この記事は、日本の会社の船なのにパナマ船籍にする意味(便宜置籍船)とメリット、税金等の仕組みを解説しています。
テレビニュースなどで海運関連の話題を見ると「日本の船会社が運営するパナマ船籍の船が…」との言葉を聞きます。なぜ、日本の会社の船なのに、パナマ船籍なのでしょうか? 実は、このように船主の所在国と船の籍が違う物を「便宜置籍船」といいます。
そこで、この記事では、便宜置籍船の概要、理由などをご紹介していきます。
便宜置籍船(べんぎちえきせん)
便宜置籍船とは、船のオーナーが船の籍を自国の国以外に置いた船です。船のオーナーは、必ず、どこかに国に船を登録する必要があります。
例えば、日本にいる船のオーナーは、日本に対して船の登録。アメリカにいるオーナーであれば、アメリカに対して船を登録しす。登録した船は「各国の船籍」が与えられます。そして船籍を与えられた船は、その身分を明らかにするために、船籍国の国旗を掲げて航行します。
他方、便宜置籍船とは、船主が自分が所属する国家ではなく、他国に登録をした物です。日本に所属する船主がパナマ、バハマなど、自国以外の第三国へ登録することなどが当てはまります。
では、なぜ、船籍を他国にする必要があるのでしょうか? 主な理由は、次の2つです。
便宜置籍船(パナマ船籍にする)の2つのメリット
- 自国船員の人件費を圧縮できる
- 登録税等の税金が安い。
1.自国船籍の人件費を圧縮できる
自国船員の乗り組み義務とは、各国は、船主に対して、その船を運航する際に、自国の国籍である人員を乗り込ませる義務があります。ご存じの通り、人員費は、各国によって非常に幅があります。そして圧縮し難い分野でもあります。そこで、船主は、この自国船員の人件費をできるだけ安くするために、船籍を人件費の安い国に置いています。
2.登録免許税(税金)等が安い。
船を登録するとき、船を維持するときには、必ず税金がかかります。便宜置籍船は、このような船に関わる税金を安くする目的もあります。
以上の2つが便宜置籍船にする主な理由です。
国別の保有船腹量(便宜置籍船)ランキング
以下は、便宜置籍船の船腹量の国別ランキングです。実は、日本は、運航する船の内、およそ75%~80%が便宜置籍船です。これは、世界ランキング2位です。
- ギリシャ
- 日本
- 中国
- シンガポール
- 香港
- ドイツ
- 韓国
- ノルウェー
ソース:UNCTAD
まとめ
- 便宜置籍船とは、オーナーの所属国と、実際の籍を置いている国が違う船を言う。
- 便宜置籍船にする理由は、人件費や関連費用の圧縮です。
- 日本は、この便宜置籍船の船腹量が世界で二番目に多い。