この記事は、スパイス(香辛料)を輸入して販売する為に必要な書類、輸入状況、輸入価格、検疫状況等を説明します。
スパイスの輸入販売
料理には、ニンニク、胡椒(ブラックペッパー)、唐辛子などの様々な香辛料が活躍します。もし、スパイス好きなら、海外のスパイスを輸入販売したいと思うはずです。
スパイスの輸入販売は、比較的、ハードルが低いです。必要な書類、検疫条件も他の品目よりも緩いです。必要な書類を用意して、一つ一つ確実に手続きをしていけば、スパイスの輸入販売は、十分に可能です。
スパイスの輸入ビジネスに挑戦してみましょう!
事前確認の重要性
まずは、スパイスの情報収集をします。スパイス協会のサイトで業界の慣習、輸入状況、輸入許可後の販売時の表示義務(食品表示法)等の情報を調べます。
スパイス、チョコレート、オリーブ等の一般的な商品は、法的に規定されていなくても、業界の慣習的なルール(自主ルール)があります。あわせて食品検疫所や植物検疫所なども確認します。
スパイスの需要状況
基本的にスパイス等は、コモディティ商品といいます。すでに市場で一般化しているため、価格での勝負は難しいです。小規模は、価格以外で差別化をします。
以下の点を確認し、自社でビジネス化できるかを検討しましょう。つまり、戦うポジションの部分です。そこをはっきりとさせます。価格勝負では無理です。
- スパイスの内、何が人気なのか?(需要があるのか)
- 購入の動機(なぜ、買っているのか?)
- その原産国は、どこが良いのか?
- 人気がある規格は、何か?
- 関連製品(ミルやケース等)を含めてキャッシュポジションを作れるのか?
- スパイスその物以上の価値を与えられるのか?
スパイス以上の価値を与えられるとは?
スパイス以上の価値とは、どのような物なのでしょうか? 一例は「リロ氏のひとり遊びちゃんねる」さんです。
このチャンネルは、一品料理を作る動画を公開し、アマゾンでスパイスを販売されています。
- YouTubeでファン化
- 見込み客の獲得
- スパイスの販売
上記、導線を作られています。ブランディングができている為、スパイス以外でもキャッシュ化できるのが特徴です。
Youtube等は、戦略的に活用することで、ビジネス上の見込み客を獲得し商品やサービスの販売につなげられます。
マネタイズを創るべし!貴社の応用を考えてみよう!
貴社の場合に置き換えてみましょう! どのような人がスパイスを求めますか? どのようなコンテンツがあれば、ビジネスの見込み客を集客し販売につながられるのか?を検討します。
貴社のお客さんは、誰?
スパイスの輸入販売は、輸入して販売し商売として成立させることが目的です。スパイスの情報を調べることはもちろんのこと、出口戦略までを検討しましょう!
スパイスの基礎情報
ここからは、具体的な基礎情報を紹介していきます。
HSコードの輸入価格・原産国・関税・消費税
スパイスのHSコードは、0904~の周辺です。輸入原産国と合わせて確認することで、関税率や消費税額の計算ができます。
例えば、0914.11.100のペッパー×シンガポール産は、無税です。一覧にない国の内、LDC(特別特恵国)に該当する国も無税。それ以外は、3%(協定税率)がかかります。
また、スパイスは、食品のため、軽減税率の対象です。輸入消費税率は、8%です。なお、輸入価格の合計が20万円以下の場合は、上記の関税率とは異なる簡易税率が適用されます。
関税額等を計算は、関税率計算ツールをご利用ください。
スパイスの関税率は、無税~9%前後のいずれか。輸入消費税率は、8%です。つまり、ざっくりと輸入価格の10%~20%の税がかかると考えればいいです。
現状の輸入状況と価格を調べるには?
