に該当する貨物を個人輸入(お土産品)する場合、ある一定の数量内で適用除外規定があります。(=個人の特例措置)そこで、この記事では、海外のお土産に適用される「ワシントン条約の個人の特例」を詳しく説明していきます。
海外お土産 ワシントン条約の個人の特例措置
この記事は、海外でお土産を購入した後、日本の空港で税関チェックを受けることを想定しています。具体的には、日本の入国管理局(イミグレ)でパスポートのチェックを受けた後、その先で行う税関申告です。この申告をするとき、購入したお土産の中に、ワシントン条約に該当する貨物があるときの適用除外措置です。
ワシントン条約とは?
ワシントン条約とは、正式名称「野生動植物の特定の種の国際取引に関する条約」といいます。設立の主な目的は、国際取引の増加による乱獲などによって、絶滅の危機にある動植物を保護することです。具体的には、国際取引をする野生動植物を1~3の区分に分けて、区分に応じて国際取引を規制または禁止しています。ちなみに、この1~3とは、付属書のことを指します。
付属書1には、○○と○○、付属書2には、××と▲▲などと記載されています。また、付属書ごとに取引できるレベル(基準)を指定しています。
例えば、付属書1は、甚大な被害を受けている物であり、学術研究目的以外は、一切許可しないとされています。仮にメキシコ産の「プロングホーン」でできた製品を輸入するときは……
付属書1の中に、プロンクホーンかつメキシコ産と規定されています。メキシコ産のプロンクホーン(生きている物)または、メキシコ産のプロンクホーンから生成されるすべての製品は、学術研究目的以外、取引禁止になっています。つまり、取引は、一切禁止です。
このときのポイントは、規制の対象は、生きている動物だけではなく、そこから生成されるすべての製品も含まれる点です。
例えば、革製品のバッグ、ベルト、靴などはもちろんのこと、漢方薬やお香、サボタンなどの植物から生成される商品も規制の対象です。基本的に、ワシントン条約に該当する商品は、動物・植物に関わらず、ある一定の条件をクリアしない限り、輸入は難しいです。また、このワシントン条約の対象になるのは「野生」です。
植物や動物など人工的な育成により生成されたものは、規制の対象外です。ただし、人工物でも、経済産業省からの輸入承認を得ておく必要があります。
ワシントン条約に該当するとどうなる?
日本に帰国した人が「やらかす」違反事例として、次のケースがあります。生きている動物を持ってくる人は、もちろん、禁止だとはわかりますが、注意すべき物は、一番下にある加工品です。
生きている動物 ホシガメ、スローロリス、アジアアロワナ、トカゲ、カメレオンなど 生きている植物 ラン、サボテン、トウダイグサ、ヘゴ、アロエなど 加工製品 漢方薬(ジャコウ、虎骨、熊胆、木香等が含まれているもの)、クジャクの羽製品、二胡(ニシキヘビの皮を用いた楽器)、爬虫類の皮革製品(ワニ、ヘビ、トカゲ等)、サンゴ、シャコガイの置物、象牙製品、ワニジャーキーなど 引用元:経済産業省
この加工品には、革製のバッグ、ベルトなど、アパレル関連品には、何気なく持ち込むため、注意が必要です。特に、東南アジアなどで購入できる土産物店には、ワシントン条約で規制されている品を平気で販売している可能性があります。
仮のお話として、帰国するときに、ワシントン条約に該当するものを持ってきたときは、どのような取扱いになるのでしょうか? この場合は、次の内、いずれかによります。
- 没収&処分
- ワシントン条約の適用除外措置
1.没収&処分
日本の税関に申告をした物の内、何らかの問題がある場合、その貨物は、没収されます。もちろん、没収された商品がいくらでも、金銭的な補償はありません。知ってか、知らずかは関係ないです。持ち帰ろうとした事実に対して、全責任を負います。もちろん、バッグなどに入れて、隠して税関をスルーすれば外為法違反です。
これがワシントン条約の規制対象である商品の基本的な扱われ方です。しかし、ある一定の条件であるときは、このワシントン条約の規制から外れます。
2.ワシントン条約の適用除外措置とは?
海外で購入した商品がワシントン条約に該当するからといって、必ずしも税関で没収になるわけではありません。実は、以下で定める条件をすべて満たすときに限り、規制の対象から外される特例措置があります。すべてを満たすことが適用の条件です。
- シントン条約の付属書Ⅱに該当する動植物で規定の数量以内のもの
- 動植物の学名などを証明する書類があること
- 生きていないこと
- 商業目的でないこと
1.ワシントン条約の付属書Ⅱに該当する動物で規定の数量以外のもの
ワシントン条約は、付属書1~3があります。この内、2に該当する物の内、次の数量以内の物を持ち込もうとするとき。(2だけです。1と3は、対象外です。)ただし、それぞれには、さらに但し書き(注)があるため、詳しくは、表の左下に引用元で紹介しているリンク先で確認をお願いします。
食料品であるチョウザメのキャビア(注1) 125g サボテンを使用したレインスティック 3個 ワニを使用した製品(注2) 4個 ピンクガイの殻 3個 タツノオトシゴ 4個 シャコガイ(注3) 3個 (総重量3キログラム以下) アガーウッド(沈香) 木片 1キログラム以下 油 24ミリリットル以下 ビーズ、ロザリオ、ネックレス又はブレスレットの合計数量 2個以下 上記以外の動植物を使用した製品 4個
引用元:経済産業省
また、お土産品がどこの付属書に記載されているかを調べるときは「動物規制リスト」「植物規制リスト」などで確認します。このリストを検索するときは、必ず動物名や植物名を学名に変換してから行います。多くは、グーグルなどで「植物名+学名」と検索すると、対象の名前が表示されます。
以下の欄にある物が付属書2です。
2.動植物の学名などを証明する書類があること
革製のバッグなどを購入するときは、それが「何の動物」で作られているのか?を証明する書類をあわせてもらいます。具体的には、製品説明書、保証書などです。この中に、動物の「学名」が記載されていることを確認します。また、万が一、これらの書類がないときは、購入店の情報と動植物の学名を書き留めておきます。これで税関が認めるかどうかはわかりませんが、何もないよりかはマシです。
この点について正確な情報が欲しいときは、各地の税関出張所(空港)でお聞きください。
ポイント:製品を購入した所で、学名を確認できる何らかの書類を入手しておきましょう!
3.生きていないこと
これは、説明する必要はないと思いますが….実際、持ち込もうとする人が多いとのことです。気を付けましょう。
4.商業目的でないこと
最後のポイントは、輸入する目的が商売ではないことです。「個人輸入の解説記事」でも詳しく説明していますが、輸入には、個人使用目的と商売目的とで全く別の扱いを受けます。今回のワシントン条約の規制にはならない条件は「商売目的ではないこと」とされています。もちろん、個人使用目的と偽り、転売などをすれば、外為法違反に加えて、関税法違反です。
以上、ワシントン条約の規制の対象とはならない特例措置のご紹介でした。
まとめ
- ワシントン条約とは、絶滅のおそれがある植物や動物などの取引を規制または禁止する条約
- 規制対象は、植物や動物その物の他、派生物も含まれる。
- ワシントン条約の付属書2に掲げられている商品は、一定の条件の下、規制が解除される。
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