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【HUNADE】輸出入と国際輸送ガイド 学習コース

第4回|輸入差止通知が届いたときの正しい対処法|税関対応・解除申請・再発防止まで徹底解説

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輸入差止にあったときの対応方法と、今後に活かす改善策

輸入ビジネスでは、ある日突然、税関から「差止通知書」が届くという事態に直面することがあります。こうしたケースの多くは、商標権に関する手続きや書類が不十分だったり、正規ルートであることを証明できなかったりすることが原因です。

しかし、冷静に対処すれば、大きな被害を避けることは十分可能です。

この記事では、差止にあった際の初動対応から、解除の手順、再発防止までを実務に即して解説します。特に、「すでに通知が届いている」「次回からは絶対に止められたくない」という方に向けた実践的な内容です。

知らずに輸入すると没収も?商標権侵害リスクと税関差止手続きの実態【答申第113号】

差止通知書が届いたら?(流れと初動対応)

税関で商標権侵害の疑いがあると判断されると、まずは「差止通知書」や「確認依頼書」といった文書が輸入者に届きます。これはいわゆる「警告」段階であり、この時点での対応が今後の流れを大きく左右します。

初動対応のポイント

  • 通知書に記載された期限内に必ず返信する(多くは7日〜10日)
  • 該当する貨物の内容・仕入先・インボイス等を確認し、必要書類を揃える
  • 関係書類の中に「輸入許諾書」や「OEM契約書」などがある場合は速やかに提出
  • 内容が不明瞭な場合は、まず税関に連絡して担当官に確認する

この段階で放置すると、貨物は自動的に「侵害品」として認定され、廃棄や再輸出処分となる可能性が高くなります。

模倣品と真正品での税関・警察対応の違い

ここで重要なのが、「真正商品(本物)」と「模倣品(偽ブランド)」で税関や警察の対応が大きく異なるという点です。

真正商品の場合

  • 商標使用の許可証明(輸入許諾書など)が提出できれば、差止は解除可能
  • あくまで「商標権者の管理下にない正規品」であるかの確認

模倣品(偽ブランド)の場合:

  • 商標権者や税関が侵害の故意があったと判断した場合、刑事告発の対象に
  • 内容や数量次第で警察に通報→取り調べ→起訴の可能性あり
  • 貨物は原則廃棄。悪質と判断されれば事業停止やサイト削除のリスクも

とくに複数回の差止歴がある事業者や大量の模倣品を取り扱った場合は、故意性を問われる可能性が高まり、刑事責任も現実的になります。真正品でも、「正規ルートである証明」ができなければ同様の扱いを受けることがあります。

差止解除の方法/書類再提出/あきらめる場合

差止を解除するためには、以下のいずれかの方法をとります。

1. 正規輸入である証明書類を提出

  • 商標権者の輸入許諾書
  • 正規代理店との契約書
  • インボイス、仕入先との取引記録など

2. 商標権者との交渉で差止を取り下げてもらう

  • 税関に対し、商標権者から差止申立ての一時解除通知を出してもらう
  • 実務上は商標権者側の協力が不可欠。弁理士や弁護士のサポートが有効

3. 諦めて再輸出または廃棄を選択

  • 仕入先に返送(再輸出)することで損害を抑える
  • 廃棄処分の場合、処分費用と通知文書の提出が必要

いずれにしても、対応方針を「文書化」して税関に提出する必要があります。メール連絡だけでは足りず、正式書面による対応が基本です。

【重要】「異議申立て」という選択肢とは?

差止が不当・誤認であると考える場合、税関に対して「異議申立て」を行うことが可能です。これは、輸入者が「権利侵害にはあたらない」と主張し、貨物の通関を求める正式な手続きです。

異議申立ての概要

  • 税関の判断に対して書面で異議を提出
  • 商標の類否や指定商品該当性についての見解を提出
  • 証拠書類や第三者意見書が必要となる場合も

成功例(概要)

