関税ゼロ貿易は「特定原産地証明書」が必要です。この証明書は、輸出者が取得して、それを輸入者が使用します。もし、商品を日本から輸出するのであれば、輸出者が日本商工会議所へ申請して、特定原産地証明書を手に入れます。
日本商工会議所から証明書を取得するときは、次の3ステップががあります。この記事では、3番の「発給申請」の操作手順をご紹介していきます。
- 企業登録
- 原産品登録
- 発給申請
特定原産地証明書の発給方法
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特定原産地証明書の3ステップをおさらい
特定原産地証明書の発給方法をご紹介する前に、簡単に特定原産地証明書の取得手順をご紹介します。
1.日本商工会議所へ企業登録
貴社の情報を日本商工会議所へ登録します。必要書類をいくつか取り揃えた上で、日本商工会議所へ提出します。企業登録するときは、輸出者、生産者、輸出者兼生産者の3つから選びます。あなたの企業状況に合わせて適切な物を選んでください。
例えば、どこかの会社が作っている商品を仕入れて、輸出しているのであれば、輸出者です。自ら製造をした後、輸出しているときは「輸出者兼製造者」です。また、生産者の定義には、いわゆるOEM(生産委託している場合)も含まれます。この辺りは「ファブレスメーカー・生産者とは?」の記事をご覧ください。
2.企業登録完了後、原産品判定依頼へ
原産品判定依頼とは「輸出する商品に原産性(日本のもの)があること」を証明することです。この証明は、企業登録後の「特定原産地証明書の発給システム」で行います。具体的には、輸出する商品に応じた原産性ルールを満たしていることを「原産性資料」を作成して行います。資料の作成ができ次第、その内容を発給システムから申請していきます。
2-1.完成品のHSコードと、原産性ルールを特定
2-2. 原産性ルールを満たす資料を作成
2-3. 資料の内容を基にして、発給システムから「原産性依頼」をします。
弊社は、この原産性資料の作成をサポートしています。詳細は、特定原産地証明書サポートサービス
3.原産品判定依頼が承認されたら、原産地証明書を取得=発給申請します。
ステップ2の原産品判定依頼が「承認」されると、いよいよ特定原産地証明書の「発給申請」ができます。この記事では、この発給申請の方法をご紹介していきます。
特定原産地証明書の発給申請方法。まずは原産品判定の「承認」を確認しましょう!
それでは、これから特定原産地証明書の発給申請の方法を説明していきます。商工会議所から送られてきた「ログイン情報」を基にして発給システムにログインします。*発給システムのURLは、一般公開されていません。企業登録を完了している方だけに公開されています。
原産品判定の承認を確認する所はどこ?
ここから先は、企業登録後、判定依頼を終えた方を対象にした内容です。まだ、1と2のステップを完了していないときは、それぞれの記事をご確認ください。
ステップ2の原産品判定依頼は、整える原産性資料の出来により、承認されるまでの日付は大きく違います。資料の出来が悪いと、重箱の隅をつつくように、何度も修正させられるため注意しましょう!この記事は、そんな原産品判定依頼の承認を受けた後の「発給申請」の方法をご紹介しています。
1.日本商工会議所に企業登録する方法 2.日本商工会議所に原産品判定をする方法
原産品判定依頼が承認されているのか?は、「判定依頼書入力」のリンクをクリックするとわかります。
赤枠部分が「承認」であれば、発給申請手続きに進めます。何度も重ねて申し上げますが、発給申請は、原産品判定依頼が承認されている物に対して行います。
原産品判定の承認OK! 発給申請する手順
原産品判定が承認されていることが確認できました。それでは、いよいよ承認されている物に対して発給申請をします。この発給申請が終われば、特定原産地証明書の原本を入手できます。手に入れた特定原産地証明書は、EMSなどを使って、輸入者へ送付します。
赤枠の「新規入力」から手続きします。上にある検索ボックスは、過去の申請品を検索するためのボタンです。新規の場合は、何も表示されません。
発給申請の操作画面です。黒い部分は、企業登録などの情報が反映される所です。手入力するわけではありません。自動入力されない「@」の部分を入力していきます。
それでは、上から順番に解説していきます。まずは、どの協定を適用するのかを選択します。タイ向けに輸出をするのであれば「日タイ協定」または「日ASEAN協定」を選択します。
その下にあるのは、特定原産地証明書を発行する事務所です。全国どこでも手続きを行うことはできますが、ご自宅近くの事務所を選ばれる方が無難です。特定原産地証明書の受け取りも含めてすべて郵送で手続きは完了しますのでご安心ください。特定原産地証明書の事務所一覧
こちらは企業登録時の情報が自動的に反映されているため、特に変更する必要はありません。1番~6番を入力します。
ここに輸入者に関する情報を記載します。注意事項としては、インボイスに記載する受取人情報と一文字一句、違わないようにします。特にタイの税関は、この「表記間違い」に厳しいです。
この部分は該当する場合のみです。一般的には無視で構いません。関連記事:リインボイスとは?
