この記事では、通関士試験の概要、免除規定、持ち物、お勧めのテキスト等をご紹介しています。なお、合わせて通関士一発合格するまでを解説してみた!の記事をご覧ください。
毎年10月第一日曜日に行われる通関士試験。今年の試験を目前に控え、最後の追い込みの時期になりました。就職、転職の際優位になる、また昇進の要件なっている場合もあります。そのことから、毎年学生から社会人歴20年を超えるベテランまで、幅広い年齢層の方が受験しています。
毎年の試験の実施日、問題数や合格ラインはほぼ同じ内容で推移しています。年に一度の機会を確実にものにする為に、これから受験を目指す方が気になる情報を過去の例を元にご紹介します。
通関士の資格試験
通関士試験は、毎年一回、10月に行われます。試験の概要は次の通りです。
試験の概要
- 申込期間:毎年、7月第四月曜日~8月第一月曜日
- 受付時間:午前10時~午後5時(消印有効)
- 試験日:10月第一日曜日
- 結果発表:11月最終金曜日
- 受験資格:学歴、経歴、性別、国籍に制限無。誰でも受験可能
- 試験実施地:全国の税関
- 試験科目:計3科目(通関業法、関税法、通関書類の作成)
- 合格ライン:各科目満点の60%以上
- 合格率は、20%弱と難易度はやや高め
- 試験方法:マークシート形式
通関士試験の申し込み方法
申し込み方法は、郵送を含めて全部で三つあります。多くの方は、税関から通り場所に住んでいるため、郵送での申し込みが便利だと思います。
- 郵送申し込み
- 直接申し込み
1.郵送の場合
1-1.必要書類の請求方法
受験願書と受験票を各税関に請求します。
・請求先:函館、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司、長崎、沖縄
・必要書類:角型2号封筒(A4サイズが入る返信用の封筒に切手添付。一部請求:120円、二部請求140円)
1-2.受験申込書送付
請求した以下の書類を各税関に提出します。送付時の封筒に「通関士試験」と朱書の上、書留、特定記録等追跡可能な方法で郵送してください。
・受験願書・必要事項を記入し指定金額の収入印紙を添付します。(令和元年は3,000円)
・受験票・必要事項を記入し写真添付します(縦3.5cmⅩ横3cm、1年以内に撮影、無背景、無帽)
・通関士試験科目の一部免除通知書の写し
2.直接申し込む場合
各税関で直接申し込みをすることも可能です。受付時間(平日午前9時~午後5時)に注意してください。
試験科目一部免除規定有り!
通関士試験は、通関業法、関税法、通関実務の3科目があります。その内、通関実務に従事している方は、一部の科目を免除されます。
免除を受けられる条件
- 通関業務に従事している期間が15年以上→関税法と通関実務を免除
- 通関業務に従事している期間が5年以上→通関実務を免除
免除を受けるための証明書の作成
免除を希望するときは、対象資格があることを証する証明書を用意します。通関業者で働いている方は、その業者が証明書を発行します。
- 通関業者で通関業務を行っていた場合にはその通関業者
- 当該通関業者が解散、もしくは死亡している場合には所属していた組織団体の代表者
- 官庁に勤務している場合には当該官庁の長
- 官庁に勤務していて、現に退職している場合には当該事務に関わる最終所属官庁の長
- 複数にまたがる場合にはそれぞれの者
免除の申請方法
受験申込時に必要事項を記入の上提出します。
- 受験願書
- 受験票
- 通関士試験科目の一部免除申請書
- 証明書
通関士試験科目の一部免除申請書(税関様式B-1210)証明書(税関様式B-1215)
模擬試験と試験当日
通関士試験は、一年に一回の一発試験です。そのため、少しでも本番に近い環境を味わいたい方は、関税協会が主催する模擬試験をお勧めします。
模擬試験への挑戦がおススメ!
