タイ・バンコク仕入れでバイクタクシーを活用
評判の悪いタクシー・バイタク事情。どう乗る?
タイのガイドブックには、必ずと言ってよいほどタクシー・バイタクの悪い噂が書かれています。それらは概ね事実ですが、ぼったくり等のリスクを減らし、利便性を大きく向上させることは可能です。バンコク都内を走り回るタクシー・バイタクを仕入れで活用しない手はありません。そこで今回は、タクシー・バイタクに安心乗車する方法を探っていきます。
タクシーとバイタクの基礎知識
まずは基本事項の予習から。
共通事項「日本人はボッタクリの標的とされやすい」
外国語をうまく話せないことも相まって、日本人がボッタクリの標的にされるケースは少なくありません。不心得な運転手にぶつかる確率を下げるには、次のルールを堅守します。
鉄則:観光スポットで客待ちするタクシーは利用せず、流しを拾うべし
たとえば王宮前には、それこそ悪質な運転手が車を停めて客引きしています。言葉巧みに乗客を騙してインチキ宝石店に連れて行くなどの被害も後を絶ちません。観光地に訪れる外国人は地理不案内の蓋然性が高く、捕食しやすいからです。
通常乗務では得られぬ水揚げを一撃で狙えるため、真面目にメーターで流すことなぞバカ臭い。ダークサイドに堕ちた彼らは、網を張ってジッと獲物を待ち構えているのです。そんな運転手らを、私は地蜘蛛タクシーと名付けました。金を騙し取ることば
かりを考えている連中ですから、終始無視を貫きましょう。
基礎知識:タクシー編
(1)初乗り運賃
35バーツ(約140円)です。あー結構乗ったかなぁ、と感じるくらいの乗車でも、大体が100バーツ(約400円)以内です。
(2)カラフルな車体
ピンク一色、緑と黄色のツートンカラー等、よく目立ちます。単色カーは個人、ツートンは会社所有だそうです。だからと言って、乗車に違いが生ずることはありません。
(3)ライセンス
タイでも、日本でいう二種免許が必要です。ところが、掲示されているライセンス写真と運転手が異なるケースが非常に多いです。
これは、正規運転手が家でゴロ寝をしている間、「車を遊ばせておくのはモッタイナイ」との発想から、車両を無資格者に貸出します。借りる方も小遣い稼ぎができるため両者の思惑が一致。めでたくド素人運転手が走り回るという構図です。彼らは、まんま私服で乗務しており、安心感も低下します。
(4)危険度パラメーター(●5が最悪)
- ボッタクリ度 :●●
- 身体財産への危険度:●
- 渋滞回避性能 :●●●●●
今日、タクシー運転手による犯罪ニュースはほとんど聞かなくなりました(ボッタクリを除く)。ただし、バンコクは相変わらずの渋滞地獄です。
基礎知識:バイタク編
(1)乗り方
まず、バイタクという呼び名は、私たちが勝手に名付けたものでしかありません。タイでは「モーターサイ」と呼びます。
さて、主にソイと呼ばれる路地の入り口に彼らは待機しています。その彼らに手で合図を送るなどして乗車の意思を伝えます。タクシーと異なり、流しのバイタクというものはありません。ですから、いかに「空車」であろうとも、走行中のバイタクを拾うことはできません。
なぜなら、気性の荒い彼ら業界内にも紳士協定があるためです。乗客を下ろしたその場で、持ち場に戻る方面の乗客を拾えば合理的に稼ぐことができますが、その場合、他の縄張りライダーの食い扶持を奪うことになります。よって、乗客を下ろした後は「回送」状態で持ち場に戻ります。
(2)運賃
バイタクは、基本的にソイの中を縦に行き来するためのチョイ乗り用です。このとき運賃は、高くても50バーツ(約200円)ほどです。ライダーの乗り場には行き先と運賃が書かれた掲示がありますが、ほぼタイ語ですから解読困難です。
ソイから横に離れた地点を目的地とすると運賃が跳ね上がり、タクシーよりも高くつくことがあります。最終的にはライダーの腹一つで運賃が決まります。
(3)危険度パラメーター(●5つで最悪)
- ボッタクリ度 :●●●
- 身体財産への危険度:●●●●●
- 渋滞回避性能 :●
タクシーに比べるとボッタクリの頻度は高いです。もちろん微々たるものですが、適正運賃を課されないのは不愉快です。また、渋滞の中、すり抜けや逆走を駆使しますから、命懸けで乗車する覚悟が必要です。夜間には飲酒者もチラホラ。
トゥクトゥク編
論外です。物珍しさで乗りたい気持ちも理解できますが、タクシーとしての利用はしないことです。必ずボラれます。