税関が類似商標と判断したケースで、輸入者が異議申立て+弁理士による意見書を提出し、「非類似」として差止解除に至った例あり

失敗例

インボイス・ラベルが不十分で正規性を立証できず、異議申立てが却下され、廃棄処分となった事例も。→ 書類の一貫性と専門家の関与がカギになります。

裁判外紛争解決制度(ADR)で訴訟を避ける方法

税関判断や権利者とのトラブルが長期化した場合、裁判所を通さずに解決する「ADR(裁判外紛争解決)」制度の利用も選択肢の一つです。

ADRのメリット

  • 訴訟より短期間・低コストで解決が可能
  • 中立的な第三者(調停人)が間に入ることで、対話がスムーズに
  • 事案によってはビジネス関係の維持を前提に和解できることも

具体例

  • 模倣品疑いによる差止に対し、輸入者が弁護士を通じてADRを申し立て。
  • 商標権者と販売数量の制限を含む再契約を締結し、裁判を回避して差止を解除

専門家が関与する場合の効果と期間の目安

知財専門の弁理士や弁護士が対応に入ることで、以下のメリットが生まれます。

  • 書類の正確性や法的主張の妥当性が高まり、税関対応の信頼性が上がる
  • 商標権者との交渉もスムーズに進み、差止解除までの期間が短縮される傾向にあり
  • 平均的に、書類不備がない場合は1〜2週間で解除対応完了することも

実例:差止解除成功と再発防止策

【事例1】緊急で許諾書を取得し、10日で差止解除に成功

  • 小規模輸入業者が差止通知を受領
  • ブランド側に連絡し、正規の輸入許諾書を取得
  • 写真付き資料を添えて税関へ再提出 → 10日後に差止解除

【事例2】再発防止マニュアルで以後ゼロ差止を実現

  • 差止後、社内で「輸入チェックフロー」マニュアルを策定
  • 毎回J-PlatPatと税関差止リストで事前確認
  • 税関への事前照会を必須ステップ化 → 差止ゼロを継続中

よくあるトラブルQ&A(初心者向け)

Q1. 差止通知を放置したら?

→ 放置すると自動的に「侵害品」として処分対象となります。損害賠償請求の恐れも。

Q2. 再輸出の費用と期間は?

→ 約5,000~20,000円+1~2週間が一般的。返送先によっては通関拒否もあり。

Q3. 一部の貨物だけ通関できる?

→ 混載貨物の場合は一括処理となるケースが多く、部分通関は難しいです。

Q4. 正真正銘の本物なら止められないのでは?

→ 「真正品か否か」ではなく、「正規の許諾を得たルートかどうか」が判断基準です。

専門家に相談すべきタイミングと窓口

以下の状況では迷わず専門家に相談しましょう。

  • 許諾書が不完全、または取得できない
  • 税関とのやり取りが難航
  • 異議申立てやADRなど手続きに不安がある

相談先例

  • 日本弁理士会(無料相談窓口)
  • 知財専門弁護士(地域の弁護士会から紹介)
  • 税関知的財産部門(各税関HPに窓口記載)

次回以降の仕入れでトラブルを防ぐチェックリスト

  • 商標登録状況をJ-PlatPatで確認
  • 税関の差止リストに該当ブランドがあるか確認
  • 契約書・許諾書の管理を徹底し、更新も記録
  • インボイスや商品ラベルの整合性チェック
  • 税関相談窓口を活用して事前照会を行う
  • EC出品時は正規品証明をセットで準備

まとめ

差止にあったからといって、すべてが終わりではありません。落ち着いて対応すれば、リカバリーは可能です。重要なのは、次回から同じ問題を繰り返さないための対策です。

書類整備、相談先の確保、そして仕入ルートの見直し。これらを徹底することで、継続的で健全な輸入ビジネスを築いていくことができます。

  • 差止通知が来たら、期限内に対応し書類を提出する
  • 証明できなければ、再輸出や廃棄、あるいはブランドとの和解交渉などを視野に入れる必要がある。いずれにしてもコストや時間的ロスが発生するため、可能な限り事前にリスク回避の体制を整えておくことが望ましい。
  • 専門家への早期相談によって、税関対応の選択肢や交渉戦略の精度が高まり、被害を最小限に抑えられる。特に初動対応の誤りが大きな損失につながるため、判断に迷った場合は躊躇せず相談するのが賢明である。
  • 次回の仕入れでは「調査・契約・証拠」の3点を必ず整備し、商標の登録状況や差止リストの確認に加え、仕入先から許諾書や販売証明を取得し、文書管理・保存体制も整えておくことが、継続的な輸入ビジネスの安定に直結する。

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