アメリカへ輸出を検討するときは「アメリカ側輸入規制」を理解する必要があります。そこで、この記事では、アメリカ側で輸入規制されている品目をご紹介していきます。なお、さらに専門的な内容を知りたい方は、ジェトロさんのアメリカページをご覧ください。
アメリカの輸入規制
こちらの記事で紹介する内容は、すべて米国税関CBPが公表する資料を基にしています。さらに詳しく知りたいときは、ジェトロさん又は、米国政府の担当機関にお聞きください。なお、米国の政府機関まとめも用意していますので、あわせてご覧ください。
アメリカ輸入規制の基本
アメリカへ輸出を検討する際には、アメリカ側の輸入規制を理解することが不可欠です。本記事では、アメリカの輸入規制対象品目を詳しく紹介し、輸出に関する重要なポイントを解説します。
さらに詳しい情報を知りたい場合は、ジェトロや米国政府機関の公式情報を確認することをおすすめします。
規制内容がわからない場合の相談先
アメリカの輸入規制に関する情報が不明な場合、まずは以下の政府機関へ相談することをおすすめします。
- 食品輸入:食品医薬品局(FDA)
- 農産物・植物検疫:米国農務省(USDA)、動植物検疫局(APHIS)
- 自動車・機械製品の輸入規制:運輸省(DOT)、環境保護庁(EPA)
- 電子機器・通信機器の規制:連邦通信委員会(FCC)
- 消費者製品の安全基準:消費者製品安全委員会(CPSC)
- 関税・輸入手続きの相談:米国税関・国境警備局(CBP)
これらの機関の公式サイトを確認し、規制や手続きの詳細について調べることが重要です。また、輸入する商品が特定の規制に該当するか不明な場合は、通関業者や輸入代理店に相談するのも有効な方法です。
食品の輸入規制
アメリカに食品を輸入する場合、食品医薬品局(FDA)による事前申請(Prior Notification / PN)が必要です。対象となるのは以下の食品です。
- 人や動物が摂取する食品・飲料
- チューイングガム
- これらの原料を使用した製品
食品輸入においては、以下の点も厳しくチェックされます。
- 偽装ブランドではない?
- 製造環境が不衛生ではない?
- ラベル表示に誤解を招く情報が含まれていない?
- 安全性に問題がない?
さらに、家禽、卵、肉、果物、ナッツ、野菜などは米国農務省(USDA)の追加規制を受ける可能性があります。詳細な情報はAPHISの公式サイトで確認できます。
自動車の輸入規制
自動車を輸入する場合、運輸省(DOT)や環境保護庁(EPA)の規制をクリアする必要があります。
- 対象:25年以下の車両
- 要件:連邦自動車安全基準(FMVSS)の遵守
- 製造元の証明書提出
- 通関時に「HS-7」フォームの提出
特定条件下では、例外が認められます。
- 一時的な使用(1年未満)
- 研究やデモンストレーション用途
- 外国政府や軍事用途
また、芝刈り機や農業機械などのエンジンもEPAの排出基準を満たす必要があり、「EPA Form 3520-21」の提出が求められます。
その他の主要規制品目
農産物・植物製品
- 管轄:USDA、APHIS
- 対象:果物、野菜、種子、切り花
- 要件:品質基準の遵守、検査証明書の提出
フレッシュトマト、アボカド、マンゴー、ライム、オレンジ、グレープフルーツ、ピーマン、アイルランドのジャガイモ、キュウリ、ナス、玉ねぎ、プルーン、クルミ、レーズン、缶詰のオリーブなど。

チーズ、牛乳、乳製品(クリーム等)は輸入ライセンスと輸入割り当てが関係します。
肉製品・家禽・卵
- 管轄:USDA、FSIS
- 要件:検疫、検査、鳥インフルエンザ対策
- 鳥インフルエンザ(H5N1)が蔓延する国からの家禽類は禁止
- 生きている鳥:USDAによる30日間の検疫
- H5N1の影響を受けた国の「加工品」は別扱い。
