輸出通関に伴うコンテナやLCLは、どのように手配すればいいのでしょうか? この記事では、コンテナの予約からコンテナピック、搬入、輸出許可の一覧の流れをご紹介していきます。
コンテナピック/LCLの予約から貨物搬入までの流れ
外国に貨物を輸送する方法は、次の2つがあります。
- FCL単位(コンテナ単位)
- LCL(コンテナ未満)
FCLは、20フィートや40フィートのコンテナを1本丸ごと使い輸送する方法。一方、LCLは、コンテナスペースを他の荷主の物と共同で運びます。また、貨物を荷詰する場所でも違いがあります。
- 自社倉庫バンニング(シッパーズパック)
- 他社バンニング(キャリアーズパック)
は、自社の倉庫又は工場で商品を積むことです。一方、他社バンニングとは、荷物を指定の保税地域に輸送し、貨物を詰めることです。一般的にコンテナは、シッパーズパック、LCLの場合は、キャリアーズパックが多いです。
以降、この記事では、コンテナ単位×シッパーズパックとLCL単位×キャリアーズパックで説明をしていきます。関連記事:FCLとLCLのメリット・デメリット
コンテナ単位×シッパーズパックの流れ
コンテナ単位×荷主の工場・倉庫で荷物を詰めて輸出する場合は、次の流れです。
- 輸出者または、通関業者が船を予約する
- 通関業者へ必要書類をファックスする
- バンプールから空コンテナを引き取る&バンニング
- 実入りのコンテナを搬入、輸出申告&許可
- 船積み完了&輸入者にシッピングアドバイスを送付
1.輸出者または、通関業者が船を予約
工場から商品を出荷できるタイミングに合わせて、コンテナを予約します。「○○港~○○港までの船を手配してほしい」と伝えます。依頼を受けた通関業者(海貨業者)は、船名や品目などの情報を基にして船を手配、あわせて関係者に通知をする。
関連記事:船の見積もり時に伝えるべき事項
船会社の動き
船の空き状況を確認して、荷主の予約内容に対する番号を発行します。これを「ブッキングナンバー」といいます。船会社は、このブッキングナンバーを荷主(通関業者含む)に伝えます。ブッキングナンバーは「船会社がその予約を受けつけた」ことを意味する物です。番号が発行された以降の問い合わせは「ブッキングナンバー」を通して行います。船会社とターミナル、そして荷主で情報を共有するときに必要です。
2.通関業者(フォワーダー)に必要書類をファックス。
輸出者は通関業者へ「インボイス」「パッキングリスト」「シッピングインストラクション」、その他、必要な資料をFAXします。1番の船の予約までを希望する場合は、その旨を伝えます。依頼を受けた通関業者は、バンプールから空のコンテナ等を引っ張るドレー会社を手配します。
CYオペレーターは、ブッキングリストや船積みの予約を確認でき次第、上記のドレー会社に「EIR」を発行します。ドレー会社は、このEIRを基にして、指定の空コンテナをピックアップします。
3.バンプールからコンテナを引き取る&バンニング
無事に空のコンテナが自社の敷地についたらバンニングをします。制限時間は、基本的に2時間。これ以上、時間がかかる場合は、待機料金等が発生します。最初から大量の時間をかけてバンニングをするときは「切り離し」を検討します。
切り離しとは、トラックの頭の部分とコンテナ部分を切り離して作業することです。このような方法をとり、無事に貨物の詰め込みが終ったら、通関業者へ連絡します。すべての作業が終わったら、コンテナにシールをして、コンテナ貨物搬入表を記載します。
コンテナ搬入票に記載する
バンニングが終わったら、コンテナ搬入票の記載をします。コンテナ搬入票は、各社から出ています。なお、記載内容は一文字一句間違えないようにします。何等かの間違いによる損失は、書類の記載者(荷主)が責任を負います。
バンニングの書類
1.インボイス、パッキングリスト
2.バンニング写真(任意:ただし税関検査の確立を下げる意味で重要)
3.リサイクル証明(中古の家電、バッテリー、モーターなど)*任意
4.抹消証明書(中古車などを輸出する際に必要)*任意
5.バンニングレポート(コンテナNO、シールNO、総重量、容積、輸出者名、バンニング場所名、貨物名)
関連記事:工場バンニング
4.実入りのコンテナをCYに搬入&輸出申告及び許可
自社バンニングの場合、コンテナ詰が終わった時点でシールをして輸出申告をします。その後、実入りのコンテナは、ヤードに運ばれて、ゲートでEIR OUTの情報と照合されます。ここで問題がなければ、コンテナの引き渡しが完了します。これ以降は、CYオペレーターの管理下に入ります。
- 輸出者が通関業者に貿易書類を送付(インボイス、パッキングリストなど)
- 通関業者は、輸出者が作成した書類を基にして、輸出申告書を作成
- 通関業者は、税関に輸出申告
- 税関は、輸出申告書に基づき審査をする。審査の結果、税関検査などあり。
- 審査が終了すると、輸出許可が発行される
荷主は、バンニング後、その場で輸出申告をします。その後、実入のコンテナをヤード(保税地域)に搬入して、税関の審査を受けます。税関は、輸出申告書の内容を確認しながら、許可、または検査の判断をします。もし、税関検査になった場合は、検査後に「輸出許可」をもらいます。
無事に審査が終わると、輸出許可となり、コンテナは、本船への積み込み待ちの状態になります。この状態を「本船のカット日」までに終えます。つまり、税関審査等の理由から、輸出許可がカット日に間に合わないときは、その時点で納期遅れが確定します。
流れ:輸出者→通関業者→税関→輸出許可
関連記事:バンニングをするべきタイミングとは?
