海外へ発送するときに使用する書類として「税関告知書」があります。この書類は、貨物の中身を書類だけで確認ができるように「商品名、数量」などを記載した上で、貨物の外箱へ貼り付けておくものです。
税関は、「税関告知書」や「インボイス(仕入れ書)」などから「外国へ発送しても問題ない商品か」を確認しています。一方、外国(荷物の送付先の国)の税関においては、これらの書類を通して「輸入させても良い商品なのか」を確認します。このとき、必要であれば、関税等を徴収することになります。
このように税関告知書は「日本の税関」や「海外の税関」が商品について詳しく知るために必要となる書類です。そのため、インボイス同様、貨物に添付するべき書類となります。この記事では税関告知書の一つである「CN23の書き方」を説明していきます。
関連リンク:CN22の書き方
税関告知書CN23
税関告知書には、CN22とCN23の二種類があります。この数字は「書類形式の違い」を表しています。
CN23は、発送する商品の合計額が「300SDR(日本円で約50,000円)」を超える物を発送するときに使用します。一方、300SDR未満の物は「CN22」を使います。
商品の合計額とはどういうことなのでしょうか。以下の画像をご覧ください。
下の段ボールの中には、三点の商品が入っています。この場合、段ボールの中に入っている合計価格は、60,000円となります。2016年現在、1SDR=168円となりますので「357SDR」となります。したがって税関告知書「CN23」を用いることなります。
CN23の入手先
税関告知書のCN23は、日本郵政のページからダウンロードができます。エクセルのファイルになっているため自由に編集ができます。下の画像の1~8を順番に説明していきます。
以下の1~8までに共通して言えるのは「個人使用目的で発送する物」と「商用目的で発送する物」とでは、記載内容に違いがあることです。
例えば、商品の内訳を記載する「5」の欄でいうと、商用目的の場合は商品名の他に「HSコード(商品を数字で表した物)」の記載が求められます。このように記載する内容に違いがあることを頭に入れておきながら、後に続き税関告知書の書き方の説明をご覧ください。
1.差出人情報
差出人とは、荷物を差し出す人、つまり「あなたに関する情報」を記入します。商用目的で送付しない場合は2段目の「差出事業者名」は不要です。
2.郵便物番号
郵便物番号は、貨物を送付するときに自動的に付与される「問い合わせ番号」「トラッキング番号」のことを言います。例えば、EMS(国際スピード郵便)であれば、伝票の一枚目に記載されています。*基本的にEMSなどを使う場合は、税関告知書を別に用意する必要はありません。
3.輸出者と輸入者に関する情報を記載
輸出者や輸入者の電話番号、タックス番号、インポーター番号などを記載します。ここでいう輸出者とは「あなたのこと」をさし、輸入者は「相手のこと」です。輸入者の「タックスコード」「インポーターコード」などは、空欄でも良いです。
4.受取人情報
受取人とは、荷物を受け取る人、つまり「海外にいる相手の情報」を記入します。差出人と同様、商用目的で送付しない場合は、2段めの「受け取り事業者名」は不要です。
5.段ボールに詰め込む商品情報を記載します。
内容品の英語訳を参考にして、左列から右列にかけて数量、正味数量、価格の順に記載していきます。この中にある「正味重量」とは、内容物のみの重さのことを言います。
例えば、小さな「コマ」を「化粧箱」に入れているとします。この場合であれば、コマの重さを「正味重量(ネットウェイト)」といいます。他方、コマと化粧箱を合わせた重さであれば「総重量(グロスウェイト)」です。このうち、税関告知書に記載する重さは「正味重量」です。
商用目的で輸出する場合であれば、一番右側にある「HSコード」と「貨物の原産国」も記載します。もし、EPA(関税を安くする制度)を適用する貨物を発送するときは、この部分はしっかりと記載するようにします。ここで記載する貨物のHSコードと6番で記載する「特定原産地証明書」の中に記載されている内容と同じにします。
最後に、発送する貨物の目的を選択します。対応する物に「×」を付けます。
6.検疫、証明書番号などを記載
この欄は主に商売目的で発送する人が対象になります。それ以外の方は、関係ありませんので読み飛ばしてください。
発送する商品が検疫などを要する場合であれば、その旨を記載します。(観葉植物の発送など)6番の下にある「免許」「証明書」「インボイス」に注目をします。これら三つの中でも特に「証明書」と「インボイス」の欄が重要になります。
証明書番号欄には、貨物の原産国を証明する「原産地証明書の番号」を記入します。原産地証明書とは「ある国で生産された商品であることを証明する書類」となります。この場合であれば、日本で生産されたことを証明する原産地証明書の発給番号を記載します。
また、もう一つ忘れがちなことがあります。それが「輸出入者コード」の記載です。輸出入者コードは、あなたの貿易の実績を記録する固有の番号になります。実は、国際郵便などによる発送や受け取りの場合であっても、この輸出入者コードを使うことができます。
インボイス欄にも「インボイスの番号」を記載するようにします。
7.郵便料金や差出局
この欄は、郵便局に発送する窓口での記入でかまいません。書類の作成段階では飛ばしてください。
8.署名と日付の記入
最後に、この税関告知書の記載内容について「責任を持つこと」を約束するために「署名」を行います。この署名はあまり気楽に考えるべきではありません。税関告知書に記載した内容について自分が全責任を取り、場合によっては「法令違反による裁き」を受け入れることを約束していることと同じです。
その他、税関告知書を記載する上での3つの注意事項
1.記入する言語に要注意!
「英語」「フランス語」または、相手先の税関が使用する言語で記載します。もし、ベトナムに発送する場合であるなら、英語、フランス語、ベトナム語のどれかを使います。
2.商品内容は曖昧(あいまい)に書かない
商品情報を記入するさいは、できるだけ抽象的な表現を避けます。(良い例:赤ちゃん用帽子 悪い例:商品見本、食品など)
3.署名したことに責任を持つ
税関告知書の最後には署名欄があります。上記で述べた通り、これは税関告知書に責任を持つことを約束する物です。「知らなかった」では済まされない場合が多いです。
税関告知書に商品を書ききれない場合はどうしたらいい?
商品の詳細情報を記載する欄(5番)はスペースが狭いです。そのため、商品数が多いと「書ききれない問題」が発生します。その場合は、商品詳細欄には「SEE ATTACHED SHEET」と記載をして「税関告知書補助用紙」に記載するようにします。
記載内容例
上記で説明した内容を基にして税関告知書CN23の記載例を下記に掲載します。
一般的な貨物の場合
商用貨物を発送する場合に要求される事項を除いた部分について記載しています。
商業貨物の場合
商業貨物を送付する場合の記載例です。特に下の欄にある「各種証明書の番号」は重要になります。
まとめ
税関告知書CN23様式の記載例を説明しました。CN23の書類を作成するうえで気を付けたいことは「商業目的の発送」と「個人使用目的の発送」において記載する内容が異なる点です。
個人用の貨物の発送であれば、商品のHSコードの記載は不要です。また、各種証明書の書類なども記入しなくていいです。しかし、商業目的の発送である場合は、基本的にこれらをすべて記載する必要があります。特にEPAなどを適用する場合は、証明書情報の記載は絶対行う必要があります。
これらの事実をふまえて考えると「個人使用目的の発送」と「商業目的の発送」を切り離して考える必要があります。
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