赤枠部分にあるボタンを押して、原産品判定を受けた商品情報を特定原産地証明書に反映します。操作手順は、以下の通りです。この作業を取得する証明書分、繰り返します。
一つの登録が終わると、赤枠の部分に発給申請した情報が出てきます。
無事に登録が完了すると、以下のように追加表示されます。さらに画面下に進めていきましょう。
輸送方法に関する記載です。相手先の税関で関税ゼロの恩恵を受けるには、日本から輸送する方法にも気を遣う必要があります。具体的には、日本から相手国への輸送は「直送」されることが条件です。
例えば、日本とタイとの協定を使うのであれば、日本からタイへ直送されていることがルールです。仮に、シンガポールなど、第三国を経由して荷物が届いているときは、日本の原産性を失い、通常の輸入関税がかけられます。もちろん、輸送上の理由などによる積み替えなどは、通しB/L(スルーB/L)などを提出することで、原産性は認められます。これを特定原産地証明書の「積送基準」と言います。
船積日:EMSであれば発送予定日、一般貨物であれば船荷証券(B/L)を確認します。
積込地:NAGOYA, JAPAN ←必ず都市名+国名の形にします。
仕向地:BANGKOK, THAILAND
便名:EMS、コンテナ船の船名、航空機の便名など
発送するダンボールなどにマークなどをつけている場合は、その旨を記載します。遡及発給(船積み後の発給)を受ける場合などは、特にケースマークの表示が重要です。
ケースマーク例:商品名、仕向港、貨物ナンバー、原産地表示など。
特定原産地証明書に関する問い合わせに対応できる担当者を記載します。多くは申込者がそのまま担当するはずです。
特定原産地証明書の発行を受けるときは、所定の手数料を支払います。ここでは、この手数料や特定原産地証明書の原本の受け取り方法を指定します。
領収書名を変更したい場合は、以下の部分で調整してください。最後にページの一番下にある「発給申請」ボタンを押すと、申し込み手続きは完了です。
この画面が表示されたら手続きができています。何か問い合わせを行う場合は、申し込み先の事務所に電話の上、以下に表示されている「発給受付番号」を伝えるとスームズです。
もし、証明書のイメージを閲覧したい場合は、以下の赤枠にあるボタンを押します。別画面が起動して発行した際のイメージを確認できます。
最寄りの事務所にインボイスをファックスします。
発給システムからの申し込みが完了したら、申請した事務所へインボイスをファックスしてください。インボイスの内容と発給する特定原産地証明書の記載内容に関する最終的なチェクが行われます。申請内容に問題がなければ、手数料を納め次第、およそ2~3営業日で原本が手に入ります。振込先情報が書かれた書類を参考にして手数料を納付しましょう。
手数料を納付する流れ
1.手数料を東京商工会議所へ振込みます。(全国共通)
2.東京商工会議所へ振り込んだ旨をFAXします。
3.東京から担当事務所に入金確認の連絡がいきます。
4.担当事務所にて特定原産地証明書が発行されます。
特定原産地証明書が到着
特定原産地証明書は、発給システムから「発給申請」を行ってから3営業日以内に発行されます。何かしらの不具合がある場合は、その旨を商工会議所から伝えられます。修正点を直した場合は、再度、発給申請し直すことを忘れないようにしましょう。問題がなければ、貨物とは別にして、特定原産地証明書の原本を送付します。
まとめ
特定原産地証明書の発行を受けるには、大きく分けて3段階のステップがあります。企業登録、原産品判定、発給手続きを得ることにより、初めて特定原産地証明書の発行を受けることができます。今回の記事では、最後のステップである発給手続きの方法を詳しく解説しました。
この手続きの中で見落としやすいポイントが「原産品情報を発給画面に反映するところ」です。(上記の解説記事では「重要ポイント」として表記しています。)この部分のボタンが非常に見落としやすため、誤った手続きをする可能性が高いです。今一度、当記事を読み返していただき、記入漏れなどを確認するようにしてください。

