トランプ大統領による関税引き上げと中国輸入の影響
2025年4月、米国のトランプ大統領が発表した「相互関税」政策により、中国をはじめとする多くの国々に対して高い関税が課されることが決定しました。特に中国はアメリカへの主要な輸出国であり、今回の措置で多くの取引が事実上ストップする可能性があります。当然、これは、中国の製造業者やフォワーダーは販路の再構築を迫られ、アジア市場、特に日本に急速に注目することを意味します。
日本の中小輸入事業者には、以前よりも安い価格のオファーが届いているようです。しかし、その裏には見過ごせないリスクがあります。特に、これまでに国際取引の経験が少ない中小企業ほど、価格の安さに目がくらみ、リスク管理が疎かになるでしょう。
この記事では、過去の米中貿易戦争の事例も踏まえながら、中国からの輸入で注意すべきポイントとその防止策を具体的に解説します。現在の状況は一見するとチャンスにも見えますが、適切な備えがなければ事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。正確な知識と冷静に判断することが重要です。
なぜ今、中国からの激安オファーが増えている?
米国への輸出が激減すれば、当然ながら行き場を失った製品が他国に流れます。過剰な在庫と余った生産能力を背景に、中国のメーカーや輸出業者は、売上維持のために価格を大きく引き下げざるを得ません。特にコンテナの積載率を維持する必要がある物流業者や、在庫滞留を避けたいメーカーは、採算度外視の価格提示をする可能性が高いです。
日本市場は、品質や商習慣の面で中国にとって扱いやすく、地理的にも近いため、代替の輸出先にされやすい状況です。実は、同様の現象は、2018年から始まった前回の米中貿易戦争でも見られました。当時もアメリカ市場を失った中国企業が日本市場へとシフトし、一時的に非常に安価な輸入案件が増えました。
しかしその裏で、実際に多くの中小輸入者が「アライバルノーティスでの高額請求」や「品質トラブル」「納期遅延」などの問題に直面することになりました。安く仕入れたつもりが、トータルでは損失になるなど。今回の状況も、当時と極めて似ており、同様のリスクが再び発生する可能性が高まっています。
実際に起こりうるトラブル事例
ある中小企業は、CIF(運賃・保険料込み)条件で契約を締結しました。契約書には港までの費用がすべて含まれていると記載されていたため、安心していました。しかし、荷物が到着した後、フォワーダーから「アライバルノーティス」という書類とともに、総額10万円を超える費用請求が届きました。その内容は、書類発行料、港湾作業費、コンテナ開披料など、本来想定していなかった追加項目ばかりでした。
このような請求は、実務上はよくあるトラブルの一つです。フォワーダーやブローカーが現地側の協力会社を利用する場合、そのパートナーが自由に価格を設定できる余地があるため、日本側ではコントロールが難しいです。特に書面での明記がなければ、請求に対して反論することも難しくなり、結局は支払うしかなくなります。
さらに厄介なのが、これらの費用が「払わなければ貨物を引き取れない」性質であることです。費用を支払わない限り貨物を引き取れない為、ついつい納期を優先するために不当な請求についても支払ってしまうのです。
他にもあるリスク:品質と納期の問題
価格ばかりに注目して仕入れを行った結果、品質面で問題が発生することも少なくありません。仕様と異なる材質の使用や、パッケージの破損、検品を省略した商品がそのまま出荷される事例が多発しています。フォワーダーやメーカーとの連絡がうまく取れない状況では、返品や交換も難しく、大きな損害につながることもあります。
また、納期の遅れについても同様です。当初の出荷予定から数週間遅れて到着したことで、販売機会を失ったり、顧客からの信頼を失う事例も報告されています。特にネット販売やシーズン商材を扱う企業にとっては、納期遅延は致命的です。取引先の信頼を損ねることで、長期的な顧客離れにもつながりかねません。
トラブルを防ぐための対策と実務ポイント
こうしたリスクを回避するには、まず貿易条件(インコタームズ)を明確に理解することが基本です。FOB(本船渡し)であれば、輸送部分を日本側で手配できるため、港での不透明な費用を回避しやすくなります。あるいはEXWなど。CIFを選ぶ場合でも、「港での追加費用の有無」を必ず確認することが大切です。
契約書の中に費用項目を明記し、価格以外の要素(品質・納期・包装仕様)についても詳細に取り決めましょう。品質面の対策としては、信頼できる第三者検品機関を利用するのが効果的です。費用は発生しますが、不良品による損害を考えれば、必要な投資といえるでしょう。
また、見積書やインボイスに記載された価格が「最終価格」ではない場合があることにも注意が必要です。通関費用、現地側での港湾諸費用、燃油サーチャージなど、見積外の費用が発生するケースを想定し、契約書での確認を徹底しましょう。
フォワーダーの選定では、料金だけでなく、「実績」「対応スピード」「日本語でのやりとりが可能か」などをチェックし、必要なら日本側の業者を通じて手配するのが安全です。
まとめ:中小企業こそ慎重に。価格の裏を見抜く力を
輸入ビジネスは、価格だけを見て判断してしまうと非常に危険です。特に今回のように外部環境が急変した際には、一時的に“魅力的な条件”が多数出てきますが、その裏側にはリスクが潜んでいます。過去の米中貿易戦争でも、同様の現象が起こり、多くの中小企業がトラブルに巻き込まれました。
安く仕入れることはビジネス上のメリットですが、それが原因で損害を受けてしまっては本末転倒です。契約前の確認、書類管理、輸送ルートの選定など、慎重な判断と適切な準備が不可欠です。少しでも不安がある場合は、専門家への相談を検討しましょう。特に初めての輸入に取り組む企業であれば、実務経験のある専門家に手順や留意点を聞くことが、成功への近道です。
チェックリスト:輸入前に確認しておくべき10のポイント
- インコタームズ(FOB/CIFなど)は適切か、内容を理解しているか
- 港到着後に発生する費用の内訳をすべて把握しているか
- 見積書や契約書にすべての費用と条件が明記されているか
- 輸送スケジュールと遅延時の対応について取り決めているか
- フォワーダーやメーカーの信用調査を行っているか
- 事前にサンプルや仕様確認を行っているか
- 第三者による出荷前検品を検討しているか
- 支払条件(前払い、信用状など)がリスク管理されているか
- トラブル発生時の責任範囲が契約上で明確化されているか
- 担当者と日本語・英語でスムーズにやり取りできる環境が整っているか




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