キャッチオール規制が免除される国とは?ホワイト国(い地域①)の仕組みと実務ポイント
ホワイト国制度とは何か?
日本の輸出貿易管理制度では、武器開発やテロリストによる悪用の恐れがある貨物や技術情報に対し、厳格な規制が設けられています。これには、対象物を明示した「リスト規制」と、用途や需要者の情報によって判断される「キャッチオール規制」の2種類があります。これらの規制は、外為法(外国為替及び外国貿易法)と輸出貿易管理令に基づき、経済産業省が運用しています。
このうち、「ホワイト国(い地域①)」とは、日本と同様に高度な輸出管理体制を持ち、国際的な輸出管理レジームに参加している信頼性の高い国々を指します。これらの国に対しては、キャッチオール規制が免除されるほか、「包括許可」などの簡素化された手続き認められています。
キャッチオール規制が適用されない理由
キャッチオール規制は、本来、リストに載っていない品目でも、大量破壊兵器や通常兵器への転用が疑われるときに輸出許可が必要となる制度です。ところが、い地域①に分類される国々は、輸出管理制度が十分に整備されていることから、リスクが低いと判断され、キャッチオール規制の適用が原則として免除されます。
この優遇措置は、輸出先の国がワッセナー・アレンジメント、オーストラリア・グループ、ミサイル技術管理レジーム(MTCR)など、国際的な輸出管理枠組みに参加していることを前提としています。そのため、信頼国同士での輸出においては、過度な手続きが省略されて効率的に運用できるようにしています。
ただし、い地域①に該当する国への輸出でも、国連安保理決議による制裁対象者が関与する場合や、大量破壊兵器の開発に関与する懸念があるケースでは、例外的にキャッチオール規制が適用されることがあります。

キャッチオール規制には、大量破壊兵器のキャッチオール規制と通常兵器のキャッチオール規制があります。
対象国の具体例と実務への影響
2024年現在、い地域①に分類されているのは、主に欧米諸国と一部のアジア・オセアニア諸国です。具体的には、以下の地域です。
アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、アイルランド、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、ポルトガル、チェコ、ハンガリー、ギリシャ、ブルガリア、ポーランド、スイス、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン、韓国
これらの国に対する輸出では、リスト規制に該当しない貨物について、キャッチオール規制の適用が原則免除です。
最新の対象国リストについては、経済産業省の公式サイト「安全保障貿易管理」ページ