「海外に向けて冷凍品や冷蔵品を発送したい!」このようなときは、郵便局が提供する「クールEMS」が便利です。クールEMSを使うと、マイナス15度または、0度~10度まで任意の温度帯で、最大80時間キープしたまま国際発送ができます。しかも、小包単位で送れます。
そこで、この記事では、クールEMSの概要と特徴、利用方法などをご紹介していきます。
クールEMSとは?
クールEMSとは、郵便局が提供する小包配送サービスです。クールという名前の通り、温度管理をしたまま相手先の住所へ届けられるサービスです。(一部のぞく)
例えば、海外に向けて….
- 研究検体を送りたい
- お肉を届けたい
- フルーツを届けたい
- 和菓子を届けたい
- 新鮮な魚を届けたい
などの利用が想定できます。では、クールEMSの詳しい特徴を見ていきましょう。
クールEMSの特徴
クールEMSには、次の三つの特徴があります。
- 小包サイズから発送できる
- 任意の温度帯で運べる
- 全地域に最短、翌々日に届けられる
従来からある温度管理輸送では、輸送関係上、一回に運ぶ量がどうしても大きな物になりがちでした。当然、小規模事業者などの方は、量的な部分で対応が難しく、なかなか活用ができません。しかし、クールEMSは、ダンボール単位で発送ができるため、小規模事業者であっても、十分に活用ができます。また、最短、翌々日には、荷物を届けられる点も大きな魅力です。
クールEMSは、小さな単位で発送ができる。なおかつ、最短、翌々日には届けられる。この2つが大きな特徴です。ただし、もちろん、クールEMSにもデメリットはあります。
クールEMSの3つのデメリット
クールEMSは、次のデメリットがあります。
- 送れる国と地域が限られている&発送条件がある。
- 冷凍と冷蔵の2つのタイプ
- 差し出しができる郵便局が限定されている。
1.送れる国(地域)が限られている&発送条件がある。
クールEMSが対応している国は、次の8カ国です。
台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、フランス、インド
2024年現在、これら8カ国以外は対応していません。また、クールEMSに対応している国の中でも、すべての地域に配送できません。とても簡単にいうと、日本であれば、東京、大阪、名古屋であれば、配送している。でも、その他の地域は未対応というイメージです。
- 全域配送
- 一部配送
- センター配送
例えば、台湾の場合であれば、以下の地域が配達エリアです。これ以外の地域は、配達不可です。また、配達できる地域と合わせて、相手国の発送条件にも気を配る必要があります。
発送条件とは?
また、クールEMSで発送できる国であっても「発送条件」がいくつかあります。これらの発送条件をクリアすることで、初めてクールEMSでの発送ができます。各国ごとの発送条件は、以下の通りです。不明な部分は、クールEMSの問い合わせセンターへ電話をお願いします。
国 | 配達エリア | 条件 |
香港 | 全地域 | 肉類・日本国内での検疫証明書 荷物の受取人側で輸入許可申請が必要。 |
シンガポール | 牛と豚のみ、個人用で5KGまで発送可能(発送前には、検疫所で輸出検疫証明書が必要) | |
台湾 | 一部地域配送 | ・肉類・台湾政府認証の食肉処理施設に由来する牛肉 ・貝類・衛星証明書 ・野菜と果物 発送不可内容品に関わらず、食品薬物監理局に輸入許可を申請する。個人宛の場合は、合計重量6キロを超え、1000USドルを超えるときは、申請が必要 |
フランス | 個人宛のみ:魚介類、アルコール、清涼飲料水の発想が可能 一度の発送で、魚介類は20キロ。アルコールは2.25リットルまで 企業:アルコールと清涼飲料水のみ発送可能。最大、2.25リットルでの送付 | |
ベトナム | 条件なし | |
マレーシア | ||
タイ | EMSセンター | 宛先には配達しない。バンコクにあるクールEMSセンターで受け取る。魚介類をおくるときは、受取人側で輸入許可申請が必要 |
インド | 宛先には配達しない。デリーにあるクールEMSセンターで受け取る。宛先が個人のみ発送可能 次の食品は、発送不可(肉製品・卵・乳、乳製品・動物性のペットフード) |
2.冷凍と冷蔵の2つのタイプ
