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タイの超ローカルな仕入先を紹介!パンティッププラザ等

パンティッププラザ

近年、バンコクの発展は目を見張るものがあります。高層ビルが林立し、艶やかな巨大ショッピングモールも競うようにオープンラッシュ。鉄道も次々と新路線が開通するなど、もはや途上国とは思えぬ都市化が進行しています。日本の地方都市を大きく凌駕する都会っ子ぶりに、初めてバンコクを訪れる人は驚くことでしょう。

ところが私のようなひねくれ者には、それが面白くない。なぜなら私は、タイに日本にはない「ぶっ飛んだ」姿を求めているからでしょう。

私が初めてタイを訪れた頃、まだまだ「ぶっ飛んだ」人や物や場所がかろうじて残されていました。しかし、今ではほとんど見つけることができません。「あの頃はよかったなァ」と思い出に浸る日々でしたが、私は熱気ムンムンで活気の溢れた超ローカルモールの生息情報をキャッチ。すぐに取材班を組織し、現地へ急行したのでした。

それでは以下、田中信夫がナレーションしているものとして取材日記をご覧ください。

「謎のフリマが開催されるモールを追え!」

いつもの会話が発端だった。変わった商材が入手できないかと、あるタイ人と他愛のない話をしていたところ、

「毎週末、フリマが開催されるモールがある。掘出し物があるかも」

こんな話を小耳に挟んだのであった。聞けば、それは「パンティッププラザ」だという。ちょっと待て、パンティッププラザとは、あのパンティップなのか?

タイ好きの人ならば、その名前は聞いたことがあるだろう。プラトゥナムショッピングモールの隣にあった、一大電脳モールのことである。店内は違法に改造されたゲームソフトやコンピューターを売る店であふれ、大変活況を呈していた。

隊長(註:筆者のこと)が初めてそこを訪れた際、「シャチョー、URA DVDアルヨー」と、中近東あたりの店員に、腕を引っ張られて奥へと連れ込まれそうになった、不愉快な思い出がある。

しかし、当局の違法商品に対する取り締まりが厳しくなったためか、はたまたコロナ禍のためかは分からぬが、テナントの撤退が相次いで今ではもぬけの殻状態。しかして、パンティップの看板は外されたはず。一体どういうことか?

ノンタブリー県という未踏の地へ遠征してきたので小腹が空いた。もちろん、どこのモー

バンコクの郊外ノンタブリー県にある「パンティッププラザ」のことだった

何もパンティップはバンコク都内だけではない。バンコクの隣県ノンタブリーにあるパンティッププラザ、その店なのであった。

あるサンデーのこと。我々 “日曜スペシャル取材班” は、その全貌を暴くべく店舗へと出発した。都の西北に位置するその店へ辿り着く方法は、路線バスかタクシーで行くしかない。我々はBTSカセサート駅で下車し、タクシーを拾ったのであった。

タイ ローカルマーケット

▲これがパンティッププラザ。外見よりも内部の方が、よりクタビレ感が強い。

パンティッププラザ ノンタブリーの地図

タイ ローカルマーケット

▲店内リニューアルのため再起動している途上を表現している。遊び心あり。

店内は、かなり年季が入っている。ハイブランドがこぞって出店しているエンポリアムやサイアムパラゴンなどは本当のタイではない、と個人的に思っている。こういうモールこそが、タイの本当の良さを味わうことができるのだ。失われかけた古き良きタイが残っているといえよう。

タイ ローカルマーケット

▲「やっちゃえ、オッサン」みたいな仕事ぶりが微笑ましい。こういうのが好き。

タイ ローカルマーケット

▲怪しげなUFOキャッチャーに、これまたチープな景品が並んでいる。

タイ ローカルマーケット

▲これは掘出し物だった。100バーツの革財布。意外にも丁寧な仕事ぶりに好感。

タイ ローカルマーケット

▲戦闘員支給品なのだろうか、デストロン蠍エンブレムのベルトを発見。これも100バーツならイーッ品物。

ノンタブリー県という未踏の地へ遠征してきたので小腹が空いた。もちろん、どこのモーの地へ遠征してきたので小腹が空いた。もちろん、どこのモールでも安心のフードコートが営業中だ。安く早く、胃袋を満たすことができる。

タイ ローカルマーケット

▲店内を歩き回った後などは、砂漠のオアシスのような存在だ。

最上階フリマまるごとHOWマッチ

ブルース・リーの映画「死亡遊戯」でもそうだが、ラスボスは最上階と決まっている。なんといっても、パンティッププラザの目玉商品は週末に開かれるフリーマケットだ。長い階段を駆け上がると、そこには巨大な素人市が開催されていたのであった。