- すべての肉製品(牛、豚、羊、馬など)、卵製品は、USDAの規制対象となり、FSIS(食品安全検査サービス)による検査が必要です。
衣料品
衣料品は、品質表示に気を遣う必要があります。スタンプ、ラグ、ラベルなど。構成材料の重量表示5%ルール、表示順序、インボイス価格500ドルごとに~などの細かいルールがあります。特にウール製品には、別枠で細かく決められています。
- 要件:品質表示(材料構成、重量、原産地)
家庭用器具
- 要件:エネルギー効率ラベルの貼付
- エネルギー消費の効率性を示すラベルの貼り付けが必要
- 冷蔵庫、エアコン、給湯器、食器洗い機、洗濯機、衣類乾燥機、レンジとオーブン、プールヒーター
子供向け製品・おもちゃ
- 管轄:消費者製品安全委員会(CPSC)
- 要件:安全基準の遵守、窒息危険性の考慮
- 子供向けの用品:連邦有害物質法(CSPC)
- 3歳未満の子供向けのおもちゃ:窒息の危険性を考える。
- 規制対象例:風船、小さなボール、ビール玉、電気おもちゃ、ガラガラ、おしゃぶり、ベビーベッド
- 関連: The Child Safety Protection Act
木製の梱包材・木製品全般
- 観点:⇒病害虫が付着していないか?、違法伐採の木で作られていない?
- 規制対象例:パレット、クレート、木製品
- 関連ワード:臭化メチル、国際植物保護条約(IPPC)
- 関連機関:APHIS
電子機器・通信機器
- 管轄:連邦通信委員会(FCC)
- 対象:スマートフォン、ラジオ、テレビ
- 要件:電磁波・無線周波数基準の遵守
文化財
- 対象:特定国からの文化財
- 要件:輸入制限あり
その他
塗料や表面コーティング材(重量の0.06%以上の鉛が含まれていると禁止) |
|
自転車及びヘルメット |
|
花火 |
|
可燃性生地 |
|
各種画材 | 1988年のLHAMAに準拠していない限り輸入禁止。 |
シガー・多目的ライター |
|
その他、CSPCが関連する品目例 |
|
電磁波、無線周波数を発するデバイス |
|
偽造品 | 硬貨や有価証券を複製した物。 |
金融商品 | 一回の輸入で10000ドルを超える貨幣を持ち込む場合 |
有害物質 | プラスチック関連製品を輸入するとき |
毛皮製品 | 特に犬や猫の毛皮製品は、輸入、輸出、輸送、流通はすべて禁止。 |
商標権や著作権の侵害物 | 商標権・著作権を侵害する貨物は禁止 |
野生動物とペット |
|
マッチ、花火、ナイフ |
|
米国の国家転覆を企てるもの |
|
不正競争防止品 | 不正競争をしていると判断できる輸入品 例:輸出先の国政府が補助金をだしているなど。関連:ITC |
文化財関連品 | 以下の国の文化財は制限されている。 ボリビア、キプロス、カンボジア、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、イタリア、マリ、ニカラグア、ぺるーんなど。 |
輸入禁止・制限品目
アメリカへの輸入が禁止されていたり、制限されていたりする品目はこちらです。
- 偽造品、有害物質、わいせつ物
- 商標権・著作権侵害物
- 野生動物(ライセンス必要)
- 特定国との取引(制裁対象国)
まとめ
アメリカの輸入規制は多岐にわたり、対象品目ごとに異なる要件が設けられています。食品や自動車、電子機器、衣料品など、輸入する商品がどの規制の対象になるか事前に確認することが重要です。
また、2025年2月からの関税引き上げやデミニミスルールの改正にも注意が必要です。輸入ビジネスを円滑に進めるためにも、最新の規制情報を把握し、適切な手続きを行いましょう。


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