この記事では、とん税の基礎情報、計算方法等をわかりやすく解説しています。
外国船が日本の開港に入港するときは、船舶のトン数(重さ)に応じた「トン税」を支払います。トン税とは、外国貿易船の船長が入港する地を管轄する税関に納める税金です。そこで、この記事では、とん税の基本的な知識と役割などについてご紹介していきます。
とん税と特別トン税
外国船が日本の港に入港するときは、税金を納める必要があります。これを「トン税」と言います。
例えば、名古屋には、いくつかのターミナルがあります。最も有名な所が「NUCT(Nagoya United Container Terminal)」です。中国、韓国、東南アジア(バンコク、インドネシア、フィリピンなど)などのコンテナ船が入港し、日本で最も高い稼働率をほこるターミナルです。(名古屋港扱いコンテナの40%がここで処理される)
NUCTを管轄するのは名古屋税関です。よって、NUCTに入港する船の船長は、名古屋税関に対してトン税を納めます。
とん税とは?特別とん税との違いは?
トン税は、とん税法に基づき、外国船が日本の「開港」に入港するときの税金です。そして、このトン税を課税する基準は「船のトン数」です。
例えば、トン税が1トンあたり30円。船のトン数が100トンのときは、30×100=3000円がトン税です。また、とん税には、とん税と特別とん税の2つがあります。この内、特別トン税は、開港がある市区町村に譲渡されます。 →名古屋のNUCTは、弥富市に属します。したがってNUCTに入る特別とん税は、弥富市に分配されます。
開港とは?
税関長が定める港のことです。開港一覧は、関税法施行令の別表に記載されています。税関の資料によると、平成29年の一年間で特別トン税は、123億円あったそうです。開港の総数が80ほどあるため、単純に開港数で割ると、1つの市町村あたり2億弱が入ってきます。もちろん、これは開港数による単純な割り算です。入港数が多いターミナルを抱える市区町村は、この平均額どころでは有りません。もちろん、その逆もあります。
例えば、東京、名古屋、大阪などの巨大ターミナルをかかえる市区町村と地方ターミナルを抱える市区町村と同じわけがありませんね。
船舶のトン数の基準は?
とん税の課税標準は、船の純トン数です。税関の基本通達によると、この純トン数は、国際トン数証明書等(国際トン数確認書、船舶国籍証書、仮国籍証書、領事又は船級協会が発給した証明書等)に記載されている数値です。マリントラフィックに記載されている数値でも、ある程度は、参考にできるのかな?と考えています。
- とん税=とん税+特別とん税
- 特別とん税は、市区町村に分配される。
とん税の計算方法
とん税は、船の純トン数に対して、以下の料率をかけて計算します。都度払いとは、入港の度に支払う料金。一年払い(都度払い三回分)とは、文字通り一年間分をまとめて支払うことです。
例えば、船のトン数が1000トンかつ、都度払いであれば…….
支払うべきトン税は、36×10000トン=360,000円です。
支払い方法 | 税金 |
都度払い | 36円/トン(とん税16円+特別とん税20円) |
一年払い | 108円/トン(とん税48円+特別とん税60円) |
とん税の免除条件
原則的に日本に入港する外国船は、トン税を支払う必要があります。しかし、いくつかの「やむを得ない理由」があるときは、とん税の納付は免除されます。この条件は「一時入港」がポイントであり、一時入港に至る様々な事情を勘案して総合的に判断されます。詳しくは「とん税法及び特別とん税基本通達」をご覧下さい。
(1) 暴風雨、濃霧等の災害が予想される場合において、これを回避するためのみの目的で一時入港したとき
(2) 暴風、濃霧等の災害を回避するため航路を迂回した場合等予期し得ない事情により船用品が欠乏し、それを補給するためのみの目的で一時入港した場合
(3) 積荷の荷崩れを直し又はいかだの結索具等を締め直すためのみの目的で一時入港した場合 (4) 航行中に発生した急病患者、航行中に救助した遭難者、航行中船内において発見された密航者等を下船させるためのみの目的で一時入港した場合
引用元:とん税法及び特別とん税法基本通達
とん税と国際展開
でもお伝えした通り、海運会社は、過当な競争により、収益性が低下しています。このような状況において、海運会社が持続可能な環境を考えることは重要です。ひと昔前、日本の神戸港はアジアでもトップクラスの開港でした。しかし、阪神淡路大震災をきっかけにして没落が始まり、今ではかつての栄光の面影は全くありません。もちろん、これは神戸だけではなく、東京を含めた主要ターミナルも同様です。
東南アジア、東アジア各国の力があがり、相対的に日本の港の力が小さくなっています。このような状況の中、いつまでも昔ながらのやり方を続けるのではなく、ときには大胆な開放をして、真に開かれた「開港」を目指すべきタイミングが来ていると感じます。日本の役人は、既得権益にしがみつくのではなく、十年先、百年先の日本ためにも早急に港の改革をしていただきいと考えます。
まとめ
- とん税は、外国船が入港するときに支払う税金
- とん税の課税標準は、船舶の純トン数
- とん税は、とん税と特別とん税の2つがある。
- 特別とん税は、開港が所属する市区町村に譲渡される。
- とん税には改革が必要。日本の港を真に開放するためにもメスを入れる必要がある。