輸入状況と価格は貿易統計の「品別国別表」で調べられます。
例:2022年全期の0904.12-100は、次の通りです。*一部抜粋。
国名 | 数量 | 単価(円)/kg |
ベトナム | 31199 | 1517 |
マレーシア | 21511 | 701 |
インド | 5669 | 1897 |
中華人民共和国 | 1194 | 2963 |
ドイツ | 1050 | 2210 |
ネパール | 973 | 1713 |
タイ | 720 | 1213 |
イタリア | 608 | 5263 |
カンボジア | 576 | 1635 |
スリランカ | 567 | 3605 |
スパイスを輸入できない又は難しくなるパターン
スパイスの輸入が難しくなったり、禁止されたりするパターンがあります。代表的な物は、次の通りです。仕入れを検討する場合は、以下のいずれかに当てはまらないかを確認します。
1.病害虫が付着している。
2.乾燥してない。
3.小売り用の容器に入っていない。
4.禁止添加物の含有等
5.食品検疫で命令検査の対象
7.医薬に分類される物
相談先と関連する検疫所
スパイスを輸入するときの相談先は、次の通りです。
機関名 | 相談できること |
税関 | 適切なHSコードの特定(事前教示制度)及び関税額や消費税額の計算 |
食品検疫所 | 「食の安全性」に関する相談。具体的には、命令検査の対象か否か。残留農薬の規制、関連する添加物規制等の確認 |
植物防疫所 | 「病害虫」に関する相談。具体的には、植物防疫法の対象になるのか。ならないのか。対象の場合の必要書類の確認 |
特にここに注意するべき!
- 食品検疫は、禁止添加物の使用、残留農薬の有無、命令検査の対象?
- 植物防疫は、病害虫が付着していないこと。小売用の容器に含まれること。乾燥し粉砕等しているのかどうか?
他、意外に見落としがちなのが薬機法です。スパイスは、単なる食品です。食品を超えた表現(効果・効能等を標ぼうすること)又は、食薬区分リストの「医薬」に区分されるスパイスは、薬機法が適用されて、輸入は不可です。
具体的な輸入アクション
ここからは、具体的な輸入アクションを確認していきましょう!
- シッパーから必要な書類や情報を取り寄せる
- 事前確認を受ける。
- 小口で輸入する
- 国際配送、通関で問題点を洗い出す。
- 本格的な輸入をする。
1.シッパーから必要な書類や情報を取り寄せる
まずは、食品検疫や植物防疫で必要な書類を取り寄せます。基本的に植物防疫法は、小売り容器に入っていること、乾燥していることの2つの条件を満たせば対象外です。その場合は、食品検疫のみを受けます。
食品検疫で必要な書類
原材料表、製造工程表等
原材料表等の詳細は、ゼロからの食品輸入で解説しています。
植物検疫で必要な書類(必要な場合)
輸入国政府機関が発行したPHYTOSANITARY CERTIFICATEが必要です。詳細:ゼロから始める植物の輸入ビジネス
その他のインボイス、パッキングリスト、B/L等、アライバルノーティスなどは、特に意識することなく入手できます。(売り手と手続きを進めていく内に)
2.事前確認を受ける。
次に売り手から入手した書類を基にして、各地の食品検疫所に事前相談をします。書類等を提出すると、様々なダメ出しが行われます。その上でいくつかの修正点等を洗い出します。
植物防疫所には、小売りケース入りで乾燥していること、輸入原産国を告げて「植物防疫法の対象外」を確認します。なお、その際、連絡先、担当者名、日付、時間をメモしておきます。
3.小口で輸入する
次に小口で輸入手配をすすめます。この目的は、次の2つです。
- 国際輸送や通関等で問題が起きないか?
- 商品の品質等に問題はないのか?
これらを確認して、次回の本格輸入に活かします。
4.問題点があれば、売り手に要求する
もし、改善点等があれば、売り手にその旨を要求しましょう。双方が納得したら、ようやく本格的な輸入に移行していきます!
5.本格的な輸入をする。
本格的な輸入は、通関業者やフォワーダー等に任せた方が良いです。税関申告や税関検査対応、納税、許可後の国内配送等を一気に手配できます。
輸入後の国内販売
輸入後、国内で販売する場合、必ず「食品表示法」が定めるルール通りにラベルを貼らなければならないです。スパイスの容器やラベルは、デザインセンスがいります。
もし、自社で力不足な場合は、外部のデザイナー等に依頼をしましょう。
例えば、ある一定の規模感であるなら、デザインを作成した後、データを渡し、指定のラベルと容器を使いパッキングしてもらう方法もあります。この場合は、日本で加工するよりもコストを安くできる可能性があります。
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