FCLとLCLのメリット・デメリット分岐点の計算もできる！

海外から荷物を運ぶとき、多くの人が使うのが海上輸送です。特に使われるのが「コンテナ輸送」です。この方法には、主に2つのタイプがあります。

FCL：コンテナを1社で使う方法
LCL：他の会社とコンテナを共有する方法

この2つは、費用、届くまでの時間、荷物の扱い方が大きく違います。選び方を間違えると、「思ったより高くなった」「届くのが遅れた」などのトラブルになることもあります。

この記事では、FCLとLCLの違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

どちらを選ぶべきか迷ったときは、こちらのツールも活用してください。（記事の対象箇所に移動）

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コンテナ輸送（FCL）と混載輸送（LCL）の定義

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FCL（Full Container Load）：1本のコンテナを1社が単独で使用する輸送形態
LCL（Less than Container Load）：1本のコンテナを複数の荷主で共同利用する輸送形態

English: FCL means a full container used exclusively by one shipper. LCL refers to consolidated shipments from multiple shippers in one container.

FCLとLCLの違い。

比較項目	FCL（コンテナ単位）	LCL（混載コンテナ）
コンテナ利用	1社で1本占有	複数社で共同利用
向いている貨物量	約13㎥以上	約2〜13㎥
輸送コスト	容積単価は安め（全体は高め）	少量向き・効率的
通関処理	早い（搬入翌日）	遅い（搬入翌々日）
貨物ダメージリスク	少ない	多い可能性あり
ドレージ手配	必要（別途費用）	不要（宅配可能）

FCLは、20フィート（約6ｍ）や40フィートのコンテナ（専用の容器）を丸々1本占有して輸送する方法。一方、LCLは、20F等のコンテナを複数の荷主と共同で輸送する方法です。

FCL（コンテナ輸送）とは？

FCLは、Full Container Load（フルコンテナロード）の略です。これはコンテナスペースを一人の荷主が独占して輸送します。使用するコンテナは、長さ、高さ、運ぶ商品の種類によって様々です。

20フィートコンテナ
40フィートコンテナ
40フィートのハイキューブコンテナ

特徴

荷物が他社と混ざらないため、破損・紛失リスクが低い
スケジュール管理がしやすく、通関も早い
荷物が少ないと割高になる（スペースの無駄）
コンテナをそのまま納品先へ運ぶため、ドレー費用が発生する

FCLが向いているケース

大量に仕入れる（13㎥以上が目安）
品質重視（壊れやすい／高額商品）
納期優先

FCLのメリット・デメリット

貨物にダメージが発生しにくい。
貨物を受け取るまでの時間が短い。
荷物の量によっては割高
ドレージ手配（デバン含む）が必要

１．貨物が壊れにくい

FCL（コンテナ単位での輸送）は、荷物が壊れにくいのが大きなメリットです。コンテナを1社で使うため、他の荷物と混ざることがなく、安全です。一方で、LCL（混載輸送）は他の荷主とスペースを共有します。荷物がぶつかる可能性があり、傷むリスクが少し高くなります。

２．荷物の受け取りが早い

FCLは、荷物の受け取りが早いのもメリットです。船が港に着くと、コンテナが船から降ろされ、税関システムに「搬入（はんにゅう）」の連絡が入ります。これが済んでから、税関に申告ができます。

FCLは、通常「入港の翌日」に搬入されるため、早く通関・受け取りができます。LCLは、デバンニング（荷下ろし作業）が必要なため「入港の翌々日」になることが多く、遅くなります。

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３．荷物が少ないと割高になる

FCLはコンテナを丸ごと使うので、荷物が少ないとスペースが余ってしまい、コストが割高になります。目安として、荷物の体積が13立方メートル（13M3）を超えるとFCLの方が有利です。少ない場合はLCLも検討しましょう。

ただし、納期を早めたいときは、多少高くてもFCLを使うケースもあります。コスト重視ならLCLを選ぶとよいでしょう。

４．コンテナを運ぶトラック（ドレー）の手配が必要

FCLは、コンテナをそのまま倉庫などに運びます。このとき、専用トラック（ドレー）を使います。

ドレー代は「港から往復の距離」で決まります。たとえば、片道30kmなら「往復60km」として料金が設定されています（ラウンド料金）。なお、20フィートと40フィートのドレー代は、ほとんど同じです。つまり、20フィートの方が相対的に割高になることがあります。

