海外から商品を輸入するときは、航空便または船便を使います。配送料を安くするときは、一度にできるだけ多くの貨物を輸送します。多くの貨物を輸送するほど、一つ当たりの輸送費を安くできるからです。
例えば、輸送代金が100ドルかかるとします。このとき、10個の貨物を運べば、一つ当たり1ドルです。15個であれば、6.6ドルまで下げられます。一度に大量の貨物を運ぶことと合わせて、配達日数を調整することも料金を安くする上で重要です。
もし、配達日数を短くするために航空便を使えば、配送料金は高いです。逆に、配達日数を長くして船便を使えば、料金は安いです。一度にできるだけ多くの貨物を運ぶこと、航空便と船便をうまく使い分けることが料金を下げるポイントです。
この記事では、航空便と船便の5つの比較、価格差表、メリット、デメリットをご紹介していきます。
海上輸送と航空輸送の比較
商業貨物を運ぶときは、一度にできるけ多くの貨物を輸送するために海上輸送します。高価格及び品質劣化が激しい物は、航空便を使います。ポイントは、輸入する商品の価格が輸送代金をカバーできるか?にあります。一般的な商品は、この価格転嫁が難しいため、船便を使います。
船便(海上輸送)と航空輸送の5つの比較ポイント
まずは、船便(海上輸送)と航空輸送の比較、検討ポイントをご紹介します。
- 価格
- 時間
- 契約
- 競合の状況
- 必着性・緊急性
1.価格
輸送料金の観点から考えてみましょう。どのような人でも、輸送料金が安い方が嬉しいですね。ただし、安さを求めるのなら、その分、輸送日数が長くなるのが普通です。
安く送るために船便を選べば、輸送料金は安くなりますが、配送期間がかかります。一方、早さを求めるなら、航空便を使います。
一般的に航空便と船便の価格差は、平均5倍以上の開きがあります。つまり、あなたの貿易相手は、この価格差を受け入れてまで、早く受け取りたい貨物なのか?を考えます。
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では、船便と航空便の料金は、どのようにすれば、比較ができるのでしょうか?
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価格吸収力がある製品例
- 電子部品
- 医薬品等
- 書類 重要な書類
輸送日数 | 料金 | |
航空便 | 短い | 高い |
海上輸送 | 長い | 安い |
2.輸送時間
輸送時間は、航空輸送の方が圧倒的に短いです。貨物に時間的な緊急性がある場合は、必ず航空輸送を選びます。
例えば、海上輸送の場合は、濃霧、港湾ストライキ、船会社の倒産等の問題により、大幅に貨物が遅延する可能性があります。遅延により損傷を受ける貨物や、極めて重要な物品は、航空輸送を選びます。
- 衣類/季節系の商品
- 季節限定の商品/アメリカンチェリーなど
- 緊急書類
- ハンドキャリー物品
- 極めて重要な部品(生産に不可欠な部品や原料等)
日本と中国・韓国との間に限定するなら、航空輸送の代わりに「フェリー船(海上輸送の一種)を検討することもお勧めです。非常に船足がはやく、航空輸送との差も小さいです。
3.相手との契約
相手との売買契約の中で、物品の引き渡し期限等が厳格に決められていますか? また、遅延した場合にペナルティなどは設定されていますか? 相手との契約が厳しい場合は、航空輸送を選ぶ方が良いです。
逆に、相手との契約上、そこまでの速度を求めず、安く輸送を希望をしている場合は、海上輸送を選びます。要は、相手との契約から、緊急性やコスト性等を考えて、輸送モードを選びます。
例えば、普段は、海上輸送を希望する場合でも、相手の在庫が極めて少ない場合は「今回は、絶対航空輸送を希望する」と伝えられることもあるでしょう。
4.競合の状況
あなたや輸出先企業の競合との兼ね合いも重要です。
例えば、輸出先の企業から「弊社の競合他社には、いつも非常に迅速に貨物が届いているようだ!」と伝えられたなら、取引先から輸送の改善をするように促されていると考えるべきでしょう。
5.必着性
輸送する貨物の緊急性や必着性を重視する場合は、航空輸送が良いです。海上輸送は、港の混雑、濃霧の影響など、運行が遅延する要素がたくさんあります。仮に一度、遅延すると、復旧までに時間がかかります。
他方、航空輸送は、元々、迅速に貨物を運ぶことを目的としている為、遅延することは少ないです。仮に遅延しても復旧までの時間が早いことも特徴です。
以上の5つが航空輸送と海上輸送の比較検討ポイントです。次にそれぞれのメリット、デメリットをご紹介します。
海上輸送と航空輸送のメリット、デメリット
まずは、海上輸送と航空輸送のメリット、デメリットを確認しましょう!
