食品の国際輸送は、温度管理や鮮度保持が極めて重要です。生鮮食品や冷凍食品は適切な温度帯で輸送しなければ、すぐに品質が劣化し、輸出先国に届く頃には価値が低下します。さらに、湿気や酸化、振動による破損リスクも高くなります。
この記事では、食品輸出における温度管理の基本から、食品の種類ごとの最適な輸送手段、梱包戦略について詳しく解説します。
食品の国際輸送:温度管理・鮮度維持・衛生管理の重要性
温度管理の重要性
食品の輸送中、温度管理が適切に行われないと、腐敗や品質劣化が進み、最終的に廃棄処分に至るでしょう。特に、鮮度が命とされる生鮮食品や冷凍食品は、輸送前の予冷処理から輸送中の温度維持、輸送後の保管までの一貫した管理が必要です。近年では、IoTセンサーを活用したリアルタイムの温度監視システムを導入する企業も増えており、品質管理の向上に役立っています。
食品の種類ごとの最適な温度帯と輸送手段
食品の種類ごとに最適な温度帯を確認してみましょう!
冷蔵食品(チルド輸送)
冷蔵食品は、温度を0℃~10℃に維持することで、細菌の繁殖を抑え、鮮度を保つことができます。適した食品には、乳製品、生鮮果物、精肉、鮮魚、加工食品などがあります。リーファーコンテナ(冷蔵コンテナ)を活用することで、長距離輸送でも品質を維持できます。
冷凍食品(フローズン輸送)
冷凍食品は、-18℃以下で保存・輸送することで、長期間の鮮度維持ができます。この温度帯に適した食品には、冷凍魚介類、冷凍肉、アイスクリーム、冷凍加工食品などがあります。冷凍コンテナやドライアイス、ゲルパックを併用し、輸送中の温度変化を防ぎます。特に水産食品の輸出では、HACCP(危害分析および重要管理点)に基づく衛生管理が必須です。
常温食品(ドライ輸送)
常温で保存できる食品は、温度管理の必要がなく、輸送コストを抑えられます。適した食品には、レトルト食品、缶詰、調味料、乾燥食品、菓子類などがあります。ただし、高温や湿気による品質劣化を防ぐために、防湿梱包や脱酸素剤を活用することがお勧めです。
食品の鮮度保持に最適な梱包方法
食品の種類ごとに最適な「梱包方法」を解説します。
生鮮食品の梱包
生鮮食品は、輸送中の振動や圧力による損傷を防ぐため、発泡スチロール箱に保冷剤を入れ、強化ダンボールで補強する方法が有効です。また、リーファーコンテナを使用する場合は、箱内部の温度を均一に保つ工夫をします。
冷凍食品の梱包
冷凍食品は、真空包装を施し、発泡スチロールや断熱材を用いた箱に詰めることで、温度変化を防ぎます。輸送中の温度管理が不安定な場合は、ドライアイスやゲルパックを併用することで、冷凍温度を維持します。
常温食品の梱包
常温輸送される食品は、湿気や酸化を防ぐため、アルミパックや防湿フィルムを活用するのが効果的です。また、輸送中の衝撃を吸収するため、内部にクッション材を敷くこともお勧めです。
食品輸送に適した輸送方法
食品の種類ごとに最適な「輸送方法」は次の通りです。
FCL(コンテナ貸切輸送)
FCL(リーファー)は、コンテナ全体を専有できるため、温度管理を徹底しやすく、大量輸送に適しています。生鮮食品や冷凍食品を安定した環境で輸送したい場合に最適です。
LCL(混載輸送)
LCL(リーファー)は、小口輸送向けの方法であり、常温食品や加工食品などの輸送に適しています。ただし、他の貨物と混載されるため、温度管理の精度が低くなる可能性があります。また、輸送ルートが限られる点も難点です。
航空輸送
航空輸送は、短時間での輸送が必要な食品に適しています。高級フルーツや寿司ネタ用の魚介類など、鮮度が重要な食品の輸送には最適です。しかし、コストが非常に高いため、付加価値の高い商品向けにとどまるでしょう。
クールEMS
小規模事業者向けには、郵便局の「クールEMS」による冷蔵・冷凍輸送サービスがあります。特に小口輸送や試験的な海外展開を行う企業にとって、手軽に利用できる手段です。
食品輸送で発生するリスクと対策
食品輸送では、温度変化、湿気、衝撃、盗難などのリスクが伴います。これらのリスクは、適切な梱包材の選定や温度管理システムの導入で小さくできます。特にリーファーコンテナを利用する場合は、輸送前にコンテナの温度設定を確認し、輸送中の温度記録を保持することで、トラブルを防げるでしょう。
食品輸出に関連する主な法令
- 輸出先国で必要になる各種証明書を必ずチェック(日本で発行可能な証明書を確認)
- 食品衛生法
- 植物防疫
- 動物検疫
まとめ
- 食品輸出では、温度管理と鮮度保持が重要な要点
- 生鮮食品や冷凍食品はリーファーコンテナを活用し、適切な温度帯を維持
- 常温食品は、湿気や酸化を防ぐための梱包対策が必要
- 大量輸送にはFCL、小口輸送にはLCL、高価な食品には航空輸送
- 輸送中の温度変化や湿気対策を徹底し、適切な梱包を施すこと


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