ドレーとは？貿易 / コンテナ輸送するときの役割

LCL（混載コンテナ）

LCLは、20フィートや40フィートのコンテナのスペースを他の荷主と分け合う輸送方法です。図で表すと以下の通りです。

LCLは、コンテナ1本に満たない量の貨物を輸送するときに最適です。また、LCLのまとめ上げは「フォワーダー」がおこないます。

例えば、あなたが輸入者なら、輸出国側の売り手がフォワーダーに依頼します。一方、あなたが輸出者なら、日本のフォワーダーに依頼をしてLCLの輸出手配をします。

特徴

少ない物量でも出荷可能
スペースを有効利用できるため、費用負担が軽い
他の荷物との接触・遅延リスクあり
CFSチャージやデバン費用などの追加コストが発生する

LCLが向いているケース

初回輸入やサンプル輸送
2〜13㎥程度の中量貨物
価格重視

LCL（混載コンテナ）のメリット・デメリット

荷物の量にあわせて使える。
荷下ろし作業（デバン）をしなくても良い。
貨物の引き取りまでに時間がかかる
CFSチャージが発生する。
貨物にダメージが発生しやすい。

１．荷物の量に合わせて使える

荷物が多いときはFCL（コンテナ貸切）が割安で効率的です。一方、少ないときはLCL（混載）が便利です。LCLは重さとサイズのうち、どちらか重い方を基準にして料金が決まります。

例えば、本棚1つの輸入ではコンテナを使うとスペースが余りますが、LCLなら他の荷主と分け合えるため無駄がありません。目安として13立方メートル以下ならLCLです。また、EMSなどの小包輸送との比較でも、200kg以上の荷物ならLCLの方が安い場合もあります。

２．荷下ろし作業が不要

FCLはコンテナごと届くため、荷物を出すためのデバン作業が必要です。人手や車両スペースも必要で、コストがかかります。

LCLは荷物だけが届くので、デバン作業が不要です。倉庫やスペースを用意する手間がなくなります。

ハウスB/LとマスターB/Lの違いとは？

３．受け取りに時間がかかる

LCLは複数の荷主でコンテナを使うため、他の荷物の処理が終わるまで受け取れないことがあります。

特に、他の荷主の書類が未提出だったり、マスターB/Lの未払いがあると遅れやすくなります。FCLよりも1日〜数日受け取りが遅くなる傾向があります。

４．CFSチャージがかかる

LCL輸送では、貨物を受け取るときにCFSチャージ（倉庫作業料）がかかります。日本では1立方メートルあたり約4,000円以上が一般的です。

たとえば5M3なら、4,000円×5＝20,000円となります。輸送費だけで判断せず、これら追加費用も考慮しましょう。

CFSチャージ計算機→　アライバル費用計算ツール

５．荷物が壊れやすい

LCLは、輸出前に倉庫で仮置きされるため、作業中にキズがつく可能性があります。また、他の荷主の荷物と一緒に積まれ、コンテナ内が詰まっていることが多く、船の揺れで荷物がぶつかって破損することもあります。

特に壊れやすい物を輸送する場合は、FCLを選ぶか、LCLでも丁寧な梱包が必要です。

項目	FCL	LCL
使用されるB/L	マスターB/Lのみ	ハウスB/L + マスターB/L
荷主情報の記載	輸出者・輸入者	荷主 + フォワーダー
通関処理	簡易	複雑（分割対応）

費用項目	FCL	LCL
基本運賃	コンテナ1本単位	容積（m³）または重量
THC/CFS費	THC（固定）	CFS（m³課金）
国内配送	ドレージ（トラック）	宅配便/軽貨物
リスク	低	やや高い

FCL、LCLのどちらを選ぶ？ 4つの判断基準

1．荷物の量で決める

まずは荷物の容積（縦×横×高さ×個数）を確認します。パレットを使う場合はその分も加えて計算します。

12立方メートルを超えるならFCL（コンテナ貸切）、
LCL（混載便）が目安です。パッキングの工夫で輸送コストも変わります。

2．納期かコストかで決める

FCLはコンテナごと運ばれるため、通関後すぐに引き取れます。LCLは仕分け（デバンニング）に時間がかかるため、納期が遅くなりがちです。

納期を優先 → FCL（早く受け取れる）
コストを重視 → LCL（荷物の量に応じた料金）

3．荷物のダメージを避けたいとき

FCLは1社分の荷物だけなので、他の荷物とぶつかって傷つく心配が少ないです。
LCLは他の荷主の荷物と一緒に積まれるため、破損リスクが高くなります。

壊れやすい荷物の場合は、FCLの方が安心です。

4．現地費用もチェック

LCLではCFSチャージ（倉庫作業料）が荷物の体積で課金されます。量が多いと費用も高くなります。FCLはコンテナ単位でTHC（荷役料）がかかります。THCは一定額ですが、LCLのCFS費用は増える可能性があります。

項目	FCL	LCL
課金単位	コンテナ1本	容積（m³）や重量単位
THC/CFS費用	THC（固定）	CFS（物量に比例）
リスク	荷崩れしにくい	荷物が壊れやすい。

12m³以下だからとLCLを選ぶと、現地のCFS費用が高くつき、FCLよりコストが上がることもあります。現地での費用も含めて判断しましょう。