います。輸出通関は、通関業者に依頼をして代理で手続きしてもらうことが一般的です。又は、通関業と国際輸送を兼業するフォワーダーに任せます。税関申告の後、無事に輸出許可が下りると、貨物は、海外に向けて輸送されます。なお、輸出許可を受けた貨物に掛かる消費税は還付されます。この輸出に伴う還付処理が得意な税理士もいます。
なお、輸出取引全体の流れは「知識ゼロから始める輸出取引」をご覧ください。
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