中国で仕入れた商品を少しでも早く・安く輸送し、日本で販売したい。そこで中国から日本への輸送サービスを提供する「○○快速船」「○○高速輸送サービス」等の利用を検討します。
しかし、いざ、利用すると、ホームページに記載されている日数より遅いことが多いです。在庫がなくなり冷や汗をかいた経験がある方も多いでしょう。
中国輸送業者(輸入代行業者)が示す「高速、快速、瞬足」等とは、何を意味するのでしょうか?
今回は、中国からの高速輸送サービスの問題点「高速とうたうわりに高速でない理由」について言及していきます。この記事を通して、国際輸送業者に騙されないようにしましょう!
■結論
”高速”の言葉が持つ言葉の定義は業者によって異なる。本当に高速配送を実現する国際輸送事業者は、ほんの一握り。できるだけ安く、小規模、雑多な貨物を輸送する業者は、高速のわりに高速輸送でない可能性が高いです。
中国からの船便。遅い原因は? 高速海上輸送の問題点
先日、弊社のサイトに以下のお問い合わせがありました。
初めまして。中国から輸入をしています。ある会社の高速船便サービスを利用していますが、国際輸送+通関+国内配送で約20日程かかります。とても遅いので不満に感じています。
上記の文章を見ると「高速輸送とうたうわりに、輸送日数が長いこと」に不満があることがわかります。もし、これが「中速等」の表記であれば、許せるでしょう。
では、国際輸送業者がいう「高速」とは、何を意味するのでしょうか?
例えば、コンテナ単位未満(LCL)で上海から東京に輸送した場合の日数を見てみましょう。
- ETD 上海 8/1(出航日)
- ETA 東京 8/4(入港日)
- 搬入&デバン 8/5以降
- 貨物の受け取り日(納品日)8/6日以降
上記は、ホットデリバリー、予備申告の有無、輸入者毎の実績、搬入日等で多少前後します。ある程度の輸入実績があれば、上記の日程は「標準」です。したがって、一つの基準として、この標準よりも日数が短い輸送を「高速」、長い輸送を「中速又は低速」と考えても良いでしょう。
利用する業者は、上記の「標準」と比較していかがでしょうか? 本当に高速輸送と言えますか? 冒頭の弊社への問い合わせ事例は「遅いサービス」と判断できます。
高速の定義が不明確なので判断し難い。
国際輸送は、業者が間に入り、特殊な流れを経て提供されているため、様々な部分が不明確です。この内の一つに「言葉の定義」があります。「高速輸送が遅いと感じる件」もこの不明確な言葉から発生するものだと考えられます。
利用者の「高速」と業者が示す「高速」との間には、認識のズレがあることが珍しくないです。このズレがサービスを受けたときの満足度の低下につながっていると予想しています。
業者の高速輸送は、定義が曖昧。輸送速度を判断する基準となる日数を知ることが大切。高速輸送サービスは、標準輸送日数と比較して判断しよう!
高速輸送を実現できる業者の特徴
本当に高速輸送ができる事業者であるのかは、どのように判断するのでしょうか? 実は、これは、安全な輸送を実現できる業者の特徴でもあります。
- 専門度を確認 豊富な輸送スペースを確保できること
- 通関業の許可を持つこと
- アセットを所有(倉庫作業の時間が短い。)している。
- 輸入許可の取得が迅速=輸入許可書を発行できる。
- 安さだけを前面にしていない
*逆に言うと、これらの内、どれかがかけている輸送業者は、高速輸送サービスを提供することは難しく「名前負けするサービス」を提供している可能性が高いです。
普段、利用している○○高速・中国輸送サービス(代行サービス)等を頭に思い浮かべながら、下記5つをご覧ください。
1.専門度を確認!豊富な輸送スペースを確保できる。
中国と日本との間に豊富な輸送スペースがあるのか?を確認します。会社概要等を確認し、特に力を入れている事業部分に注目します。もし、中国輸送部分に特化したサービス等があれば、何らかの強みがあると予想できます。
例えば、土台となる事業が国際輸送事業でない業者は、コネクションも少なく、割高なスペースを確保しなければならないことが多いです。また、少しでも割安な船会社を利用する為、船積み日を調整していることが多いのも特徴です。=当然、これは、納期遅れにつながります。
元々、中国と日本と間の国際輸送業務をしていた。その強みを活かして、独自の特化サービスを作っている企業が最適です!