3ボッタクリを劇的に回避する大技・小技
以下、今では99%の確率でボッタクリを回避できるようになった筆者メソッドをご紹介します。
ハッタリでもいい、たくましく使ってほしい
あなたの目的地が超有名でもない限り、タクシーに行き先を告げても「知らない」と言われて乗車拒否されるでしょう。では、目的地近辺まで必ず行く方法とは何か。それは「ソイ番号」です。タイの路地には番号が振られています。
ソイの入口に掲げられた名前と番号。/は「タップ」と読む。
たとえば「ドリームホテル」に行きたければ「スクンビット、ソイ15」と告げます。ホテル名は知らずともソイの場所は明白ですから、これを利用します。さらにこのとき、数字をタイ語で堂々と言うのです。
そこでは運転手に、チェッ。この外国人、タイに慣れてやがる(からメーター使うか)
と思わせます。英語を使うか、タイ語を使うか、大きく差が出るところです。タイ語の数字を覚えるのは難しそうですが、筆者は独自に暗記用ゴロ合わせを実用新案しました。すぐに覚えることができます。
「60分で暗記! 0から999までのタイ語をマスターしよう」
鉤カッコはタイ語の読み方です。タイ数字の語源は英語と日本語なのではないか、と思わせるほど似ていませんか。
- 0:「スーン」 → うんともスーンともゼロ回答
- 1:「ヌン」 → 英語のワン、ヌン
- 2:「ソーン」 → 双
- 3:「サム」 → 三
- 4:「シー」 → 四
- 5:「ハー」 → 英語のファイブ、ハーイブ
- 6:「ホック」 → 六
- 7:「ジェップ」→ セブン、ジェブン、ジェップン、ジェップ
- 8:「ペット」 → エイト、ペイト、ペット
- 9:「ガオ」 → 九官鳥がガオ
- 10:「シップ」 → 重症に湿布
あとは十と百の位を覚えます。日本語と同じ要領です。52(ご・じゅう・に)なら、(ハー)+(シップ)+(ソン)=ハーシップソンとなります。
ただし、例外法則が一つ。11、21、31……といった下一桁が1に関しては、ヌンが「イエッ」に変化します(理屈でなく、いちいちそう言え!)。シップイエッ、※イーシップイエッ、サムシップイエッ……という具合です。
※20から29まではソーンシップとは言わずに「イーシップ」から「イーシップガオ」となる例外もあります(二重に言いなさい)。
百はどう覚えるのか? この栄養ドリンクで覚えます、M−150です。「エムロイハーシップ」といいます。ハーシップは50でしたね。ですからロイは百を意味します。
タクシー運転手に愛飲者が多いM-150。商品名の由来は、容量が150mlであるためか。
さあ、あとは単純な組み合わせで0から999までのタイ数字を話せるはずです。これだけでも、仕入れにおいて非常に効果的な交渉が可能です。
タクシーを停めるとき、バイタクの乗降時はココに注意」
観光客丸出しの姿は、運転手に「ぼったくりチャンス到来」を予感させる山師的な本能を刺激します。ですから、それとは逆の姿を演ずるのです。タクシーを停めるとき、日本では大きく手を挙げますね。しかしタイでは、斜め下に手を伸ばしてアピールします。
「コッチおいで」掌をゆらゆらと動かすのがThaiスタイル。バス乗車時にも。車が停まったら、ドアを開けても乗り込まず、運転手に行き先を告げます。先ほど暗記したタイ語の数字を使ってください。乗車の可否は運転手の気分次第です。許可が出たら乗り込み、メーターのボタンが押されて「35」が表示されたことを確認します。
仮に「300バーツ」などと言い出す運転手だったなら、すぐにドアを閉め、次のタクシーが来るのをお待ちください。
バイタクでは、乗車時に「ハウマッチ」などと訊いてはいけません。相場を知らねぇカモだと思われ、倍以上の料金をふっかけられるでしょう。
支払いは、降車時に「俺はいくらか知ってるぜ」との態度で50バーツ札を差し出します。すると、ほぼ適正運賃を差し引いたお釣りをくれるでしょう。いくらかと尋ねてしまうと、ちゃっかりと割増料金が課されていたりします。
総括「堂々とした態度で乗りこなそう」
運転手たちは外国人観光客の隙を狙っています。私たちは「いやいや、騙されないゾ」との毅然とした態度を示し、少しの工夫を施すことによって、ボッタクリを避けることが可能です。上手に乗りこなし、タイ仕入れに活かしたいものです。
この記事をお気に入りに登録