海外に輸出する際、その取引が本当に利益を生むのかを判断することが大切です。輸送手段ごとの費用構成を理解し、適切なコストシミュレーションをすることにより、概算での利益率を計算できます。
この記事では、海上輸送・航空輸送・通関費用の計算方法について解説していきます。
輸出コストを計算してみよう!
輸出コストを計算し、その構成要素を紹介します。
輸出コストを構成する主要な費用
1. 海上輸送コスト
海上輸送では、コンテナ単位(FCL)または混載(LCL)での輸送が主流です。主な費用項目には以下のものが含まれます。
- 基本運賃:コンテナサイズ(20ft / 40ft)やルートにより変動。
- 燃油サーチャージ:国際的な燃油価格に応じて変動。
- ターミナル取扱料:港湾での貨物の取り扱い費用。
- コンテナ取り扱い料:LCLの場合に発生する倉庫管理費用。
- ドレー費用:コンテナを港から倉庫まで輸送するトラック輸送費。
2. 航空輸送コスト
航空輸送は、スピードが求められる高価値貨物に適しています。費用の計算方法は以下の通りです。
- 基本運賃:貨物の重量や容積重量(chargeable weight)に基づいて算出。
- 燃油サーチャージ:航空会社が燃油費用を転嫁するための料金。
- 空港使用料:発着空港での貨物処理費用。
- 通関手数料:輸出申告や書類作成にかかる費用。
3. 通関関連費用
通関費用は、貨物の種類や輸出国の規制によって異なります。
- 輸出申告費用:通関業者による申告代行手数料。
- 関税・輸入消費税:輸出先の国による課税規制。
- 検査費用:食品や医薬品、危険品などは追加の検査費が発生。
基準となる容積重量の計算方法
上記のコストは、容積重量又は実重量のどちらが大きい方を基準として計算します。それぞれの計算方法は、次の通りです。
航空輸送の容積重量の計算式
- 容積重量(kg)=縦(cm)×横(cm)×高さ(cm)/6000
- 上記の容積重量と実重量を比較し、重い方を基準とする。
海上輸送(LCLの計算式)
- 容積重量(トン)=縦(m)×横(m)×高さ(m)
- 1m³=1トンとして計算する。
- 上記の容積重量と実重量を比較し、重い方を基準とする。
コストシミュレーション
では、実際に計算をしてみましょう!
【ケース1】 海上輸送(LCL)を利用した場合
- 貨物の内容:10CBM(立方メートル)の機械部品
- 基本運賃:$50/CBM × 10 = $500
- 燃油サーチャージ(BAF):$80
- ターミナル費用(THC):$150
- コンテナ取り扱い料(CFS):$100
- 通関手数料:$120
- 合計:$950
【ケース2】 航空輸送を利用した場合
- 貨物の内容:100kgの精密機器
- 課金重量(Chargeable Weight):実重量100kg、容積重量120kg → 120kg適用
- 基本運賃:$5/kg × 120 = $600
- 燃油サーチャージ(FSC):$2/kg × 120 = $240
- 空港使用料:$50
- 通関手数料:$100
- 合計:$990
海上輸送、航空輸送のそれぞれの項目の単価は、荷主や路線、フォワーダーなどによって異なります。一概に把握するのは困難です。したがって、同じ条件の下、複数のフォワーダーから見積もりを取るのが最適解です。
項目ごとの料率をある程度、把握できれば、後は、基準とする重量または容積(CBM)に掛けるだけです。なお、航空輸送と海上輸送を比較した場合、日本に到着後の追加費用は、海上輸送の方が多いです。この部分は不透明な場合があり、フォワーダーによっては過剰請求や、不必要な請求をするケースもあります。
ぜひ、複数のフォワーダーから見積もりを取得しましょう。なお、弊社の方でもあらゆる国際輸送の見積ができます。ぜひ、ご検討ください。
コスト削減のポイント
- 最適な輸送手段:LCLと航空を比較し、コスト・納期のバランスを取る。
- 梱包の最適化:貨物の容積を減らし、LCLや航空貨物の料金を抑える。
- EPAやFTAの活用:輸入国の関税優遇制度を利用して関税コストを削減。
- クーリエサービス:50KG以下の場合に限定して使うと良い。超える場合は、一般航空輸送がベターです。
まとめ
輸出コストは「輸送費 + 通関費 + 関税」で構成され、正確な見積もりが重要です。海上輸送はコスト重視、航空輸送はスピード重視で選択し、適切な梱包と事前計画でコストを最適化しましょう。


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