2.通関業の許可を持っている。
国際輸送事業者が通関業の許可を持っていることも重要です。通関業の許可があると、その業者単独で輸入申告等ができます。また、通関業の許可を持つ業者は、税関長の許可を受けて営業をしているため、正確な輸入手続きができます。
通関業の許可を持たない輸送業者(国際輸送業者)は、許可を持つ業者に通関業務を委託します。しかしながら、委託される通関業者は、国際輸送業者の通関依頼は、雑多な品目+手数料が低いことから、通関業務の優先度を低くしていることが多いです。
→こちらも納期が遅延する一つの理由です!
利用する○○高速輸送等の事業者は、通関業の許可を持っていますか? 会社概要ページを確認し通関業の許認可の有無を確認しよう。なければ、通関部分を外部委託しているため、その分、荷物の輸送スピードが下がります。
3.アセットを持っている(倉庫作業の時間が短い)
アセットとは、中国側、日本側の「倉庫」「輸送設備一式」を指します。
例えば、輸送業者が日本に自社運営のCFS(倉庫)があれば、その分、貨物の取り出し、仕分け等の時間を短縮できます。
一方、自社倉庫を持たない国際輸送事業者は、倉庫業務を外部の会社に委託します。国際輸送事業者は、安さを売りにする所が多いため、外部企業への委託料も低くしようとします。さらに、雑多に大量の貨物を積み込むことが多いため、仕分けにも時間がかかります。
よって、外部企業側としても、作業の優先順位が低くなり、どうしても後回しにすることが多いです。
→倉庫の仕分け部分でも時間がかかりやすい!
4.輸入許可書の取得が迅速=許可書を取得できること
例えば、某中国路線の高速輸送を提供する事業者は、輸入通関を委託しています。このとき、輸入者欄を「輸入代行業者名(その業者名)」にして、一括で輸入申告していることが多いです。
一括で輸入申告とは、あるコンテナの中に10の荷主さんの荷物があっても、全て一人の輸入者の荷物として税関に申告することです=あなたの荷物でも、第三者名義で輸入されている。これは、帳簿や輸入許可書の保存義務や税関の事後調査等のときに問題になる可能性が高いです。
*2022年現在、輸入許可書を得られるようになったようです。
5.安さだけを前面にしていないこと
安さだけを売りにする事業者は避けましょう。特に「コンプライアンス(法令順守)」の意識が高い業者を選ぶのは重要です。まともに日本語が通じない。輸入許可書すら出さない国際輸送業者は危険です。
結局、国際輸送は、ある一定の価格以下に下げることは難しいです。必要以上に下げることは、輸送業者の経営を圧迫し「行き過ぎた合理化」や「削減」につながるからです。おにぎりの「中身」を無くしたら、次はおにぎりの「ごはん」を削るしかできないのです。=輸送品質の低下
例えば…..
- 雑多かつ多くの荷主の貨物を一つのコンテナに詰め込んで輸送する。
- 過度に安い料金で通関や倉庫業務を委託する。
- 本来は、荷主毎に荷主名義で輸入申告するべきなのに、輸入代行業者名等で一括で輸入申告する
などは問題です。輸入申告の結果、ナックスのレンジを超える価格になっていたり、あまりにも雑多な申告になっていたりすることにより、税関検査に当たる可能性も高まります。
→当然、税関検査になれば、その分だけ納期は遅くなります。
以上、5つの特徴を持つ業者であるほど、高速化輸送を提供できる可能性が高いです。見せかけの高速輸送をうたう業者から騙されず、本当に高速輸送ができる業者を選びましょう。結局、価格だけで選ぶのではなく、輸送業者の総合力で判断することが何よりも重要です。
まとめ
- ”高速”の定義は曖昧であるからこそ、騙されやすい。
- 中国から日本への輸送業者には、低速なのに高速とうたう所が多い。
- 本当に高速輸送ができる業者は限定的
- 高速輸送を実現しやすい業者の特徴から、適切な業者選びをしよう。
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