日本へ商品を輸入するときは、商品に応じた関税(税金)を支払います。関税は、「関税率表」に従って細かく決められており、商品によっては高い税率が設定されています。関税率は、原産国により、細かく設定されています。
今回は、高い関税率が設定されている品目でも、無税で輸入できることが多い「特別特恵制度/LDC」について解説していきます。
実は高額な関税率が設定されているバターも無税で輸入ができます!
特別特恵からの無税輸入
日本に商品を輸入するときは、商品ごとに決められている関税を支払います。一般的に農産品に近い物であるほど、関税率が高いです。逆に、工業製品など、加工度合が高くなるにつれて関税は、低率または無税です。
品目によっては、各種業界の思惑、昔からの慣習等により、通常よりも極めて高い関税率が設定されている物があります。
- 革製品
- 蒟蒻
- バター
例えば、革製品の場合は…..
特別特恵国から関税を無税で輸入する
特別特恵国とは、経済発展が遅れている為、その発展を応援する国と定めている所です。日本もこの特別特恵国に指定されている約50程の国の産品については、原則、関税を無税にして輸入できるようにしています。
*なお、特別特恵国のことを別称「LDC」とも言います。
例:商品の関税率が10%の場合の特別特恵国の扱い
一般の国 | 特恵国 | 特別特恵国 |
10% | 5%(本来の関税率よりも減額) | 0%(無税) |
後発開発途上国=特別特恵受益国=LDCの定義
特別特恵国(LDC)の条件は、外務省のホームページに以下のように記載されています。
- 一人あたりGNI(3年間平均):1,088米ドル以下
- HAI(Human Assets Index):60以下
- EVI(Economic Vulnerability Index):36以上
2024年現在のLDC(45か国)
アンゴラ、ベナン、ブルキナファソ、ブルンジ、中央アフリカ、チャド、コモロ、コンゴ民主共和国、ジブチ、エリトリア、エチオピア、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、レソト、リベリア、マダガスカル、マラウイ、マリ、モーリタニア、モザンビーク、ニジェール、ルワンダ、サントメ・プリンシペ(2024年に卒業予定)、セネガル、シエラレオネ、ソマリア、南スーダン、スーダン、トーゴ、ウガンダ、タンザニア、ザンビア、アフガニスタン、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ネパール、東ティモール、イエメン、キリバス、ソロモン諸島、ツバル、ハイチ
情報元:外務省
国名を見ても位置関係がよくわからないと思いましたので、地図上に表示をしてみました。アジアでは人口が爆発的に増えているバングラデッシュなどが入っていますので要注目です。そういえば、アパレルメーカーがバングラデッシュに縫製工場を移動している理由もよくわかりますよね。
輸入したい商品を特別特恵国から探してみましょう!
特別特恵国の産品であると、関税無税で輸入できる場合が多いです。 もし、関税が高い商品を扱っている場合は、それが特別特恵国から調達できないのかを調べてみましょう!
特別特恵を適用できるか確認する方法
特別特恵が適用される商品か?を調べる方法
をご紹介します。ウェブタリフか税関の実行関税率表のページに移動します。ここでは、ウェブタリフの説明をします。
左側に商品が並んでいますね。右側に視線を移動すると「特別特恵の欄」があります。ここに無税と書かれている物が対象です。ただし、無税と書かれていない場合も、無税になることがあります。それは「階層」が関係します。しかし、話がややこしくなるため、ここでは、無税と書かれている=無税で輸入ができると覚えておきましょう。
関連記事:輸出と輸入でEPA(自由貿易)を活用するときの流れ
特別特恵関税の除外品目はある? 関税暫定措置法 別表5
特別特恵を使うと、基本的にほとんどの貨物は無税扱いです。しかし、一部の産品については、特別特恵ですら除外されています。
二・四四号、第〇三〇二・四五号、第〇三〇二・四九号の一、第〇三〇二・五一号、第〇三〇二・五四号の一、第〇三〇二・五五号、第〇三〇二・五九号の一、第〇三〇二・八九号の一、第〇三〇二・九九号の二の(一)、第〇三〇三・五一号、第〇三〇三・五三号の一、第〇三〇三・五四号、第〇三〇三・五五号、第〇三〇三・五九号の一、第〇三〇三・六三号、第〇三〇三・六六号の一、第〇三〇三・六七号、第〇三〇三・六九号の一、第〇三〇三・八九号の一、第〇三〇三・九一号の二、第〇三〇三・九九号の二の(一)、第〇三)…..
まとめ
昔からの慣習によって、理解できないほど高い関税率が設定されている物があります。これは、さまざまな政治的背景や利権が関係するため、仕方がないことです。しかし、この高関税を合法的に免れるように輸入する方法はいくつか存在します。今回お伝えした特別特恵国からの輸入は、その中の一つです。あなたの輸入ビジネスでも、LDCからの関税無税輸入を検討してみてください。
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