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第1回|輸入ビジネスで注意すべき「商標権」の基礎|正規品でもNGになる理由とは?

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商標権とは何か?輸入ビジネスに必須の基礎知識

輸入ビジネスで避けて通れないのが「知的財産権」、特に「商標権」の問題です。とりわけ海外ブランドの商品を扱う場合、商標権に関する正しい理解がないまま進めると、思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。

この記事では、商標権の基本的な仕組み、輸入ビジネスに深く関係する理由、実務に即した観点から解説していきます。

商標権とは?その本質と保護の目的

商標権とは、ある企業や個人が提供する商品やサービスを、他と区別するために使用する「マーク(ロゴ・名称・図形など)」に与えられる排他的な権利です。日本国内で登録された商標には、日本国内での独占的な使用権が発生します。これはつまり、第三者が無断でその商標を使った商品を販売したり輸入したりすることを禁止できる、ということです。

この制度の目的は、消費者の誤認混同を防ぎ、企業のブランド価値や信頼性を守ることにあります。したがって、たとえ本物の商品でも、正規のルートでない限り、日本での輸入・販売が商標権の侵害となる可能性があります。

また、商標権の存続期間は原則として10年で、更新手続きを行うことで何度でも延長できます。実際の登録状況は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用することで無料で調べられます。登録番号や商標名を入力すれば、権利者、指定商品、存続期間などが確認できます。

正規品でもNG?輸入と商標権がぶつかる理由

よくある誤解として「海外で買った正規品であれば、日本でも問題なく販売できる」と思い込むケースがあります。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。日本の商標法では、商標権者が管理していない経路から輸入された商品(=正規ルート以外)は、たとえ本物でも「商標権侵害」とされる可能性があります。

商標権者にとって、商品の品質管理や販売ルートのコントロールはブランド保護の一環です。そのため、「どこから来た正規品か」が非常に重要です。仮に海外正規代理店から購入した商品でも、日本の商標権者の管理下にない経路であるならば、差止の対象になり得ます。

個人利用なら大丈夫?実はあいまいな線引き

多くの方が「自分で使うだけなら関係ない」と思いがちです。しかし、2022年10月以降、税関では個人使用目的でも“商用とみなす可能性”が高まりました。

とくに以下のような場合は注意が必要です。

  • 同一商品を複数個まとめて輸入している
  • 明細書に「販売」や「卸」の記載がある
  • 過去に同様の商品を繰り返し輸入している

これらの事実を確認できると「実質的に商用」と判断され、差止対象となる可能性があります。

国内商標と海外商品の関係

たとえば「ABC」というブランドが海外で自由に販売されていたとしても、日本では「ABC」という名前が他人に商標登録されていれば、日本国内での販売は商標権侵害になります。

これはあくまで“国ごとに商標が管理されている”ことが理由です。海外で問題ない商品が、日本では販売できないという事態が起こり得ます。

税関による輸入差止制度とは

日本では、税関が商標権侵害の疑いがある貨物を差し止める「輸入差止制度」があります。これは、商標権者の申立てや登録情報に基づき、該当する貨物を検査・保留する制度です。税関に止められると、輸入者に通知が届き、一定期間内に権利非侵害を証明しなければ、貨物が没収または廃棄されることがあります。


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この制度の対象は、販売目的に限らず「反復継続して行われる輸入」も含まれます。つまり、個人でもフリマサイトやネットショップで販売を継続している場合、商標権の侵害と見なされる可能性があるのです。

2022年10月以降は、個人用途であっても知的財産侵害物品の輸入に対する取締りが一部強化され、一定のケースでは「個人使用であればOK」とは言えなくなってきています。最新の実務では、輸入の反復性や物品の数量、取引の態様などが総合的に判断されます。

2021年商標法改正による取締り強化と越境EC対策

2021年の商標法改正では、模倣品の水際取締りの強化が明確化されました。特に注目すべき点は以下のとおりです。

  • 海外事業者によるEC販売経由の模倣品輸入に対し、国内法を適用可能に(日本国内の消費者への販売が対象)
  • 模倣品の差止対象が「海外からの直送品」も含まれるように強化
  • 消費者の個人輸入であっても、販売目的があると認定されれば差止対象

