フィーダー船とは、母船(大型コンテナ船)の輸送を補完する船です。各地から小型のトラックで輸送し一か所に集める。これを大型のトレーラーなどに積み替えることに似ています。
今回は、ハブ港、フィーダー港、母船とフィーダー船の関係を説明します。
- フィーダーには、内航と外航の2つがある。
- フィーダー船は、ハブ港とフィーダー港を結ぶ連絡船。
- メガキャリアは、世界のハブ港のみを運航。
- ハブ港で荷下ろしされた物は、フィーダー船によって周辺に配送される。
- フィーダー船は、メガキャリアの輸送の一部を手助けする存在。
- アジア地域では、上海、シンガポール、台湾(高雄など)がハブ港
- 日本は、東京港を含めて没落した結果、単なるフィーダー港に成り下がった。
- 原因はたくさん。大きな問題は、日本の港を牛耳る利権
フィーダー船
フィーダー船とは、主要な港(ハブ港)と、地方港を結ぶ連絡船です。また、フィード船には、次の2つがあります。
- 内航のフィーダー船
- 外航のフィーダー船
内航フィーダー船とは、東京、大阪、名古屋、福岡などの主要港に対して、日本国内の各地にある小さな港の荷物を運搬することです。この海外版が外航フィーダー船です。
例えば、新潟港と韓国の釜山港がその関係にあります。新潟港から荷物を発送。韓国の釜山で母船に積み替えた後、北米やヨーロッパに輸送します。これ以外にも上海経由の北米、台湾の高雄経由、シンガポール経由など、さまざなフィーダー網があります。
ハブ港への輸送ではなく、ハブ港からも輸送されます。=日本へダイレクト入港しない。
フィーダー船の仕組みや役割
フィーダー船は、世界の主要航路(ヨーロッパ、アジア、北米地域)を結ぶ主要港(ハブ港)と、地方港をつなぐ役割があります。ここでは、この仕組みや役割の部分を詳しく見ていきます。フィーダー船は、次の3つのポイントがあります。
- 依頼者が船社
- 空コンテナを回送する役割がある。
- 母船にあせて曜日を固定する。
1.依頼者が船社
フィーダー船を使い荷物を輸送する主な依頼者は、メガキャリアを運航する船社です。メガキャリアは、北米、アジア、ヨーロッパを結ぶ航路を運航しています。このときに立ち寄る港をハブ港のみで、そこから先の地方港をフィーダー船の運航会社に任せています。
- 荷主がメガキャリアに輸送を依頼する。
- メガキャリアは、フィーダー船ハブ港から先の部分を依頼
- フィーダー船は、ハブ港から荷物を引っ張り、指定の港まで輸送
1~3により、メガキャリアは、ハブ港のみに寄港することができ、船をより大型化できます。一方、フィーダー船は、ハブ港とフィーダー港の輸送のみに特化することができ、経営的な資源を集中的に活用できます。また、依頼は、メガキャリアから来るため、一定の需要を確保できる点もメリットです。
2.空コンテナを回送する役割がある。
コンテナには、需給ギャップがあり、メガキャリアは、常に空コンテナの動向に注視しています。一体、どのようなことなのでしょうか? ここで一つ考えていただきたいことがあります
- 上海→東京
- 東京→上海
上記2つの内、どちらがコンテナの中身が空になっていると思いますか? 一見すると、同じ航路であるため、コンテナの中身が空になっているのでは?と考えがちです。しかし、実際は全く違います。
- 上海で実入りコンテナになる
- 東京で空コンテナになる。
つまり、中国からの輸入超過となっているため、日本側で空コンテナが余るのです。フィーダー船は、空コンテナを回送する役割があります。
3.フィーダー船のスケジュールは母船に合わせる。
フィーダー船は、母船を支える役割があるため、当然、母船の運航に合わせてスケジュールを組みます。母船の運航が遅れているなら遅れる。早まっているなら早めるなどです。
以上、3つがフィーダー船の役割や特徴です。
国際物流をする上で考えるべきこと
では、実際に荷物の輸送依頼をする者として、何を考えるべきなのでしょうか?
- 日本にダイレクト入船する船会社または寄港数が少ない船会社を選ぶ。
- 船の建造年(新しいと船速が早い)を調べる。
- 積み替えに必要な所要日数を把握する
例えば、以前、ヨーロッパから商品を輸入したお客さんは、シンガポール、高雄、釜山の合計三か所で積み替えをしたため、当初の予定よりも大幅に到着が遅くなったことがありました。
よって、日本の港全体がフィーダー港化していることを踏まえると、今後はより一層、海上輸送の積み替えスケジュールの把握やトラッキングが重要になると思われます。
参考書籍:「最適物流の科学」著者:菅哲賢氏
フィーダー船に関する参考情報
主なハブ港
国 | 都市 |
台湾 | 高雄/Port of Kaohsiung |
中国 | 香港、上海 |
シンガポール | シンガポール |
マレーシア | タンジュンペラパス/Tanjung Pelepas |
ポートクラン/Port Klang | |
韓国 | 釜山、光陽/Port of Gwangyang |
インド | ナバシェバ/Nhava Sheva |
オマーン | サラーラ/Port of Salalah |
日本の港が没落した4つの理由
「なぜ、アジア新興国の港の地位は向上をしたのに、日本の港は没落したのか?」
この理由はいくつかあります。
- コストが高いこと。(トン税など)
- メガキャリアが入港するには、水深が浅いこと
- 24時間化が遅れていること
- 利権が絡むことなど
まとめ
- フィーダー船は、ハブ港と地方港を結ぶ船
- フィーダー船には、外航と内航の2つがある。
- フィーダーは、メガキャリの支線を補完する役割がある。
- 日本の港は、世界の主要航路では「地方港」の扱いを受けている。