海上輸送のメリット
- 価格: ある一定の以上を輸送するとコストメリットが出てくる。
- 輸送能力:LCLやコンテナ単位から大型貨物まで重量物、巨大、かさばる物を大量に運べる
- 環境負荷:航空輸送と比べて低い
- 安定性:フェリー船に限定するとスケジュールが安定している。
- 危険品輸送:航空輸送で禁止されている危険物を運べる
海上輸送のデメリット
- 速度: 航空輸送と比較して遅い。但し、フェリー船は速い。
- 輸送領域:港湾の水深により輸送できないエリアがある。
- リスク:船会社やフォワーダーの倒産リスク、航海中の事故、港湾ストライキ
- 貨物:水濡れや湿度被害、温度被害、フォークリフトによるダメージなどが発生する可能性あり!
航空輸送のメリット
- 輸送速度: 輸送速度、日本到着後の荷捌き、通関処理速度が速い。
- 費用面:海上輸送特有の「無駄な費用」「隠れコスト」がない。
- 安全性: 基本的に事故リスク、倒産リスク等が低い。
航空輸送のデメリット
- 費用: 一般的に海上輸送よりも高い。
- 運べる貨物の制限:大型、重量物、危険物の輸送には不向き
- 危険品輸送:海上輸送限定で運べる危険物がある。
- 環境負荷:海上輸送よりも高い。
船便と航空便のコスト比較 価格差は平均約5倍~7倍
下の表は、日本へ輸入される品目の航空便と船便との価格差を示した表です。表の右側にある数字は、航空便におけるCIF価格(日本に港または空港に到着するまでの商品代金+配送料金)を船便におけるCIF価格で割った数値です。正確に言うと、航空便と船便のキロ単価、またはトン単価を算出した後、それらの単価(航空便と船便)を割っています。
例えば、船便のCIF価格が10キロで50ドル、航空便のCIF価格が5キロで150ドルであれば………30ドル(航空便のキロ単価)/5ドル(船便のキロ単価)=6倍です。もちろん、このCIF価格の中には、商品その物の価格も含まれているため、単純に輸送代金が3倍になるとは考えられません。あくまで参考データとしてご活用下さい。
表の見方 → 例えば、2つめの牛肉であれば、牛肉を航空便で運ぶ料金は、船便で運ぶときの2.95倍です。
肉類 3.09倍 | 原料炭 2.2倍 | 綿花 5.71倍 | 電気回路等の機器 4.17倍 |
牛肉 2.95倍 | その他のコークス用炭 2.14倍 | 実綿 4.07倍 | 電気回路の開閉用、保護用機器 3.28倍 |
羊・やぎ肉 1.93倍 | 動植物性油脂 11.43倍 | 麻類含くず 22.04倍 | 絶縁電線及び絶縁ケーブル 3.58倍 |
豚・いのししの肉 1.32倍 | 動物性油脂 11.89倍 | 石及び砂 40.97倍 | ラジオ受信機 2.74倍 |
豚肉 1.31倍 | 牛脂 2.87倍 | 大理石 14.04倍 | 映像記録・再生機器 0.98倍 |
鶏肉 2.32倍 | 植物性油脂 8.85倍 | けい砂 32.74倍 | アンプ・スピーカー・マイク 0.51倍 |
馬肉 2.5倍 | 綿実油 1.08倍 | 工業用ダイヤモンド 2.53倍 | 音響・映像機器の部分品 2.06倍 |
酪農、鳥卵 4.12倍 | 加工油脂及びろう 18.71倍 | 天然黒鉛及びカオリン等 13.77倍 | 電話機 11.43倍 |
ミルク、クリーム 8.19倍 | キシレン 2.14倍 | 塩 123.31倍 | 電気冷蔵庫 2.55倍 |
粉乳 21.17倍 | 染料・なめし剤及び着色剤 13.81倍 | 雲母 11.91倍 | 扇風機 2.8倍 |
バター 3.41倍 | 有機合成染料及びレーキ顔料 6.69倍 | 金属鉱及びくず 82.37倍 | 自動車 3.38倍 |
チーズ、カード 3.43倍 | 酸性染料 1.75倍 | 鉄鋼くず 2.76倍 | 乗用車 2.51倍 |
