アジア太平洋地域への出張が多い方に耳寄りな情報です。入国審査を待ち時間を短縮したり、加盟国に自由に行き来できたりするカードがあります。(ベトナムに何度も入国しても怪しまれない)それがAPECビジネストラベルカードです。
ABTC(APECカード)は、アジア太平洋地域のビジネス出張を円滑にするための特別なカードです。簡易的な商業行為を認めてくれる上、専用レーンを使った最速の入国審査を受けられます。
この記事では、APECビジネスカードの魅力、取得基準、必要書類、2022年現在の状況を踏まえた取得時間等を説明します。
APECカード
APECとは、アジア太平洋経済協力会議です。太平洋をぐるりと囲む国々が経済発展、投資の自由化などを行い、ビジネスの発展を目指すことを目的としています。APECに加盟している国は、ざっと20ほどです。もちろん、日本もAPECのメンバーであり、その他の加盟国としては、次の国々があります。
APECの加盟国
日本、中国、オーストラリア、ブルネイ、チリ、香港、マレーシア、メキシコ、インドネシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、韓国、ロシア、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム、(アメリカ)
APECビジネスカードとは?
APECには、日本をはじめとした20ほどの国が加盟しています。APECの大きな目的は、域内のビジネスを活発にして、経済発展を促すことです。したがって、その目標を達成するために、できるだけビジネス的な交流をしやすい環境を整えています。その一つが「APECビジネスカード」です。
APECビジネスカードは、APEC加盟国内をビジネス目的で往来するビジネスマンにあたえる入国カード(ABTC)です。このカードを所有すれば、商用目的かつ一時的な入国であれば、本来、ビザが必要な物を「ビザなし」で入国できます。ビザなし入国と聞くと、日本パスポートを持っていれば、多くの国でビザなしで入国きることを想定します。しかし、ABTCは、それとは全く別の仕組みです。
- APEC加盟国の国民
- 貿易や投資に関するビジネスをする人
2つの条件を満たす人に対して、特別な入国審査を行います。
関連:APECを使用して入国した場合の許される活動は?
APECカードで入国した場合は、短期間で行われる収入や報酬を伴わない活動のみ許されます。具体的には、商談、連絡、市場調査や投資のための契約や調査、納品後の無報酬のアフターサービスなどです。
ただし、上記の範囲でも工場等に立ち入る場合は、別に許可が必要になる場合もあるので注意が必要です。
APECカードのメリット
APECカードのメリットは、APEC加盟国であれば、ビザなし入国ができる点にあります。これで煩わしいビザ取得は不要です。その他、APECカードのメリットは、入国審査のときに発揮されます。入国審査と言えば、時間帯によっては、多くの時間がとられてしまいます。しかし、このAPECカードを持っている人は、専用の入国審査ゲートが設置されているため、ほぼ並ぶことなくスイスイと入国審査を終えられます。
- 最大のメリット:混雑するイミグレーションを回避
- =APECの専用レーンがある空港でスムーズに出入国可能
- アメリカとカナダを除く19カ国に査証なしで入国可能
- 短期商用目的で利用ができる(観光不可)
- ベトナムに入国する際の基準が大幅に緩和される。
それでは、APECカードのメリットの仕組みやメリットがわかったところで、具体的な説明をしていきます。
APECカードを利用するための4つの条件
APECカードを取得できる条件は、次に示す4つの条件をすべて満たす方です。おそらく1~3の部分は、一般的な方であれば、特に問題なくクリアする条件です。問題は、4番のビジネスまたは投資実績を有することです。これは、APECの基本概念を表しています。
APECは、アジア太平洋地域の発展を目指す活動です。そのため、その目的を達成するために、力を発揮してくれる方に対して、入国審査の簡易化などのメリットを与えています。つまり、その恩恵を与えるにふさわしい人かをビジネス実績や投資実績によって判断します。具体的には、事業や投資の実績などを確認できる決算書、インボイス等の書類によって行われます。
- 有効な日本パスポートを持つこと
- 申請書の内容に虚偽がないこと
- 犯罪歴がないこと
- 金額の大小に関わらず、投資や貿易ビジネスをしていること
ABTCの申請先・方法と手順
APECカードを申請するときは、外務省のAPEC室に必要書類を郵送して行います。申請の流れは、次の1~3です。まずは、日本側で申請要件に適合するのかを確認した後、APECの全加盟国に対して事前審査を行います。
審査状況などは、インターネットなどで確認ができ、全加盟国の審査結果が判明次第、カードの発行が行われます。外務省のホームページによると、申請から交付までは、平均6カ月間かかるそうです。(*私の場合は、22ヶ月ほどかかりました)
1.日本で審査
2.全加盟国に対して事前審査を依頼
3.審査状況はインターネット上で確認
申請料金:13000円
有効期限:5年間
必要な書類
ABTCの申請に必要な書類は、下記の通りです。法人と個人事業主の違いは、登記事項の有無です。また、申請書類で重要な点は、海外とのつながりを示す点です。ABTCの目的は、APEC域内の投資や貿易ビジネスの拡大を目指す物であるため、金額に関わらず、海外との事業的なつながりが必要です。
個人事業主の場合
- ABTC申請書
- 写真2枚(パスポートサイズ
- 旅券写し(顔写真のページを1部)
- 在職証明書(開業届の写し又は、在職証明書)
- 登記事項証明書(提出不要)
- 貿易・海外投資実績を説明する文書(インボイス等)
- 企業パンフレットなど(取引先,事業規模,事業内容の詳細)
- 定形封筒(返信先住所記入)・414円分の郵便切手
- 収入印紙13,100円・手数料納付書(専用用紙をダウンロード)
APECビジネスカードの詳細については、外務省のサイトをご覧ください。
実際の申請の様子は?
- 2021年の2月24日付で外務省に申請。
- 最初の回答は、2021年4月22日の二か月後です。
- その後、不足する書類を再提出をしました。特に実際に貿易取引をしている書類をしっかりとチェックされるようです。
- 4/27日、外務省より返事が来る。日本側の申請は終わり各国の審査に入ると通知される。その際、申請番号と各国の承認状況を確認できるURLを伝えられる。
- アプリケーション番号と国を選ぶと、以下のように自分の申請に対する各国の承認状況がわかる。どんどんと追加されていくイメージです。
よくある質問:海外旅行目的でAPECカードは取得できるの?
取得できません。あくまで商用目的で一時的な入国をするビジネスマンに対して発行されるカードです。APECの基本理念の部分を理解すれば、遊び目的での取得は難しいことがわかります。
2022年12月21日、APECカード到着
申請から二年弱、ようやくAPECカードが届きました。流行病の影響からか、ベトナムの認証に非常に時間がかかったようです。
カードの受領後の手続き
カードを受領したら、受領した旨を外務省に伝えます。外務省のページからテンプレート(受領確認書)をダウンロード。必要事項を記入の上、PDFファイルに出力。これを外務省が指定するアドレスにメールします。
*ちなみに有効期限は、2027年12月になっています。
まとめ
APEC地域に出張が多い方は、ぜひAPECビジネスカードの取得をお勧めします。取得するメリットとしては、ビザが不要であることの他、APECカード専用の入国審査レーンを使用できる点が大きいです。申請から交付までは、およそ6月ほどの期間が必要なため、取得すると決めたら、なるべく早く申請することをお勧めします。
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