つまり、「海外ECで安く買えるからOK」では済まされない時代になってきています。プラットフォーム利用者や個人輸入者にも責任が問われるケースが増加しています。

最新判例に学ぶ:2024〜2025年の裁判例から読み解くリスク判断

最近の商標関連判決では、類否判断・形態模倣・不正競争行為の成立範囲が厳格に扱われています。ここでは注目すべき裁判例を3つほど、ご紹介します。

【東京地裁 令和5年(2023年)2月「ソフトウェア名称の類似性」事件

判決では、販売ソフト名が既存の商標と酷似していたため、「外観・観念・称呼」が類似しているとされ、商標権侵害が成立。販売差止と損害賠償が命じられました。

【知財高裁 令和6年(2024年)3月】「包装形態の模倣」事件

あるアパレル製品のパッケージ形状とロゴ配置が酷似していたため、不正競争防止法第2条1項1号(商品形態模倣)に基づき、差止と損害賠償請求が認容されました。

【東京地裁 令和6年(2024年)5月】「ECモール上での模倣品販売と差止」事件:

海外から直送された模倣品を販売していた日本法人に対し、商標権侵害を理由に販売差止・損害賠償・アカウント停止命令が下されました。

→ この判決では、ECサイトの責任も一部認定されており、販売プラットフォームも取締り対象であることが示されました。

模倣品(偽ブランド品)の定義とリスク

「模倣品(偽ブランド品)」の輸入は非常に危険です。本物に酷似した外観・ロゴ・パッケージを意図的に使用し、正規ブランド品であるかのように偽装された商品を指します。たとえ品質が高くても、「商標権を侵害している」という一点で違法とされ、輸入は認められません。

模倣品を輸入した場合、以下のリスクがあります。

  • 税関で即時差止・廃棄処分となる
  • 故意であれば刑事罰(10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金)
  • ブランド側からの損害賠償請求や営業差止請求
  • ECサイトでのアカウント凍結や販売停止

また、模倣品を「知らずに仕入れた」としても、故意・過失の有無により責任を問われることがあります。「安いから」と安易に飛びつくのは非常に危険です。

商標権を知らずに輸入するリスク

商標権を軽視して輸入すると、以下のトラブルが発生します。

  • 税関で貨物が差し止められ、再輸出または廃棄処分となる
  • 貨物の代金が回収できない(返品不可)
  • 商標権者から損害賠償や差止請求を受ける可能性
  • 取引先や顧客からの信頼低下、事業停止のリスク

輸入において最も注意すべきは、「正規品=合法ではない」という点です。販売元や仕入元が信用できるかどうかに加えて、商標権者の許可を得ているかどうかが極めて重要です。

よくある質問(Q&A)

Q1. 個人輸入と業務輸入の違いは?どこで判断されるの?

A. 輸入する目的や数量、過去の取引履歴などに基づいて税関が判断します。「自分で使うだけ」のつもりでも、複数個の輸入や反復性がある場合、業務とみなされることがあります。

税関は、住所地、輸入品等を記録しています。反復性とは繰り返し輸入していること=これを判断するために記録済

Q2. 並行輸入は違法ですか?

A. 並行輸入は、正規代理店を通さずに本物の商品を輸入する行為で、必ずしも違法ではありません。ただし、日本の商標権者の管理を経ていない場合は差止対象となる可能性があります。

Q3. 模倣品と知らずに輸入してしまった場合、どうなる?

A. 故意ではなくても、過失があれば責任を問われる可能性があります。税関では即時廃棄の判断となり、返金されないことが一般的です。

Q4. 商標権に違反していないか不安です。どうすればいい?

A. J-PlatPatで該当商標の登録状況を確認し、必要に応じて専門家(弁理士や貿易コンサルタント)に相談しましょう。また、仕入れ先に「日本での販売許可を持っているか」を確認することも重要です。

まとめ

この記事では、輸入ビジネスにおいて知っておくべき商標権の基礎知識について解説しました。次回は、実際に自分で商標の有無を調べる方法や、輸入差止の対象になっていないかを確認するステップをご紹介します。

  • 商標権とは、ブランドを保護するための排他的権利である
  • 本物の商品でも、正規ルート以外の輸入は商標権侵害となる可能性がある
  • 税関には輸入差止制度があり、販売目的でなくても止められる場合がある
  • 商標権に違反すると、廃棄・賠償・事業停止など重大なリスクがある
  • 商標の登録状況はJ-PlatPatで確認できる
  • 個人輸入でも、反復性があれば差止対象になる場合がある

次の記事:第2回|商標リスクを回避!輸入前にできる商標権

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