タイ ローカルマーケット

▲会場は、ワンフロアがまるごとフリマ市となっている。

会場は、まさにカオス。古着、骨董品、電気機器、食器などなど、とにかく思いついたものを手当たり次第に販売している印象を受ける。

相当数の地元民が掘出し物目当てに訪れている。「安くて面白いものを見つけだそう」という気合の入った買い物客が多く、思わずこちらもテンションが上がってしまう。

タイ ローカルマーケット

▲骨董品類。価値があるのかないのか、あなたの目利き力がものをいう。

タイ ローカルマーケット

▲シャワーヘッドなどの水まわり系も販売中。一体、誰が買いに来るのか。

タイ ローカルマーケット

▲雑貨系。チャトチャックマーケットで売られているような品も見かける。

定番の革製品も販売中である。こういったローカルな店では観光地と比較して安価で仕入れられる傾向がある。また、販売者側も皮算用をして、

「こんなところに外国人のバイヤーとは珍しいな。今後も俺っちのところから、継続して買ってくれるかも……ニヤリ」

と期待を抱かせることもできるため、気に入った店があれば積極的にアタックしていただきたい。

Thai local market

ハンドメイド作家には、積極的に仕入れ交渉してみるのが吉。

フリマの主菜は古着。激安価格で仕入れ可能

このパンティップで開かれるフリマのメインディッシュは、激安価格の古着であろう。やはり地元民を客層としているので、そもそもの値付けが安いのである。これをまとめ買いし、メルカリで1枚980円で販売してみてもよいだろう。それでも大きな利益率になるはずだ。

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Thai local market

▲紳士服がなんと約800円で購入できる。堂々と着こなせば、まさか千円以下の上着だとは誰も気付かないだろう。

Thai local market

▲高いものだと150バーツの値がついている。じっくりと品定めして欲しい。

Thai local market

▲激安レディースものは約80円から。愛する妻へのプレゼントにも利用したい。

中には、こういったイリーガル商品も見つけることができる。まさかこれを仕入れようとする諸兄はいないとは思うが、知的好奇心を満たすだけにしておきたい。

Thai local market

▲出ました粗悪なコピー商品。持つ人を貧乏臭く見せてくれるアイテム。買ってはならない。

Thai local market

▲泰日友好。水を差すようなクレームが入らないことを願いたい。

宝石の原石的なポテンシャルを感じたのはこのデニム類。メイドインUSAの貴重なお宝が埋もれているかもしれない。

Thai local market

▲二着で約2,000円だから、宝探しをしてみる価値は大いにあるだろう。ゴールドラッシュに沸くことも。

一方、約400円であろうとも欲しくない品物が履き物類だ。水虫菌がウジョウジョと生息しているようでもあり、臭いもキツそうだ。

Thai local market

▲ワゴンセールならぬブルーシートセール。よくもまぁ、どこで拾い集めたのだろうか。

泥棒市場を彷彿とさせる「理解し難い」アイテムたち

この手のフリマで有名なのが、クロントム市場だろう。壊れたリモコンばかりを売る店があったりして、頭を抱えてしまうことが度々あった。夜市とはいえども、高湿度と買い物客の人いきれですぐに疲労を覚えてしまうのだが、ここパンティップは冷房完備で快適である。

そして、ここにも理解に苦しむアイテムを売る店が発見されたのであった。

Thai local market

▲リモコンや配線などが主力の店。売ることよりも、収集物を自慢したいのかも。

我々がこれまで見た中で、最も謎を秘めたアイテムを発見した。未知との遭遇、そのものである。こんなもの、誰が何の目的で購入するのだろうか。潔癖症の人が見たら直ちに逃げ出したくなるアイテムだ。

それは何かと尋れば、使い古しの歯磨き粉や化粧品類である。通常、歯磨き粉も化粧品も、途中で捨てることはないだろう。とすると、どこでどう仕入れたのか、非常に疑問が残ってしまう。

Thai local market

▲「お口の健康のために良いのはどれかな?」出所の分からぬ衛生用品を熱心に品定めする紳士。

よくみると、日本のガードハローも陳列されている。うーむ、分からぬ。

階下では、のんびりと寂れた雰囲気を味わおう

大盛況のフリマ階とは異なり、常にマイペースなのが階下のゾーンである。空き店舗も多く、息も絶え絶えといった感もするが、時間がゆったり流れているのが分かる。

 いま俺たちは、確かにタイにいる

そんな想いが実感できるのである。このゆるい雰囲気こそ、タイランドの面目躍如だろう。

Thai local market

「まぁ、のんびりやろうよ」日曜の昼下がり、時は緩やかに流れていた。

Thai local market

▲店舗の出入口付近では、地元民が屋台の味を買い求める。

総括「快適で激安なパンティッププラザのフリマは、利用価値大」

今回の探検は終わった。毎週末、どこからともなく売り手と買い手が集まり、思い思いの売買が繰り広げられる、古き良き時代のローカルショッピングモールは実在したのである。

母なる川、チャオプラヤ。モールの屋上から眺めてみると、沈みゆく太陽が喧騒の街を黄金色に染めていた。我々取材班がまだ見ぬ市場は、きっとまだどこかに存在していることだろう。

我々は決意も新たに、次なる「タイらしさ全開の市場」を探し求める探検へと出発するのである。

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▲タイの青春群像。黄昏時、太陽に向かって明日への希望を託す若者たちがいた。

つづく


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