タイのFTA ASEAN、中国、日本などへの無税輸出が可能!

タイ HUNADE自由貿易(EPA)
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ほほえみの国と言われるタイは、多くの日系企業が進出しており、海外の中でも特に日本とのつながりが強い国です。実際、私自身も、これまで5回以上もタイを訪れたことがあり、行くごとにますますタイの魅力を感じます。

東南アジアにおけるタイの存在を考えると、おそらく、シンガポールの次に発展している国だと思います。バンコク(タイの首都)の規模感、食や文化の多様性などを考えると、東南アジアの中では別格の存在です。実際、タイの北隣にあるラオスでは、文化や物資などがタイから届くことが多く、言葉や遣えるお金なども、タイの影響を強く受けています。

では、なぜ、ここまでしてタイは、東南アジアの中でひときわ発展したのでしょうか? 様々な要因があると思いますが、一つの理由として、FTAネットワークがあります。FTAとは、物品のやりとりを関税無税で行うための仕組みです。タイは、このFTAの仕組みををうまく活用して、自国へ工場を誘致して、産業を大きく発展させました。

そこで、この記事では、タイは、どこの国とどのようなFTAを結んでいるのか? 日本企業は、タイのFTAをどのように活用していけば良いのかをご紹介していきます。

タイ HUNADE

タイのFTA

タイは、東南アジアにある国の一つです。日本よりも赤道側に位置するため、年中、高温多雨の気候であることが特徴です。タイから日本へは、飛行機でおよそ5時間ほどです。最近は、日本と首都であるバンコクとを結ぶLCCなどが就航しているため、より気軽に行ける国になりました。

2014年のデータによると、タイにおける日本人は、およそ70000人と言われています。ラオスに滞在する日本人が700人。フィリピンに滞在する日本人が15000人ほどであることを考えると、いかにタイと日本の関係が深いのかがわかりますね。もちろん、これはタイと日本の間におけるビジネスでも言えます。

タイは、日本にとって、様々な地域へ輸出をするための重要な生産拠点でもあります。なぜでしょうか?

まずは、製造に関する人件費が日本よりも圧倒的に安い点があげられます。人件費が安ければ、同じ製品を作ったとしても、手元に残る利益が多くなるからです。また、あえて安くなった人件費の部分で利益を取らず、売り上げを拡大するための「廉価版(れんかばん)」を出すなども有効な戦略です。

タイに生産施設を設けることにより、製造コストが安くなることが一つのポイントであるようです。しかし、もちろん、この理由だけでタイに進出しているわけではありません。仮に人件費が安いだけであれば、タイ以外にも対象になる国がたくさんあるはずですね。しかし、その中でタイを選んでいるわけですから、そこには必ず理由があります。それが「タイのFTA網」です。

タイが結んでいるFTA

FTAとは、フリートレードの略であり、物品が国境をまたくときにかかる関税がかからない仕組みです。国境をまたぐときに関税がかからないとは、外国間の取引であっても、国内取引のように商売ができることを意味します。

下の画像をご覧ください。こちらは、タイが結んでいるFTAの一覧です。(これら以外にもFTAがあります)

画像をご覧になるとわかる通り、タイでは、日本を含めて、四方八方にFTAネットワークが広がっています。主な国としては、中国、インド、アセアンア全体、そしてオーストラリアなどがあります。この中で特に注目すべき点は、中国やインドとの間にもFTAが結ばれている点です。

2018年5月現在、日本は、15のEPAを結んでおり、この中の一つとしてインドとの協定は結んでいます。

しかし、最も貿易関係が強い中国とは、いまだにFTAを結んでいません。この点、タイでは、中国、インドなどの注目国とあわせて東南アジア、オーストラリア、ニュージーランド、韓国などともFTAを結んでいます。2018現在は、アメリカやEUとのFTA交渉なども行われています。また、TPP11への参加表明なども行い、さらにタイがFTA拠点しての重要性が高まる予定です。

タイ・FTA

タイのFTAを活用するメリット

タイは、様々な方面の国とFTAを結ぶことで、関税ゼロ輸出ができる仕組みを整えています。これは、外国企業によるタイの進出としてプラスに働きます。なぜ、多くのFTAを結ぶことがタイにとって、有利に働くようになるのでしょうか? それは、FTAにおける関税ゼロ輸出が関係しています。

例えば、日本の会社があるとします。この会社は、ある商品Bを作っており、これを中国に輸出したいと考えています。しかし、日本と中国は、FTAを結んでいないため、日本で輸出→中国で輸入の形にすると、およそ10%の関税がかかります。この場合、この会社は、どのようにすれば、中国に関税ゼロで輸出ができるのでしょうか?