クールEMSのタイプは、大きく分けると冷凍と冷蔵の2つです。この内、冷凍は、マイナス15度の一択です。冷蔵は、0度~10度までの任意の温度帯を最大80時間キープできます。あなたの送りたい商品は、これらの温度帯で保管できますか? 保管できれば、クールEMSでの配送が可能です。
3.差し出し郵便局が限定されている。
一般のEMSであれば、全国津々浦々、どこの郵便局からも発送できます。しかし、クールEMSの場合は、一部の郵便局しか対応していません。どのような形で決められているのかはわかりませんが、北海道や鹿児島など、地方ほど対応しているところが多く、都市部は意外に少ないです。極端なことを言うと、一県に一つだけという所が多いです。
クールEMSを取り扱っている郵便局
これら3つがクールEMSを使う上でのデメリットです。その他、EMSを使う上で必要になる料金やサイズ情報などもご紹介しておきます。
その他、EMSサービスについて
- EMS料金表
- EMS対応サイズ
1.料金表
クールEMSの料金は、冷凍タイプと冷蔵タイプに価格差があります。また、これらのタイプと合わせて、発送する先の国、重量によって配送料金が決まります。下の画像のように、左列からの矢印と、上段からの矢印がクロスした所がクールEMSの料金です。
2.EMSが対応しているサイズ
郵便局のサイトによると、クールEMSが対応しているサイズは、次の通りです。冷凍、冷蔵かかわらず、大、中、小の3つのサイズごとに価格が異なります。
冷蔵 冷凍 大きさ 大 長さ51cm、幅38cm、高さ20cmまで 長さ51cm、幅38cm、高さ20cmまで 中 長さ36cm、幅28cm、高さ22cmまで 長さ32cm、幅26cm、高さ18cmまで 小 長さ30cm、幅23cm、高さ15cmまで 長さ30cm、幅18cm、高さ15cmまで 重量 15kgまで 10kgまで 予約締切日と時刻 差出希望日の5日前の正午 差出日 毎週火曜日(一部の郵便局は毎週月曜日) 損害賠償 EMSと同じ
引用元:郵便局
利用するまでの流れ
では、最後にクールEMSを使うまでの流れを確認しておきましょう。クールEMSの流れは、大きく分けると、発送前準備と発送です。
発送前準備とは?
発送前準備とは、発送予定の商品を本当に送れるのか? 値段はいくらかになるのか? 輸出先の条件は、大丈夫なのか?を確認することです。具体的には、次の四つのフローがあります。
- 条件確認
- 料金表の確認
- 取り扱い郵便局の確認
- 原産地証明告知書の作成
1.条件確認
輸出検疫上の問題から、冷凍品や冷蔵品であっても発送できないものがあります。基本的には、クールEMSの説明ページで条件を確認します。さらに、詳細な条件を知りたいときは、肉系であれば動物検疫所、植物や果物系であれば、植物検疫所に電話して輸出条件を聞きましょう。
2.料金表の確認
クールEMSで発送するときの料金を確認します。もちろん、一般のEMSよりもかなり高いです。
3.取り扱い郵便局の確認
クールEMSを引き受けてくれる郵便局は限定的です。一県一局といっても過言ではないです。
4.原産地証明告知書の作成
原産地を証明する告知書を作成します。一部の国は、この告知書をつけて荷物を発送することになっています。
発送の手順
上記1~4の準備で問題がなければ、発送準備に入っていきます。発送するときは、次の5~8の手順に従います。
5.事前予約申し込み書
6.差し出し郵便局にファックス
7.郵便局から連絡
8.梱包して発送
5.事前予約申し込み書の作成
クールEMSの事前申し込み書を作成します。
6.差し出し郵便局にファックス
5の事前申し込み書を差出郵便局にファックスします。
7.郵便局から連絡
申込書をもとに郵便局から打ち合わせの連絡があります。
8.梱包して発送
クールEMSに対応している郵便局に荷物を差し出します。これで完了です。
クールEMSの問い合わせ先
その他、クールEMSについて何か疑問があれば、以下の問い合わせ先へメールで確認ができます。
cool-ems.ii@jp-post.jp(*@マークは全角になっています。)
以上、クールEMSの説明でした。
まとめ
- クールEMSを使えば、小包単位で温度管理輸送ができます。
- 主に小規模事業者が輸出するときに便利です。
- クールEMSを発送するときは、各国ごとの条件があります。
- クールEMSを差し出せる郵便局は限定的です。
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