貴方はタイ仕入れのため、バンコク行きのチケットを購入しました。しかし、初めてのバンコクで、仕入れに便利な場所にあり、尚且つコスパの高いホテルを一発で探し当てることはかなり難しいことでしょう。
何せ観光大国のタイには、ピンからキリまで星の数ほどホテルがありますし、プロの撮影で5割増しの写真が並ぶ予約サイトからは本当の使い勝手は分かりません。古来より、戦において自陣をどこに敷くかは戦局を大きく左右する重大事項でした。仕入れも戦です。
そこで私が、泣く泣く地腹を切ってホテルを予約し、その泊まり心地を実体験してまいりました。貴方の「あったらいいな」を最大限に叶えるべく、私が厳選したホテルをご紹介致しましょう。
タイ(バンコク)の仕入れで使いたいホテル
このような人に泊まってもらいたい
この記事では、「バンコクに行くのは初めてまたは数回目であり、土地勘がなく不安」という方を基本線として、さらに次のような要望を想定してホテルを選びました。いわば、医師が症状に合わせて薬を処方するように、貴方をホテル選びに悩む患者さんに見立てておすすめを厳選したのであります。
「診て進ぜよう。次の方どーぞ」
要望1「なるべく安く泊まりたいが、狭く汚いホテルは嫌だ」
貴方は観光に来たのではなく、仕入れという大仕事のためにバンコクにやってきました。新婚旅行ならば5つ星の外資系ホテルに宿泊すべきですが、今回は仕事です。なるべく経費は抑えたい。しかしそうは雖も、Gブリや南京虫が這いずり回るような木賃宿では困る。
ありますよ。1泊6,000円程度でありながら、広く、清潔なホテルがあります。
要望2「なるべく交通至便な地区がいい」
宿泊料金を形作る要素の一つに「公共交通機関から近いかどうか。街の中心部かどうか」があります。当たり前ですが、そこから近ければ高くなり、遠ければ安くなります。バンコクの中心部に当たる駅は「サイアム駅」であり、高級モールがどっしりと構える大変便利な場所です。しかし、中心部は予算の面から除外しましょう。では総合的に判断し、どの地区に宿を取るのがよいでしょうか。
結論から言えば、スクンビット地区です。中でもスカイトレインと地下鉄の2路線を利用できる「アソーク駅」が良いですが、その隣の「プロンポン駅」も、実は2路線を利用できるゾーンがあるのです。
スカイトレインまで徒歩約15分、地下鉄まで同10分ならば、及第点をつけられはしないでしょうか。バイタクに乗れるなら、もっと早く楽に行き来できます。仕入れの中心になるであろう「チャトチャック市場」へは、どちらの路線からも乗り換えなしで行くことができます。
要望3「なるべく不安を取り除きたい」
「何かあったらどうしよう」分かります、その気持ち。知らぬ土地に単身乗り込んだ貴方、心のどこかに不安を抱えていることでしょう。体調不良になったら薬局や病院にすぐに行きたいですし、刺激的なタイ料理よりも日本食を食べたいという希望もあるかもしれません。
そんな不安を解消するには、やはりスクンビット地区のプロンポンが最適です。日本人が多く住んでいるので、日本語の書かれた日本食レストランが多く、前々回ご紹介した「フジスーパー」も5店舗がひしめいて営業中です。
また、日本人通訳が常駐している「ブレズ薬局」も数店舗が集中し、タイ最高峰の病院の一つである「サミティベート病院」へもタクシーで15分ほどです。
たとえばチャトチャック市場近くで投宿すると、ことはそう簡単ではありません。健康への守りを固めましょう。
◎要望4「なるべく風呂に入りたい」
本当に同意します。日本人の我々が汗だく、クタクタになった体を癒すには入浴が一番です。しかし、入浴文化がないタイでは、バスタブのないホテルが大部分を占めています。まして、なるべく予算をかけないのであれば、浴槽付きのホテルを見つけることなぞ非常に困難です。
しかーし、私は見つけたのです。一般家庭の浴槽よりも広く大きいバスタブ付きでありながら(シャワーブースも別途あり!)6,000円程度で泊まれてしまう稀有なホテルを!しかも、このホテルから徒歩5分のところに「湯の森温泉」もあるのです。
そのホテルの名は「THE DAVIS BANGKOK(デイビスホテル)」