魚介類 2.62倍 | 分散性染料 2.05倍 | 非鉄金属鉱 3.28倍 | バス・トラック 1.85倍 |
魚介類 2.71倍 | 反応性染料 3.87倍 | 銅鉱 1.06倍 | 自動車の部分品 3.8倍 |
まぐろ 1.45倍 | 塗料類 17.97倍 | 亜鉛鉱 4.87倍 | 二輪自動車・原動機付自転車 3.08倍 |
さけ、ます 1.37倍 | 医薬品 32.34倍 | マンガン鉱 15.33倍 | 航空機類 4.18倍 |
甲殻類、軟体動物 3.41倍 | プロビタミン及びビタミン 19倍 | モリブデン鉱 3.58倍 | 船舶類 3.69倍 |
えび 2.35倍 | 抗生物質 7.56倍 | チタン鉱 4.52倍 | 自転車 15.02倍 |
かに 1.62倍 | ホルモン 27.09倍 | 非鉄卑金属くず 39.59倍 | 照明器具 3.7倍 |
いか 2.6倍 | 抗生物質製剤 2.51倍 | 銅くず 1.7倍 | 家具 13.64倍 |
たこ 1.04倍 | 精油・香料及び化粧品類 11.04倍 | 動物性原材料 54.56倍 | バッグ類 11.59倍 |
うに 1.28倍 | 精油及びレジノイド 9.36倍 | 動物除魚類の腸 3.1倍 | 衣類 2.69倍 |
にしん 3.08倍 | 人造香料類 2.24倍 | 繁殖用の種・果実及び胞子 14.47倍 | 男子用衣類 2.61倍 |
魚介類の調製品 4.71倍 | 肥料 7.17倍 | 石炭、コークス及び練炭 6.32倍 | 女子用及び乳幼児用衣類 2.15倍 |
穀物 9.21倍 | プラスチック 13.26倍 | 石炭 5.24倍 | 下着類 2.48倍 |
米 5.08倍 | シリコーン 4.42倍 | はき物 4.53倍 | 衣類附属品 4.32倍 |
大麦及びはだか麦 5.53倍 | 塩化ビニール樹脂 11.32倍 | 書籍・新聞・雑誌 5.1倍 | くつ下類 2.43倍 |
とうもろこし 12.61倍 | ポリエチレン 17.94倍 | プラスチック製品 12.99倍 | 下着類 2.37倍 |
あわ・きび及びひえ 8.01倍 | ポリスチレン 7.64倍 | がん具及び遊戯用具 2.37倍 | セーター類 2.43倍 |
麦芽 5.22倍 | 合成樹脂 16.68倍 | 遊戯用具 1.17倍 | 成形品及び彫刻品 13.45倍 |
果実及び野菜 4倍 | その他の化学製品 64.53倍 | 美術品・収集品及びこっとう 82.54倍 | 倍 |
果実 3.59倍 | 消毒剤・殺虫剤及び殺菌剤類 13.43倍 | パルプ及び古紙 5.4倍 | 食料品加工機械 2.62倍 |
かんきつ類 2.75倍 | でん粉 16.85倍 | パルプ 5.17倍 | 建設用・鉱山用機械 7.3倍 |
レモン、ライム 2.14倍 | 革及び同製品・毛皮 6.84倍 | 溶解用パルプ 1.6倍 | 液体ポンプ 5.06倍 |
オレンジ 2.28倍 | 羊革 2.42倍 | 製紙用パルプ 6.29倍 | 気体圧縮機 23.5倍 |
グレープフルーツ 3.22倍 | ゴム製品 5.04倍 | 織物用繊維及びくず 7.02倍 | 遠心分離機 5.73倍 |
バナナ生鮮 2.34倍 | ゴム加工材料 5.02倍 | 絹 1.12倍 | 荷役機械 17.69倍 |
ぶどう 1.96倍 | パルプウッド等 49.08倍 | 生糸 1.11倍 | リフト・エレベーター類 12.41倍 |
野菜 4.3倍 | ウッドチップ 8.68倍 | 羊毛 3.41倍 | 鉱物・木材等の材料加工機械 8.64倍 |
生鮮・冷蔵野菜 8.4倍 | 木製建具及び建築用木工品 6.62倍 | 原羊毛 1.33倍 | コック・弁類 7.68倍 |
冷凍野菜 4.74倍 | 紙類及び同製品 11.84倍 | 洗上羊毛 2.64倍 | 半導体等製造装置 20.1倍 |
