貨物を輸送するのは、船会社です。では、NVOCC、スペースチャーターとは何でしょうか?
この記事では、共同配船、スペースチャーターの仕組みを説明していきます。
海上輸送×共同配船とスペースチャーターの仕組み
貨物を海上輸送する会社は、どこでしょうか? 当然、貨物を積載して運航する船会社ですね。
では、別の質問をします。船会社と言っても、小さな会社から大きな会社まで様々です。また、日本と中国、日本とアメリカなど、運航する方面にも違いがあります。この違いを一つの船会社だけカバーできるでしょうか? もちろん、無理です。
そこで重要なポイントが「共同運行」です。日本とロサンゼルス港までの路線を運航する船会社同士が一つの船を共同で運航して、輸送コストなどを抑えます。そういえば、共同運航と聞くと、飛行機のアナウンスを思い出す方もいるでしょう。
「この飛行機は、スターアライアンスグループである全日空とアシアナ航空の共同運航便です。」
よくわからないけれど、全日空に予約をしたはずなのに、当日の飛行機は、アシアナ航空だった経験はございませんか? 実は、このコードシェアと、貨物船の共同配船も同じです。
「同じ航路を運航しているんだから、共同運航しよう!そうすれば、コストが圧縮できるよね?」という考え方から生まれた仕組みです。実は、海上輸送には、全部で3つの配船方式があります。
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ワンポイント:実はこの共同運航の考え方が始まったのは海上輸送が先です。飛行機は、すべて船での後追いで導入されています。
海上輸送・3つの配船方式
海上輸送の3つの配船方式には、次の物です。
- 単独運航
- 共同配船
- スペースチャーター
1.単独運航
名前の通り、一社で定期航路を運航する方式です。自動車の輸送やLNGの輸送など、超大型の物で、独占して運ぶときに適用します。
2.スペースチャーター
他社が運航する定期船のスペースを借りて、貨物の輸送を請け負い配送することです。NVOCC(フォワーダー)が利用している運航方式です。
例えば、船会社Aが東京からシドニーまでのコンテナ船を運航しているとします。全部で100個あるコンテナスペースの内、70個をNVOCCにゆずり、残りの30個分だけを自社で集めることにしました。つまり、70個分のスペースをフォワーダーに売却して、あとは、フォワーダー自身の運営に任せる形です。
この場合、船会社Aのコンテナ船は、次のような割合で運航されます。
- 全貨物スペースの内70%がフォワーダー所有
- 全貨物スペースの内30%が船会社所有
フォワーダーは船会社から購入したスペースを一般の荷主などに売却します。つまり、船会社から買い取った70%のスペースをさらに、一般の荷主に転売するのです。これによって、フォワーダーは、船会社からの買い取り価格と、一般荷主への売却価格との間でマージンを抜いて運営しています。
一般の荷主から船会社を見ると、一般荷主<<フォワーダ<<船会社の形です。このような関係性になっているため、B/L(船荷証券)も、次の形で発行されます。マスターB/LとハウスB/Lは、親子関係になっているため、何らかの理由でマスターB/Lがロックされているときは、その下にあるハウスB/Lもロックされます。
- 船会社からフォワーダーにマスターB/Lが発行される
- フォワーダーから一般荷主にハウスB/Lが発行される
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ある船を運航している船会社がそのスペースを他の船会社または、フォワーダーなどに売却して運航することです。
3.共同配船
共同配船は、複数の船会社が共同で一つの定期船を運航することです。スペースチャーターと似ていますが、ある船会社がスペースを売却するのではなく、最初から一つの定期航路を複数の船会社で共同運航しています。
配船方式の違いによる荷主への影響
以上が海上輸送における配船方式の違いです。一見すると、船会社と契約しているように見えますが、実はフォワーダーと契約していることがよくあります。この配船方式の違いによって問題になりやすいのは、海上保険の求償手続きや、貨物の引き渡しに関する手続きです。
特に、貨物の引き渡し時には「貨物を受け取りたいけれど、マスターB/Lがリリースされていないから受け取れない」という問題が発生することが多いです。
まとめ
- 海上輸送には、単独運航、共同配船、スペースチャーターがある。
- 単独運航は、一つの定期路線を一つの船会社で行うこと
- 共同配船は、一つの定期路線を複数の船会社で共同運航すること
- スペースチャーターは、船会社が運航する路線のスペースを別の船会社やフォワーダーに売却して運航すること。
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