郵便局の国際宅配便サービス(EMS)は、世界中に商品を送れて便利です。最大重量30キロまでなら、お手軽に発送できます。
所で、近年、外国人の日本への旅行を契機として、日本産の食品、特に果物などの需要が高まっています。ただ、EMSの場合、果物は、発送できない貨物の指定を受けていることが多いです。
しかし、ご安心ください。EMSでの植物(野菜・果物)の発送は、植物検疫所にて必要な検査を受ければできます。そこで、この記事では、海外へEMSを使い果物を輸出する方法をご紹介していきます。
EMS(国際スピード郵便)で植物を発送する手順
国際スピード郵便(EMS)は、下記の植物防疫法のルールを守らない限り、植物(果物)を発送できないです。
- 発送できる国・果物?
- 植物検疫は必要?
- 必要な場合は、植物検査の申し込み
- 検査に合格すると、植物検疫証明書が発行される。
- 植物検疫証明書を持参して、クールEMS対応の郵便局へ
1.発送できる国・果物を確認する
海外へ植物を発送する場合は、次の2つの点を「植物検疫早見表」で確認します。
- その果物を発送できる国?
- 対象の国に送れる果物?
植物検疫早見表とは、植物防疫所が公開する国と発送できる果物を簡易的にまとめる表です。以下の画像をご覧ください。
例えば、EMSを使って、タイにリンゴを発送できるかを確認してみましょう!
表の上部から「リンゴ」を見つけます。その後、左列の国名にある「タイ」を見つけた後、それらの交点を確認します。交点は「Q」と表示されています。さらに表の右側の備考欄を確認すると「Qは植物検疫証明書を取得すれば輸出できる対象品目」であることがわかります。つまり、タイ向けのリンゴは、植物防疫所で検査を行った後に、発送ができます。
関連情報1.早見表は3タイプあるので注意しよう!
早見表は、3タイプあります。貨物編、郵便編、携帯品です。それぞれの意味は、次の通りです。
貨物は、コンテナ等を使った一般的な輸出です。郵便とは、EMSを含む国際郵便サービスの全てです。携帯品とは、飛行機に搭乗して手荷物として持ち込む場合に適用される検疫条件です。
EMSで発送する場合は、郵便編の表を使いましょう!
郵便 | 貨物 | 携帯品 | |
植物検疫証明書なしで輸出可能 | 香港、シンガポール、マレーシア、イギリス、ノルウェー、カナダ | 香港、シンガポール、マレーシア、イギリス、ノルウェー、カナダ | 香港、シンガポール、マレーシア、アラブ、イギリス(一部)、ノルウェー(一部)、カナダ |
植物検疫証明書有りで輸出可能 | インドネシア、アラブ、EU諸国Mスイス、ロシア | 台湾、インドネシア、アラブ、EU、スイス、ロシア | インドネシア、EU、スイス、ロシア |
不許可 | 台湾、中国など、上記以外の国 | 中国等、上記以外の国 | 台湾等、上記以外の国 |
関連情報2.台湾にりんごやシャインマスカットを送りたい。
台湾向けは、EMS等を含むすべての郵便サービスで発送不可です。禁止物品に指定されています。もし、台湾向けにりんごやシャインマスカットを送りたい場合は、ご自身でリーファーコンテナ等を仕立てて、台湾に発送するか、台湾向けに発送代行している業者に依頼するしかないです。
クールEMS等を使い、台湾に向けてシャインマスカットやリンゴ等を発送できないです。
2.植物検疫所に「植物検査」を申し込む。
早見表で「Q」品目に指定されている物は「植物検疫証明書」が必要です。この証明書を取得するために、全国各地の植物検疫所にて「輸出ための植物検疫」を受けます。申し込みは「植物等輸出検査申請書」に必要事項を記入して、検査を受ける植物検疫所に郵送・Eメール等で申し込みます。
植物検疫所に申込書が届くと、係官がチェックを行い「植物検査の日程」を決めます。植物検査の申し込みをした人は、係官からの連絡を待ちます。
3.植物検疫所にて検査を受ける。
いよいよ検査の当日です。検査は、最寄りの植物防疫所にて実施されます。EMSで発送する果物を検疫所へ持ち込み検査を受けます。検査時間は15分ほどです。書類に不備がなかったり、果物に害虫が発生していなかったりすれば、この時間内に終了します。無事に検査が完了すると「植物検疫証明書」が発行されます。
植物検疫所で検査を受けるには?
