航空輸送、どんな商材に向いている?
航空輸送は、スピードを重視したいときにぴったりの運び方です。納期が短いビジネスでは、航空便を使うかどうかが結果を左右することもあります。
とくに次のような商材に向いています。
- 急ぎで届けたいもの(試作品・展示会用品など)
- 高価でこわれやすいもの(精密機器・医療機器など)
- 温度管理が必要なもの(薬や生鮮食品など)
また、ネット通販の増加により、少量を何度も出荷するケースでもよく使われます。航空便は船よりも高くつきますが、売り逃しを防いだり、在庫を減らせたりするため、結果的にコストを抑えられることもあります。
この記事では、航空輸送の特徴と向いている荷物、使うときの注意点について、やさしく説明します。
この記事で説明すること
- 航空輸送は「速さ」が大事なときに使う手段
- どんな商品が航空輸送に向いているか(精密機器・医薬品・生鮮食品など)
- 航空輸送の良いところ(早い・通関がスムーズ・在庫を減らせる)
- 費用の計算方法(重さやサイズによって変わる)と注意点
- 危険な物(電池やスプレー缶など)は飛行機に乗せられない場合がある
- 納期を守るためには、書類の準備を早めにしておくことが大切
- エクスプレス便(DHLなど)との違いや、温度管理が必要な輸送のポイントも解説
航空輸送の主な特徴
特徴 | 内容 |
早く届く | 主要都市なら1〜3日、通常でも1週間以内で到着します。 |
便が多い | 飛行機は毎日たくさん飛んでおり、急ぎの荷物にも対応しやすいです。 |
在庫を減らせる | すぐ届くので、たくさん在庫を持たなくてもよくなり、資金も回しやすくなります。 |
通関がスムーズ | 空港には通関専用の窓口があり、処理が速いです。 |
料金は体積にも注意 | 重さだけでなく、荷物のかさ(体積)でも料金が決まります(体積÷6000と比較されます)。 |
航空輸送に向いている商材
高価な商品
精密機器、医療機器、電子部品、宝石、ブランド品など
→ 値段が高いので、輸送コストがかかっても問題になりにくいです。
鮮度が大切な商品
生花、果物、野菜、魚介類、薬など
→ 冷蔵・冷凍で運べば、品質を保てます。
急ぎの商品(試作品・イベント用品など)
展示会用の道具、試作品、サンプルなど
→ 海上輸送では間に合わないときに便利です。
流行に左右される商品
ファッション、IT製品、家電など
→ 納期が短い業界でよく使われます。
小さくて重たいもの
金属材料、バッテリー、計測機器など
→ 荷物が少量でも、早く届けたいときに使います。
実務での注意点
危険物には要注意
リチウム電池、スプレー缶、ガソリンなどは、航空便で制限や禁止されていることがあります。→ IATA(国際航空運送協会)のルールにしたがって、事前に確認&ラベルの貼付が必要です。
送料は「重さ」だけで決まらない
料金は「実際の重さ」と「サイズから計算する重さ(容積重量)」のうち、大きい方で決まります。→ 梱包の大きさも送料に影響するので注意しましょう。
通関準備の迅速化 書類の準備は出荷前にしっかり
航空便はスピードが早い分、書類にミスがあるとすぐにトラブルになります。→ 出荷前にインボイスなどの通関書類をチェックしておきましょう。
IATA危険品の代表例(抜粋)
区分 | 主な品目 |
電池類 | リチウムイオン電池、ニッケル水素電池 |
可燃物 | ガソリン、アルコール類、塗料 |
圧縮ガス | スプレー缶、消火器 |
補足情報
航空輸送の主な課題点
航空便は早くて信頼できる方法ですが、いくつかの弱点もあります。
- CO2の排出が多く、環境にやさしくない
- 悪天候や空港の混雑で遅れることがある
- 荷物の大きさや重さに厳しい制限がある
主な国際空港と航空会社
日本における主要な航空貨物の拠点としては、成田国際空港、羽田空港、関西国際空港が挙げられます。代表的な航空会社には、国内では日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)、海外ではルフトハンザカーゴ、キャセイパシフィックカーゴ、エミレーツスカイカーゴなどがあります。
航空貨物で一般的なインコタームズ
航空輸送では、以下の用語がよく使われます。
- FCA:売り手が空港近くで引き渡す
- CPT:売り手が輸送費を払って届ける
- CIP:輸送費と保険も売り手が負担
- DAP:買い手のところまで届ける(通関費は除く)
契約の前に「どこまで誰が費用を出すのか」をしっかり確認しましょう。
最近の市場動向
近年はオンラインショッピング市場の急成長や新型コロナウイルスの影響により、医薬品や生活必需品の航空輸送需要が急増しました。今後も少量多頻度で付加価値の高い貨物を中心に、航空輸送の重要性はさらに高まると予想されています。
初心者が感じやすい!航空輸送Q&A
Q1. 航空輸送はどんな貨物でも使える?
A. いいえ。リチウム電池や可燃物、スプレー缶などはIATA規則で制限や禁止があり、事前確認が必須です。全ての貨物が航空便に適しているわけではありません。
Q2. 航空輸送は高額なので基本的に避けた方がいい?
A. コストは高いですが、納期短縮による販売機会確保や保管コスト圧縮を考えると、全体コストでは合理的になる場合もあります。商材の価値や納期重視度によって判断しましょう。
Q3. 実重量より梱包サイズの方が料金に影響するって本当?
A. はい。本当です。航空便は実重量と容積重量(縦×横×高さ÷6000)の大きい方で料金が決まります。梱包設計が不適切だと不要な容積課金が発生します。
Q4. 通関準備は海上輸送と同じでいい?
A. 基本は同じですが、航空便はスピードが早いため、出荷前に書類不備があると即トラブルになります。書類は出荷前までに100%完了させる意識が重要です。
Q5. エクスプレス便と航空貨物便の違いは?
A. エクスプレス便(DHL、FedExなど)はドアツードアの速達配送。航空貨物便(通常のフォワーダー利用)は空港から空港までの手配が基本です。緊急性や荷物の性質で使い分けましょう。
Q6. コールドチェーン対応は航空便ならどこでも可能?
A. いいえ。航空会社・フォワーダー・トラック会社の全てがコールドチェーン対応している必要があります。特に温度管理品は事前確認と温度管理ラベルの貼付を徹底しましょう。
次の記事>>「第7回:国際航空貨物の重量計算と料金構造」
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