中国からアパレル商品を輸入する際、思わぬトラブルに直面することがあります。輸入に慣れていない初心者にとっては、どんな問題が発生するのか、どうすればそれを防げるのかを事前に知っておくことが重要です。
この記事では、中国からアパレル商品を輸入する際に直面するトラブルと対策について詳しく解説します。
アパレル商品の輸入で直面するよくあるトラブルと対策
金型や副資材などの申告漏れ
アパレル商品の輸入では、生地やボタン、ファスナーなどの副資材が必要です。これらの副資材や、製造に使用する金型やミシンといった機械設備は、適切に輸入申告する義務があります。しかし、実務では、これらを見落とすケースが多いです。
例えば
- 日本から中国の工場に金型を無償で提供している。
- アパレル製品を作る為の原材料の一部を送っている
などが当てはまります。これらの提供分を日本の輸入申告時に計上する必要があります。このことを知らず、申告漏れをする方は非常に多いです。
- 無償で提供された材料や設備の価値を申告しない。
- 複数の設備を一つのインボイスにまとめた際、一部が漏れる
- そもそも輸入者が申告の必要性を理解していない。
こうした申告漏れを防ぐためには、仕入れの際に使用する材料や設備について、輸入申告が必要かどうかを事前に確認しておくことが大切です。
生産工場等に無償で提供している分は、全て日本側の輸入申告で計上する必要があります。計上しないと申告漏れが発生します。
金型費用や無償提供した原材料、加工賃なども課税価格に含める
商品の品質トラブル
中国から輸入したアパレル商品が、期待していた品質とは異なることもよくあります。具体的には、以下のケースが挙げられます。
- 注文した商品と微妙に異なる商品が届く
- 色や形が全く違う商品が届く
- 日本の品質基準に満たない商品が納品される
- サイズ表記の違いによる誤発注
- 実際の商品サイズが表記と異なる
このような品質トラブルを避けるためには、本格的な仕入れの前にサンプルを取り寄せることが重要です。複数のショップからサンプルを比較し、品質を確認した上で信頼できる仕入れ先を選びましょう。また、輸入代行業者に開封検品を依頼することで、不良品の混入を防げます。
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もし、中国側の生産工場と契約等をする場合は、専門の検品サービス会社もあります。ぜひ、検討してみましょう!
不良品が発生した場合の対応方法
輸入した商品に不良品が含まれていた場合、適切な対応をとることで損失を最小限にできます。以下の方法を検討しましょう。
- 仕入れ先に返品・交換を依頼する: 不良品の返品や交換が可能かどうか、まずは仕入れ先に確認しましょう。返品時の送料負担なども確認する。
- 輸入代行業者に相談する: 代行業者を利用している場合は、不良品対応のサポートを受けられる可能性があります。
- 国内で販売する: 返品が難しい場合、不良品としてメルカリやヤフオクなどのフリマサイトで販売することも一つの手段です。ただし、品質を正直に記載し、クレームを防ぎましょう。
規模感があるアパレルビジネスの場合は?
一定の規模感でビジネスをしている場合は、既述の生産監視や検品サービスを提供する会社に外部的な立場から監視してもらうのが良いです。検品サービスは、生産時の監視、生産後の検品、発送前の最終検品などがあります。まずは、中国側で不良品を出させない工夫が必要です。
知的財産権関連のトラブル
人気商品のコピー品やブランドの模倣品を誤って仕入れることは、法的リスクがあります。特に中国製品は十分に注意が必要です。
- 売れている商品のコピー品を仕入れてしまう
- 特許、商標、著作権、意匠などの知的財産権を侵害した商品を扱う。
- 有名ブランドの模倣品や極似した商品を仕入れてしまう
これらにより……
- 商標権侵害による差止請求
- 損害賠償請求や不当利得返還請求
- 信用回復措置請求
- 刑事罰の対象となるリスク
などのリスクが発生します。これらを回避するためには、商品の選定時に知的財産権侵害のリスクを慎重に評価します。必要に応じて専門家に相談し、法的リスクを最小限に抑えるようにしましょう。
関連知識:知的財産を侵害しているおそれがある物品の認定手続き
納品遅延トラブル
納品が遅れることで、販売計画に影響を及ぼすことがあります。以下のような理由で納品遅延が発生することが多いです。
- 生産の遅れや輸送トラブルによる遅延
- 輸入手続きの遅れ
これを防ぐためには、仕入れ先との契約時に納期を明確に指定することが重要です。「ASAP」などの曖昧な表現ではなく、具体的な日付を指定することで、納期の遅れを最小限にできます。また、余裕を持った納期を顧客に伝え、リスク管理を行うことも大切です。
アンダーバリュー(実際の価格よりも低い価格で申告すること)
輸入時に商品の価格を実際よりも低く申告する「アンダーバリュー」は、違法行為です。この行為を行うと、以下のリスクが発生します。
- 関税法違反として罰則を受ける: アンダーバリューが発覚した場合、関税の追徴課税だけでなく、罰金や刑事責任を問われる
- 税関でのトラブル: 税関の審査が厳しくなり、輸入許可が下りにくくなる
- 信用の低下: 取引先や税関との信用を失い、将来的な輸入が困難になる
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正確な価格で正しく申告しましょう!
品質表示タグの貼り付け(正規方法)
日本国内で販売するアパレル商品には、法律で定められた品質表示タグを適切に貼り付ける義務があります。
- 表示内容の確認: 日本では「家庭用品品質表示法」に基づき、繊維製品には素材の組成や洗濯方法を記載する義務がある。
- 日本語表記のタグを用意する: 日本語表記の品質表示タグを別途準備し、縫い付けるかシールで貼り付ける
- 適切な位置に貼り付ける: 一般的に、品質表示タグは衣類の内側に縫い付けるか、タグにプリントしておくことが多い。
その他のトラブル
その他のトラブルもご紹介します。
- 商品画像の重複使用による混乱:複数のショップが同じ商品画像を使用しているため、実際の品質や仕様が異なる
- 仕入れ先の違いによる品質のばらつき:同じ商品でも仕入れ先によって品質が異なり、一定の品質を確保するのが難しい。
- 動植物由来の素材による輸入規制への抵触:特定の素材(毛皮やレザーなど)が規制対象となり、輸入手続きに問題が生じることがある。
これらのトラブルを防ぐためには、以下の対策が有効です。
- 仕入れ前に販売店舗の評価やレビューを確認する
- 複数のショップからサンプルを取り寄せ、品質を比較する
- 動植物由来の素材が含まれている場合は、輸入規制を事前に調査する
暫定8条とは?アパレル輸入ビジネスに必須の関税制度暫八のマニュアル!アパレル品を輸入する場合の必要書類は?
まとめ
- 金型や副資材の申告漏れを防ぐため、仕入れ前に確認する
- サンプルを取り寄せて品質チェックを行い、検品を徹底する
- 知的財産権侵害のリスクを評価し、専門家に相談する
- 納期を具体的に指定し、仕入れ先との連携を強化する
- 法的リスクを回避するため、商標権や知的財産権を確認する
- その他のトラブルを防ぐため、仕入れ先の評価や輸入規制を事前に確認する
【実例付き】中国アパレル輸入の成功法則!低コストで安定供給する方法
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