植物等検査申請書に必要事項を記入した上で、検査を受ける予定の植物防疫所にFAXします。記載内容について植物防疫所にてチェックをします。その後、電話連絡がきます。このとき、合わせて「検査日の予約」をします。
「何月何日、何時から~どこで検査を受けるのか~、即日発行を希望するのか」などを伝えます。特に重要な点が検疫証明書の発行を即日で希望するかどうかを伝える点です。この部分を先方に伝えておくだけで、スムーズな発行へとつながります。
4.クールEMSを申し込む。
植物(果物)を発送するときは、通常のEMSではなく「クールEMS」を使います。通常のEMSは「常温」で配送するため、外気温の影響を強く受けて品質が落ちてしまいます。
一方、クールEMSであれば、外国の指定場所まで「低温状態をキープ」して配送できます。つまり、鮮度が命である農産物の品質を保ちながら届けられます。
関連疑問:柿、みかん、りんご等の国別対応表
下の表は、果物別に海外輸出ができるかをまとめた物です。こちらに記載されている果物×国であれば、海外に果物等を発送できます。
例えば、柿を郵便で送る場合は、グループA+韓国、カナダには、検疫証明書不要又は添付により発送ができます!
*香港、シンガポール、マレーシア、イギリス、アラブ、ノルウェー、カナダ等は、貨物の輸出方法(配送方法)に変わらず、検疫条件が緩いです。
一方、台湾、中国など、比較的に日本に近い国は、上記の国よりも検疫条件を設定していたり、禁止にしていたりしています。
植物検疫証明書が不要又は添付により発送できる一覧
果物名 | 郵便 | 貨物 | 携帯品 |
柿 | グループA+韓国、カナダ | グループD・E+韓国、オーストラリア | グループF |
日本梨 | グループA | グループD・E+ベトナム、ペルー、オーストラリア | グループF |
みかん(うんしゅうみかん) | グループC | グループD・E+韓国、ベトナム、ニュージーランド | グループH |
桃 | グループA+インド | グループD+インド | グループG+インド、アラブ、EU,イギリス、スイス、ノルウェー、ロシア |
りんご | グループA+ニュージーランド | グループD・E+ベトナム、インド、オーストラリア | グループG+ニュージーランド |
さつまいも(カンショ) | グループA+タイ、カナダ | グループD+カナダ | グループG+台湾、タイ |
植木 | 相手国により検疫条件が違う | ||
ドライフラワー(ブリザードフラワー) | 植物検疫の対象外の可能性 | ||
種 | 種苗法 | ||
干し柿 | 状態により、植物防疫法の規制対象 |
- グループA=香港、シンガポール、マレーシア、インドネシア、アラブ、EU、イギリス、スイス、ノルウェー、ロシア
- グループB=アメリカ、カナダ
- グループC=韓国、香港、シンガポール、インドネシア、アラブ、EU、イギリス、スイス、ノルウェー、ロシア、カナダ
- グループD=台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、アラブ、EU、イギリス、スイス、ノルウェー、ロシア
- グループE=アメリカ、カナダ
- グループF=香港、シンガポール、マレーシア、インドネシア、アラブ、EU、イギリス、スイス、ノルウェー、ロシア、カナダ
- グループG=香港、シンガポール、マレーシア、インドネシア、アラブ、EU,イギリス、スイス、ノルウェー、ロシア、カナダ
- グループH=韓国、香港、シンガポール、インドネシア、アラブ、EU,イギリス、スイス、ノルウェー、ロシア、カナダ、ニュージーランド
まとめ
- EMSで果物(植物)を送るときは「送れる国」「送れる果物」を確認
- これらを確認できるのが「植物検疫早見表」です。
- 輸出検査が必要なときは、植物防疫所で手続きをする。
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