この記事では、食品衛生法違反と罰則事例の確認方法を説明しています。
外国の食品を輸入するときは、税関の許可をもらうために、厚生省から「他法令の確認」を受けます。この根拠が「食品衛生法(食品の安全性を守るための法律)」です。
日本へ食品を輸入する人は、個人目的、商業目的問わず、食品衛生法に従うことが求められます。個人使用やサンプル使用のみなど、一定の条件内であれば、確認願いをだすことで、食品衛生法の適用から除外される場合もあります。
今回は、この食品衛生法に違反した場合、どのようなことになるのか? また、過去の違反事例の確認方法をご紹介していきます。違反すると、会社名等が公にさらされるため、十分に注意します。
食品衛生法とは?
の違反事例を確認する前に、まずは食品衛生法の目的を確認しておきます。
食品衛生法とは、日本国内において食品による事故を防ぐための法律です。食品による事故とは、食べたり、飲んだりしたときに身体的に何らかのダメージがあることを言います。これを防ぐために、添加物使用の基準や表示などの原則を取りまとめている法律です。また、この「食品」には、直接的な食べ物だけが含まれるわけではなく、食器、容器、包装、乳児用おもちゃなども対象です。
食品衛生法は、日本国内へ流通させる食品に適用される法律です。日本国内で製造された商品はもちろんのこと、外国から来た食品も、この食品衛生法が適用されます。
輸入予定の貨物が日本へ到着したら、食品検疫所に「食品等輸入届出書」を提出して、審査を受けます。審査の結果、検査が決まると、輸入者が検査費用を負担する前提で、食品輸入検査が行われます。食品検疫所(厚生省)は、この輸入検査の結果と、食品衛生法の基準を比べて「輸入を認めるかどうか」を判断します。これが食品における「他法令」の仕組みです。
もし、このとき「食品衛生法上、問題なし」と判断されれば、税関の審査が終了次第、輸入許可となります。一方「食品衛生法上、問題あり、したがって輸入は認めない!」と判断されると、輸入不許可です。この場合、輸入者は、自費において「積戻し(輸送元の国へ送り返すこと)」や「破棄(すべて捨てる)」のどちらかを選択します。また、食品検疫所は輸入者に対して「食品衛生法違反」として通知します。
では、食品衛生法違反になると、具体的にどのようなことになるのでしょうか?
食品衛生法に違反するとどうなる?
既述の通り、輸入する食品が食品衛生法の基準を満たしていない場合、輸入は許可されません。この場合、輸入者は「積戻しと破棄」の二択です。さらに「食品衛生法違反者」として、厚生省が対外的に公表しているリストに名前などが掲載されます。もちろん、掲載しないでほしいと願ったとしても無駄です。すべて法律にしたがって公表されます。
下の図が平成28年4月分における食品衛生法違反事例のエクセルシートです。輸入者名なども含めてはっきりと記載されています。
画像引用元:厚生省
この事実を考えると、食品を輸入するときは「食品衛生法の基準」に従っていることをしっかりと確認しなければなりません。でなければ、厚生省の公式文章の中に「食品衛生法違反者」として社名が公表されます。
食品衛生法違反事例を確認できる所
食品衛生法違反事例を確認することは、先人のミスを学ぶことであり、自分が同じような違反を行わないための方法です。食品衛生法の違反事例は、厚生省の「違反事例集」に掲載されています。このページの中で、輸入月ごとに違反リストがあります。
違反事例の表の解説
上記のエクセルを開くと、以下のファイルが開きます。1番~12番までの項目について以下で説明します。
違反事例表の項目の説明
項目名 | 内容 |
1.品名 | 輸入商品の品名が書かれています。 |
2.違反と判断した法律の根拠 | どの条文に違反しているのかを示しています。 |
3.製造者(メーカー) | 商品を製造した現地メーカーの名前 |
4.シッパー(輸出者) | その商品を現地から輸出した業者の名前 |
5.生産国 | 商品が製造された国を表します。 |
6.不適格内容 | 基準に適合していなかった部分を示します。 |
7.担当検疫所 | 食品の輸入検疫を担当者した検疫所です。空輸製品の場合は「●●空港」となっています。 |
8.輸入者 | 違反となる食品を輸入する人 |
9.原因 | 食品の違反原因を示します。 |
10.措置状況 | 違反となった食品は、どのように処分されたのかを示します。 |
11.検査の種類 | 輸入検査をしたときの検査の種類を示します。自主検査、命令検査などがあります。 |
12.公表日 | 食品輸入違反が起きたことを公表した日 |
違反事例から学べること
エクセルファイルから違反事例を確認します。ただし、書かれている内容をそのまま受け止めるだけでは不十分です。表示されている内容を「どのように活用すれば良いのか」を考えます。
例えば「いつも違反になっている輸出者や製造メーカーはいないのか?」を考えてみてください。あなたが食品を輸入すると決めたとき、多くの違反をしているところを避ければ、それだけで、あなたが輸入違反者になる可能性が小さくなります。
まとめ
食品を輸入すると決めたら、まずは食品輸入違反事例を確認します。ここを見るだけで、どこの国の、どんな貨物が違反事例になったのかがわかります。これによって、ある程度、輸入リスクを下げることができるようになります。
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