公益財団法人日本関税協会主催で通関士試験の模擬試験を受験ができます。本試験に準拠した問題を、当日同様マークシート形式にて解答します。様々なスクールでも模試を開催しています。しかし全国最大規模で、本番さながらの試験の雰囲気を体験しておくことは本試験にとても役立ちます。
結果は約3週間後に自宅に郵送されますが、模擬試験当日に解答と解説の配布もあります。すぐに自己採点ができるように、問題用紙に解答を忘れずに記入してください。
試験当日のスケジュールと科目
受験票に記載された試験会場にて受験します。試験開始30分前までには会場に到着、着席していなければいけません。試験会場として大学を使用するケースも多く、駅やお手洗いは大変混みあうので時間に余裕をみて会場に到着しておきましょう。
試験当日の持ち物
持ち物は、受験票とHB(B)の鉛筆、消しゴム、電卓、時計です。
科目 | 配分 |
通関業法50分 | 選択式35点(10問)択一式10点(10問) |
関税法等1時間40分 | 選択式45点(15問)択一式15点(15問) |
通関実務1時間40分 | 選択式10点(5問)択一式5点(5問)計算式10点(5問)選択式・計算式20点(2問) |
受験対策と試験の要約
試験勉強対策
通関士試験では全ての科目で満点の60%以上の正解が要求されます。苦手科目を作らないことが合格へのカギです。それぞれの科目の出題傾向を把握し、準備します。合格までの平均勉強時間は350時間程度と言われています。一日の勉強時間を平日1時間、週末2時間とすると、約9か月。来年の合格を目指すには年明けから本格的に勉強を始めればよい計算です。
なお、通関士試験に合格するために必要な時間は、350時間~600時間と言われています。詳しくは、通関士の資格を独学で一発合格するまでの勉強記をご覧ください。
試験科目の要約
- 通関業法
- 関税法
- 通関書類の作成
1.通関業法
最も難易度の低い科目です。通関士、通関業者の義務や権利、通関業を営む上での規則等の法律に関する問題が出題されます。範囲が限られており、かつ70%以上が過去問からの出題です。従って、条文をしっかりと読み込み過去問演習をすれば合格ラインに到達するのは容易です。
2.関税法
非常に幅広い法律、分野から出題される為、最も勉強時間を要する科目です。また、ここで出題される知識は3科目目である通関実務にも生かされます。
例えば、適用税率変更による税額の計算や修正申告、延滞税額の計算問題などです。また関税法だけではなく、その他貿易に関する法律に関しても出題されます。その為、実際に貿易に携わる業務をしている方にとって有意義な知識を得ることができるのも特徴です。過去問を中心に、インプットだけではなくアウトプットの演習時間をとりましょう。
3.通関書類の作成
最大の難関であるのが3科目目の通関実務です。統計品目番号の決定や申告価格の計算は非常に複雑かつ豊富な知識が問われます。課税価格に含めるものと含めないものを正確に判断し、計算式を解く必要があります。
また、延滞税や過少申告加算税等の計算問題にも法令の正確な習得が問われます。知識だけではなく、いかに電卓を使いこなせるかも重要です。過去問を中心に時間をはかり、間違えることなく時間内に解き終えられるよう繰り返し問題演習に取り組みます。
お役立ち情報
受験情報等は各HPに掲載されています。特に税関、関税協会の情報は過去の試験も含めて非常に充実しています。受験を検討されている方は一度目を通してください。
- 日本税関HP(試験公告、結果発表等)
- 通関士ポータル(過去問、学習のヒント等)
- 公益財団法人日本関税協会(模擬試験、通関士講座、参考書等の出版物)
- 株式会社マウンハーフジャパン(多数の通関士著書のある片山立志氏の参考書出版会社)
おすすめのテキスト
各社より様々な参考書が出されていますが、初心者でも分かりやすく学習を進めやすいものをいくつかご紹介します。
- 「通関士教科書 通関士完全攻略ガイド」ヒューマンアカデミー
- 「通関士過去問題集」ヒューマンアカデミー
- 「通関士教科書 通関士試験 通関実務集中対策問題集」翔泳社
- 「通関士試験 ゼロからの申告書」日本関税協会
- 過去問 通関士ポータルより印刷可能
まとめ
- 通関士試験は10月第一日曜日、申し込みは7月後半の2週間
- 各科目ごとの問題傾向を把握し、計画的に学習を進めましょう
- 受験科目免除は通関業務経験者のごく限られた方に適用
- 税関HP、通関士ポータル等情報は充実。上手に活用してください
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