豆類乾燥 6.69倍 | 紙及び板紙 11.1倍 | 繊獣毛 3.18倍 | 半導体製造装置 7.31倍 |
砂糖 27.48倍 | 織物用繊維糸 6.04倍 | 獣毛カード、コームしたもの 3.45倍 | 発電機及び電動機 2.71倍 |
粗糖 7.41倍 | 綿糸 3.56倍 | 生ゴム 3.86倍 | 電算機類含周辺機器 1.89倍 |
糖みつ 18.81倍 | 綿織物絹10%以上のもの 8.91倍 | 天然ゴム 17.61倍 | 電算機類の部分品 9.82倍 |
乳糖 8.72倍 | 毛織物 2.67倍 | 天然ゴムラテックス 6.45倍 | 工作機械 4.81倍 |
コーヒー 4.54倍 | 毛織物絹10%以上のもの 2.59倍 | 合成ゴム 2.55倍 | 旋盤 0.97倍 |
コーヒー生豆 4.28倍 | 絹織物 4.18倍 | 合成ゴムラテックス 1.25倍 | ボール盤及び中ぐり盤 0.79倍 |
インスタントコーヒー 1.96倍 | 合成繊維織物 5.29倍 | その他の合成ゴム 2.58倍 | フライス盤 0.88倍 |
ココア 1.96倍 | チュール及びししゅう布類 9.27倍 | クロロプレンラバー 1.8倍 | 研削盤 13.3倍 |
カカオ豆 4.76倍 | 敷物類 4.46倍 | ブチルラバー 20.81倍 | プレス及び鍛造機 1.43倍 |
カカオ脂 1.18倍 | メリヤス編物及びクロセ編物 3.73倍 | ニトリルブタジエンラバー 2.07倍 | 金属圧延機 14.39倍 |
お茶 4.95倍 | 貴石及び半貴石 52.15倍 | 針葉樹の丸太 3.49倍 | メリヤス機 3.17倍 |
紅茶 4.13倍 | 鉄鋼 15.91倍 | もみ及びとうひ 56倍 | パルプ製造・製紙及び紙加工機械 5.75倍 |
緑茶 4.92倍 | 合金鉄 5.15倍 | 葉たばこ 2.07倍 | ニッケル及び同合金 3.84倍 |
その他のお茶 6.96倍 | 鉄鋼の棒・形鋼及び線 22.67倍 | 紙巻たばこ 1.33倍 | アルミニウム及び同合金 11.2倍 |
飼料 17.1倍 | 鉄鋼のフラットロール製品 4.38倍 | 原皮及び毛皮未仕上 33.1倍 | 鉛及び同合金 14.21倍 |
植物性油かす 20.98倍 | 管及び管用継手 22.66倍 | 原皮 30.68倍 | 亜鉛及び同合金 2.69倍 |
飲料 7.03倍 | 銀及び白金族 26.07倍 | わに・とかげ・へび・しか皮 7.47倍 | すず及び同合金 2.32倍 |
アルコール飲料 4.83倍 | 白金族の金属 2.2倍 | 毛皮 1.35倍 | コバルト及び同合金 2.23倍 |
蒸りゅう酒 7.78倍 | 白金 1.37倍 | 採油用の種・ナット及び核 58.28倍 | 鉄鋼製構造物及び同建設材 8.02倍 |
ウイスキー 3.56倍 | パラジウム 2.45倍 | 落花生 1.97倍 | くぎ・ねじ・ナット・ボルト類 43.74倍 |
ブランデー 7.26倍 | 銀及び銀を張った金属 1.14倍 | 大豆 4.29倍 | 手道具類及び機械用工具 18.89倍 |
ぶどう酒 3.1倍 | 銀 1.21倍 | ごま 6.61倍 | 卑金属製の家庭用品 6.07倍 |
ビール 4.46倍 | 銅及び同合金 4.56倍 |
結論:航空輸送と海上輸送の平均的な価格差は7倍
まとめ
- 航空便と船便は、輸入する商品の価格転嫁、品質劣化率によって使いわけます。
- 航空輸送と海上輸送の使い分けは、価格、時間、契約、競合の状況、必着性。
- 納品を急がないのであれば、所要日数は長い。配送料金は安い船便を選ぶ
- 納品を急ぐのであれば、所要日数は短い。配送料金が高い航空便を選びます。
輸送費の最適化記事
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