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【貿易】フリーハウスチャージ(Free House Delivery)の意味



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海外の相手との取引交渉(輸出や輸入)において「フリーハウスデリバリー」を指定されることがあります。

フリーハウスとは、売り手が買い手が指定する場所までの全ての費用を負担することを意味する。別称、DDP (Delivered Duty Paid) 、Free domicileとしても知られています。

そこで、この記事では、フリーハウスデリバリーの意味、リスク等を紹介していきます。

フリーハウスデリバリー

貿易のフリーハウスデリバリーとは、売り手(輸出国)が買い手(売り手)の指定する場所(例:自宅、倉庫、会社等)までの全ての費用を負担することです。この費用には、次の物があります。

例えば….

  • 輸出国で輸出するための費用
  • 国際配送代金
  • 保険代金
  • 輸入国の通関費用(検査代等も含む)
  • 輸入国側の関税、消費税
  • 許可後の国内配送代金(ラストワンマイル)

売り手は、これらの費用を算出した上で、買い手に売買価格を提示する。小難しく聞こえるが要は、アマゾンが行う無料配送の仕組みを外国に向けて行うと考えれば良いです。

使用例:買い手に無料でプレゼントしたいときにも使う。

例えば、海外向けにECサイトを販売しているとしましょう。海外のお客から受注をし、フェデックス等で依頼をすることも、広義で「フリーハウス」だと考えて良いです。(正確にいうと違う)

ここで伝えしたいことは、

フリーハウスデリバリー=売主がお客さんに届けるまでの全ての費用を負担すること。

 
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少し貿易を知っている方は、この表現を聞いて「それっとDDPなのでは?」と感じるのではないでしょうか。そう、それがフリーハウスデリバリーを使わない方が良い理由です。

フリーハウスデリバリーよりもDDPの方が良い。

貿易業界は、本当に古い。業界が古すぎるのか、業界の範囲が広すぎるのか。いつまでも昔の慣習を続けている節があります。

例えば、在来船で一般的であったFOB、これは、コンテナ船が中心になった現代では、FCA又はCIPにする方がリスク等を考えて適切です。しかしながら、インコタームズ2020年に切り替わった今でも、現在進行形でFOBで交渉している方が多いです。

ただ、これは、まだインコタームズと呼ばれる運送責任と費用責任の負担が明確になっているだけ良いです。実は、この記事のフリーハウスデリバリーは、インコタームズではない。費用責任や危険負担が明確でなく、昔ながら「慣行」の上で成り立っている側面が大きいです。

貿易条件は、フリーハウスで~と指定するのは、基本的に間違いです。

私は、フリーハウスは、万が一の事故発生時は、全てを売主が負担するべきなのか?を争う余地が残されていると感じています。この件について、ジェトロさんでは、次の説明をされています。

貨物の危険(リスク)負担については、荷受人引き渡しまで荷送人負担となり、万一、途中で事故が発生した場合は荷送人の負担になります。運送人の損害賠償については、種々制約がありますので、商品代金によっては、予め貨物海上保険を付保した方が良いでしょう。貨物海上保険はクーリエ業者やフォワーダー等にても付保することが可能です。なお、壊れやすい品物等の特殊なケースの場合は、関係者と事前に十分相談されることをお勧めします。

引用元:ジェトロ

ジェトロさんでは、荷受人(買主)の引き渡しまでは、荷送人(売り手)の負担になると明記されています。しかし、フリーハウスチャージ(デリバリー)は、インコタームズではないため、本当にそうなるのか?との疑問を感じます。

ウィーン売買条約とフリーハウスデリバリー

そこで、ウィーン売買条約を調べてみました。なぜか? フリーハウスは、インコタームズはないため、輸送部分の責任等は、ウィーン売買条約(CISG)に基づくと考えたからです。

ちなみに、ウィーン売買条約(CISG)とインコタームズの関係は、加盟国間の売買条約であれば、自動的に適用されます。他方、インコタームズは、そのCISGの自動適用を防止するために締結する物です。したがって、フリーハウスがインコタームズでない以上、ウィーン売買条約(CISG)が自動的に適用されると考えています。

  1. フリーハウスはインコタームズではない。
  2. よって、国際売買のウィーン売買条約が自動的に適用される。

ウィー売買条約の67条

では、ウィーン売買条約の67条を見てみましょう。ここに危険負担の移転時期が記載されています。フリーハウスの危険負担の移転時期は、次の通りです。やはり、ジェトロさんの見解が正しそうです。フリーハウスでも売主が全ての負担します。

ただし、注意点があります。それが「特定の場所」です。この解釈は、次の通りです。

  • 特定の場所が設定されている=危険負担は、特定の場所(輸入国)で切り替わる。
  • 特定の場所が設定されていない=危険負担は、輸出国側で運送人に引き渡したら切り替わる。

売買契約が物品の運送を伴う場合において、売主が特定の場所において物品を交付する義務を負わないときは、危険は、売買契約に従って買主に送付するために物品を最初の運送人に交付した時に買主に移転する。売主が特定の場所において物品を運送人に交付する義務を負うときは、危険は、物品をその場所において運送人に交付する時まで買主に移転しない。

引用元:外務省の資料

基本的に、フリーハウスは、EX-GODOWNのように、ある種の慣行的に使われている側面が大きいです。実際、インコタームズ2020にもDDPがあるので、本来は、DDPで売買するべきです。

理由は、インコタームズの方が売り手と買い手の責任範囲が明確に定義されているからです。当然、インコタームズで売買すると決めた場合、あなたは、インコタームズの定義通りに実行する義務を負います。もちろん、それは、あなたを守る仕組みでもあります。

貿易取引に適切なインコタームズを設定することは必須です。間違った物を設定していると、万が一のときに思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。

トラブル例→ 【韓国の海運破綻】韓進海運や小山海運の倒産から学ぶ事

ビジネスは、常にイレギュラーを前提(最大リスク)にするべきだと思います。ようはバッファの考え方です。私は、どうしても定義にこだわりたくなります。それは、通関サポートの経験上、貿易の失敗は、大きな資金負担につながることを知っているからです。

貿易は、手軽そうに見えるけれど、ウィーン売買条約等の履行義務に束縛される一面があることも十分に理解するべきだと考えます。だからこそ、私は、不明確なフリーハウスデリバリーよりもインコタームズを好む。あなたは、どう考えますか?

最後までお読みいただきありがとうございました!

まとめ

  • フリーハウスとは、売り手が買い手に商品を届けるまでの全ての費用を負担すること
  • フリーハウスチャージ(デリバリー)は、インコタームズではない。
  • 本来は、DDP等を選択するべき
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