これまでの貴方の要望を総合すると、このホテルが第一候補となりましょう。デイビスホテルです。プロンポン駅下車、ソイ24を15分程歩いたところに所在しています。実は、地下鉄クイーンシリキット駅からの方が近く、10分程です。2路線利用できるのです。
建物は、ご覧のとおり西欧チックな雰囲気であり、連日、ここへ来てはモデル気取りで自撮りをしまくるタイ人の姿を見つけることができます。フォトジェニックなスポットとして、とても有名です。
さて、ホテルは本館と別館、さらにタイの伝統建築様式が特徴的なヴィラ棟の3つから構成されています。一番安価なのは別館(コーナーウイング)のスタジオルームです。ホテルへ直撃した場合、一泊1,480バーツ(約6,000円)だとフロントマンが教えてくれました。
「ほら見て! アゴダの方が安く出てるよ。それより安くならないの?」とスマホをかざして交渉してみましたが、頑として首を縦に振ってくれませんでした。アゴダに高い手数料を取られなくて済むのでホテルにとって得なのですが、細かい計算が面倒くさかったのかもしれません。
お部屋は十分過ぎるほどの広さ。全室バスタブ付きがうれしい
早速お部屋をご覧ください。なお、アゴダで値段を調べると本館のスーペリアルームが5,341円で提示されたため、アップグレードしてこちらを予約しました。一人で宿泊するには十分な広さです。大きなベッドは寝心地もグー。そして何よりバスタブ付きがベリーグッドではありませんか!
日中、市場を駆け巡った貴方なら、ぜひ湯船で足を伸ばしてください。きっと疲れが癒やされることでしょう。ホテルの目の前にはタイマッサージ店もあります。
その他施設
比較的高級ホテルではお約束のプール、ジャグジー、ジムも完備しているので、それなりの非日常気分を味わうことが可能です。
朝食は、コスパ低。おすすめしません。
旅先の宿での朝食は楽しみの一つです。海外ホテルの朝食で優雅な一日の始まりを迎えたいものですが、ここではそうはいきません。確かに200バーツとホテルの朝食にしては破格ではありますが、これならコンビニでおにぎりでも買った方がマシなレヴェルでした。
近隣には何がある?
健全系タイマッサージ店が道路の向かい側に2店舗、隣に1店舗(アリサマッサージ)あります。アリサは新しく、比較的清潔で良いと思います(足マッサージ250バーツ/h)。
また、週末の夜ともなれば、どこからともなく現れる富裕層御用達の「Dr.Fetch」というクラブもあります。我こそはとチャレンジ精神旺盛な向きは突撃してみてください。
タイの男「チューウィット兄貴」に由来
さて、どうしてこのホテルにはバスタブが標準装備され、なおかつ豪華でゆっとりとした造りになっているのでしょうか。
その秘密はタイでその名を知らぬ人はいないであろう、オーナーの「チューウィット氏」にありました。タイのみならず、破天荒で豪快な性格と行動力に惹かれた敬虔な信者も多く、親しみを込めて兄貴と呼ばれたりもします。
氏は、かつて「石鹸の国」をいくつも所有する風✖︎王でした。しかし、彼の所有地を立ち退かない飲食店に業を煮やし、重機と数百人の荒くれ者を使って一夜にして土地を強制奪還。結果、逮捕されてしまいます。この事件をきっかけに、氏は権力と対決する人生を選択。彼らの悪事を痛快に暴露することで有権者の支持を得て、国会議員に当選したこともあります。
最近どこぞにも同じような人がいましたが、彼とはスケールも魅力も全く桁違いです。兄貴は外国に逃げたりせず、今でもタイ国内で闘争を続けています。
前置きが長くなりました。このホテルはそもそもが「石鹸の国」として開業予定であったものが行政の許可が下りず、やむなくホテルへと業種を転換したものだと聞いたことがあります。ですから、どの部屋にも広い浴槽がデフォルトになっていたのですね。
総括
安く、広く、清潔。仕入れ活動はもちろんのこと、アフター5にも対応したデービスホテルは、あなたの定宿ドラフト1位となるかもしれません。
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