通関で必要な書類例
輸出通関の詳しい情報は「知識ゼロからの輸出通関手続き」をご覧ください。
書類名 | 意味 |
輸出申告書 | 輸出する貨物に関する詳しい情報を書いた書類・通関業者に頼むときは不要です。 税関への申告は、自分で申告書を作成するマニュアル申告と「ナックス」と呼ばれる電子申告の2つがあります。もし、通関業者に依頼をする場合は、輸出申告書の作成は不要です。 |
インボイス | インボイスは、誰が誰に対して、何を、いくらで、どれだけ売ったのかを示す書類です。 |
パッキングリスト | パッキングリストは、一つのカートンに何個の小箱が入っていて、それが何個あるのかなど、梱包状況のみを書類でまとめたものです。 |
貨物の写真 | 少しでも税関検査を避けるためにも、できる限り貨物の写真等を添付するようにします。 |
5.船積み完了&輸入者にシッピングアドバイスを送付
輸出許可を得た貨物は、計画に従い、本船に載せられていきます。輸出者は、B/Lが発行されたら、シッピングアドバイスを含めた貿易書類の一式をPDF送信やFAX等で輸入者に送ります。その後、原本が必要な場合は、B/Lオリジナルや原産地証明書などをEMSなどの別便で送付して、輸出手配はすべて完了です。
以上がコンテナ輸送単位のお話です。次にLCL単位×キャリアーズパックを確認していきましょう!
LCL(コンテナ未満)×他社バンニング(キャリアーズパック)
なお、3は通関業者、4~7については、CFSのオペレータが管理しています。(輸出者は、指定の倉庫へ荷物を送ることまでです。)
1.船の手配をする。
コンテナ未満で輸出するときは「フォワーダー」と呼ばれる会社へ連絡をします。このときに伝える情報としては、次の物があります。
- 希望する本船名
- どこの港へ輸出するのか
- 日付
- 物量(何キロ? 何㎥?など)
- 貨物の中身、危険物に該当しないのか?
- 船賃はどちらが払うのか?など
2.貨物を指定の倉庫(CFS)へ送る
コンテナスペース(混載用スペース)の予約が完了したら、貨物をフォワーダー等が指定する倉庫(ヤード近くにあるCFS)に送ります。自社で手配するトラックでも良いですし、ヤマト運輸などで配送しても良いです。通常、倉庫には、たくさんの荷物が到着します。そのため、貨物を発送するときは、予約番号を記入して、誰の荷物であるのかを明らかにします。
搬入の際、CFSの担当者によって検数が行われます。ここから先は、船会社の管理下に置かれます。つまり、何らかの事故が発生した場合の責任の分岐点とも言えます。
3.輸出通関→許可
さまざまな会社から集められた貨物は、CFS内で仕向け地別や未通関などに分けられて、法定通りの輸出通関が行われます。このとき、貨物搬入明細書などが作成されます。無事に輸出許可を受けたら、貨物はコンテナ詰めされます。
4.バンニング(コンテナ詰め)
輸出許可が下りた貨物は、CFS内の担当者によって1本のコンテナの中にバンニングされていきます。(他の荷主の貨物と一緒に)このとき数のチェックをしながらCLPを作成していきます。バンニングが終了次第、コンテナは、CYに移動されて搬入されます。
あとは、コンテナヤードのオペレーション計画に従い、本船に貨物が積み込まれていきます。
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