危険物の輸出では、適切な梱包と輸送方法を選び、国際規制を守ることが重要です。誤った取り扱いは、事故や環境汚染を引き起こし、重大な罰則を科せられるリスクがあります。危険物輸送には、航空・海上・陸上のそれぞれに厳格なルールがあり、各規制に適合した輸送計画を立てることが求められています。
この記事では、危険物輸出に必要な国際規制、梱包方法、ラベリング、輸送手段の選び方について詳しく解説します。
危険物の国際輸送:規制、梱包、ラベリング、輸送手段の選択
危険物輸出に関する主要な国際規制
危険物の輸出は、各国の法規制に加え、国際的なルールに従う必要があります。代表的な規制には、次のものがあります。
- 航空輸送を管理するIATA DGR(危険物規則)
- 海上輸送を管理するIMDGコード(国際海上危険物規則)
- 陸上輸送を規定するADR(欧州危険物輸送協定)
IATA DGR(航空輸送の危険物規制)
IATA DGRは、航空輸送における危険物の取り扱いを厳しく制限しています。特にリチウム電池、可燃性物質、毒劇物などは、規定を満たさない場合、航空会社に積載を拒否される可能性があります。輸送する危険物のクラスを確認し、IATAが定める梱包基準に適合したパッケージを使用します。
IMDGコード(海上輸送の危険物規制)
IMDGコードは、国際的な海上輸送における危険物の分類や梱包要件を規定しています。海上輸送は大量の貨物を運ぶため、貨物同士の接触や化学反応を防ぐための貨物配置が必要です。危険物のクラスごとに指定された梱包材を使用し、耐久性の高いパッケージを選択しましょう!
【危険物輸送】海上輸送と航空輸送の落とし穴であるIMDG Codeとは?
ADR(陸上輸送の危険物規制)
ADRは、ヨーロッパを中心とした陸上輸送の危険物規制です。各国の道路輸送に関する基準を統一し、特定の危険物の輸送には許可証や特別な装備が必要です。鉄道やトラックでの輸送を行う際は、輸送経路の規制を事前に確認し、安全対策を講じる必要があります。
危険物の分類と輸送に適した梱包方法
危険物は、UN分類に基づき9つのクラスに分類され、それぞれに定められた梱包基準に従う必要があります。
- クラス1:爆発物(火薬・花火など)
- クラス2:ガス(プロパン・酸素ボンベ)
- クラス3:引火性液体(ガソリン・アルコール・塗料)
- クラス4:可燃性固体(マグネシウム・セルロイド)
- クラス5:酸化性物質(過酸化水素・硝酸)
- クラス6:毒物(シアン化合物・殺虫剤)
- クラス7:放射性物質(ウラン・医療用アイソトープ)
- クラス8:腐食性物質(塩酸・硫酸・苛性ソーダ)
- クラス9:その他の危険物(リチウム電池・アスベスト・ドライアイス)
これらの危険物は、国際規格に適合したUN認定の梱包材を使用します。貨物の特性に応じ、二重包装・吸収材・緩衝材を適用し、安全性を高めます。
危険物輸出時のラベル・マーキング・書類の準備
危険物の輸出には、適切なラベルと書類の準備が必要です。
必須のラベルとマーキング
貨物には、危険物ラベル(クラスごとの識別マーク)、UNナンバー、取扱注意ラベルなどを明確に表示しなければなりません。特に航空・海上輸送では、リチウム電池や毒物など特定の危険物に追加のマーキングが求められます。
必要な書類
- MSDS(物質安全データシート):貨物の危険性と取り扱い情報を記載
- Shipper’s Declaration for Dangerous Goods(航空輸送用の危険物申告書)
- IMO申告書(IMDGコード準拠)(海上輸送時に必要)
- 輸出国・輸入国の規制に応じた書類
これらの書類は、輸送会社や通関業者と事前に確認し、不備がないようにします。

MSDS(SDS)は、日本語版と英語版の両方が必要です。
輸送手段別の危険物輸送のポイント
輸出手段別の危険物のポイントは次の通りです。
航空輸送のポイント
航空輸送では、貨物の気圧変化による影響を考慮し、気密性の高い容器を使用します。特にリチウム電池を含む貨物は、IATA規制の厳格なルールに従い、適切な梱包とラベリングが必要です。
海上輸送のポイント
海上輸送では、長期間の輸送による湿気・温度変化への対策が必要です。IMDGコードに基づいた適切な貨物の配置と耐久性のある梱包を施し、貨物の安全性を確保します。
陸上輸送のポイント
陸上輸送では、転倒・漏出の防止策が必要です。ADR規制を遵守し、必要な許可を取得することで、安全な輸送を実現できます。
まとめ
- 危険物輸出は、IATA・IMDG・ADRなどの国際規制を遵守する必要があります。
- 危険物は9つのクラスに分類され、それぞれ適切な梱包・輸送手段を選択する必要があります。
- UN認定の容器を使用し、耐衝撃・耐圧・耐湿対策を徹底する必要があります。
- ラベルやマーキングを適切に行い、必要書類を準備する
- 航空・海上・陸上輸送の違いを理解し、最適な輸送方法を選ぶ


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