これを逆に考えれば、中国とFTAを結んでいる国は、どこであるのか?ということです。このような思考の結果、その選択がタイになることが多ければ、必然的に製造地としての魅力が高まることがわかりますね。つまり、タイは、FTAを結ぶことにより、様々な主要国へ「関税ゼロ輸出」ができるようにして、自国への製造拠点の誘致に成功しているのです。

「タイで製造工場を作れば…またはタイで生産された商品を仕入れれば、様々な国へ関税ゼロ輸出ができる」

このような立ち位置になるために、タイは、世界的なFTAをどんどんと結んでいます。ちなみに、このFTAの活用でよくある勘違いは、タイのFTAは、タイの企業でしか使えないということです。実は、これは、大きな勘違いです。タイ以外の会社であっても、タイのFTAを使って輸出することはできます。

例えば、日本企業があるとします。この日本の会社がタイで生産された商品を仕入れて、それを第三国へ輸出してもタイのFTAは使えます。これを「第三国FTA」といます。逆に言うと、タイの企業であっても、日本のFTA(EPA)を利用することはできるというです。

■ポイント
タイは、主要な国とのFTAを結ぶことで関税ゼロで輸出できる生産拠点としての立ち位置を築いています。

日本企業とタイのFTA

タイは、積極的にFTAを結ぶことにより関税ゼロで輸出できる生産国としての地位を築いています。では、日本企業としては、このタイのFTAをどのように活用すればいいのでしょうか? もちろん、FTAといっても輸出で活用するのか。それとも輸入で活用するのかは違いますが、ここでは輸出するときのことを考えてみましょう!

パターン1.タイから東南アジアへの輸出

タイを含む東南アジア一帯は、日本とは異なり、継続的に人口が増えています。少し前までは、所得水準の関係から単なる生産地としての位置づけでした。しかし、経済の発展によって所得が増えたことによって、生産地だけではなく、消費地としての魅力が高まってきています。つまり、何かを売り込むための市場としての魅力がでてきた国です。

もし、東南アジア方面に商品を売りこむときは、大きく分けると次の2つの形が考えられます。

  1. 日本から輸出をするパターン
  2. 東南アジアにあるどこかで製造して、そこから輸出するパターンです。

1番の形を作るのであれば、日本と東南アジア諸国との二国間EPAまたは、東南アジア全体に適用される多国間EPAを活用して輸出することになります。このスキームで輸出するときは、必ず日本生産になるため、東南アジア諸国に、高額商品を輸出するときに有効な方法です。

ただし、もう少しビジネスの幅を広げたいのであれば、2番のタイで生産した後、そこから輸出する方が良いです。この場合、タイの賃金ベースでの生産となるため、生産コストもかかりません。また、タイと東南アジア諸国は、ATIGAを結んでいるため、東南アジア域内は、すべて関税無税で輸出ができます。

東南アジアへ輸出するときに、タイでの工場で集中生産することを考えると、ビジネスが大きく加速する可能性があります。

パターン2.タイから中国へ輸出するスキーム

2018年現在、日本と中国は、FTA(EPA)を結んでいません。そのため、直接、日本から中国へ商品を輸出すると、商品に応じた関税がかかります。もし、中国側の関税がかからないように輸出したければ、タイの工場で商品を製造した後、中国へ輸出する形を考えます。

日本→中国=FTAがないため関税がかかる

タイ→中国=CNFTAにより、関税がかからない。

中国市場へ商品の輸出を考えているときは、タイの工場で生産して輸出できないかを検討してみましょう!

パターン4.タイからインドへ輸出するパターン

インド市場の特徴は、とにかく「価格にシビアであること」です。少しでも安い物を安定的に供給することが求められます。人件費だけを考えると、インドの工場で生産した方がコスト面では良いような気がします。

しかし、インドにおける道路網や品質などを考えると、インド国内の生産と供給は何かとハードルが高いことが多いです。そのため、インド向けに輸出をするときは、AIFTAを活用してタイから輸出するようにします。これにより、日本生産では実現できない圧倒的に安い商品を生産できるとともに、タイのFTAネットワークを使い、関税ゼロでインドに輸出ができます。

以上がタイのFTAネットワークを活用したビジネスの一例です。FTAは、日本を基準に考える必要はありません。タイを含めて、多面的に検討することが重要です。「この国へ関税無税で輸出するにはどうしよう?」との思考からスタートして、商品を製造するべき拠点を考えます。2018年現在のFTA状況をみると、この拠点がタイになる可能性が極めて大きいです。

2020年 タイのFTAネットワークの一覧

署名・発効済みアセアン協議中アセアン-EU
アセアン-韓国RCEP
アセアン-日本アセアン-パキスタン
アセアン-インドアセアン-ユーラシア
アセアン-香港・中国アセアン-カナダ
アセアン-中国アジア太平洋自由貿易協定
アセアン-オーストラリア、ニュージーランドタイ-メルコスール
タイ-ラオスタイ-韓国
タイ-中国タイ-カナダ
タイ-オーストラリアタイ-コロンビア
タイ-ニュージーランドタイ-ヨルダン
タイ-日本タイ-バーレーン
タイ-ペルータイ-アメリカ
タイ-チリタイ-EU
タイ-パキスタン
タイ-スリランカ
タイ-トルコ

まとめ

  • タイは、使用な国と積極的にFTAを結んでいます。
  • FTAを結ぶことにより生産地としての重要性が高ります。
  • 日本企業は、タイのFTA網(第三国FTA)を活用して、中国やインド、東南アジア諸国などに商品を供給するスキームを考えます。
  • 将来的に、タイは、アメリカ、EU、そしてTPP11にも加入する可能性が高いです。

基幹記事:東南アジアのトビラタイと貿易の始め方!

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