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本船が到着することをお知らせするのが「アライバルノーティス」です。税関に対する輸入申告では、このアライバルノーティスも合わせて提出します。
アライバルノーティスには、オーシャンフレイト、コレクトやプリペイドという表示があります。このフレイト、コレクトやプリペイドの意味は、何でしょうか？
そこでこの記事では、フレイトコレクトとプリペイドの意味と、どちらを選択するべきかについて説明していきます。
- フレイトコレクト＝後払い。
- フレイトプリペイド＝先払い。
- フレイトプリペイドが一般的
- フレイトコレクトは、輸入者の意思確認が必要
フレイトコレクトとプリペイドの意味
フレイトプリペイド、コレクトとは、海上輸送代金を「前払いするのか？」それとも「後払いするのか？」を示しています。
- フレイトプリペイド→ 運賃を先払いする。（輸出国側での支払い）
- フレイトコレクト→ 運賃を後払いする。（輸入国側での支払い）
フレイトプリペイドは、海上輸送が行われる前に「先払い」で代金を支払うこと。一方、コレクトは、運送前は代金を支払わず、輸送が完了した時点で料金を支払うことです。それぞれの代金を支払うタイミングは、次の通りです。
- フレイトプリペイド（前払い）→運送契約締結時
- フレイトコレクト（後払い）→運送の完了時、揚げ地で貨物と引き換え
フレイトコレクトは、輸入者の意思確認が取れないと受け付けない！
一般的には、国際輸送では、フレイトプリペイドで代金を支払います。コレクトは、輸入地側の輸送代金が未回収になるリスクから、船社が嫌がる可能性が高いです。仮に受ける場合は、必ず輸入者が支払う確約を取ります。
ただし、韓国向けの輸送など、コレクトが一般的になっている場合もあります。
all prepaid、all charge collectとは？
「all prepaid」とは、輸出者がすべての輸送費を負担し、輸入者が追加の運賃を支払う必要がない状態を指します。 一方で 「all charge collect」 は、輸入者がすべての輸送費を負担するため、輸出者が運賃を支払わない形態です。つまり、「all charge collect」では、輸出者は輸送費を一切支払わず、輸入者が船賃や関連費用を負担します。
例えば、FOB（本船渡し）条件では、通常は輸入者が船賃を支払うため「collect」扱いとなります。しかし、特別な契約がある場合は、FOBでも「prepaid」になることがあります。
プリペイドとコレクトとインコタームズの関係
船の代金を先払いするのか？ それとも後払いするのか？ これは、貿易条件である「インコタームズ」と密接な関係があります。
インコタームズとコレクト、プリペイドの関係表
| インコタームズ（貿易条件） | 運賃の負担者 | 適用されるフレイトの種類 |
| EXW（工場渡し） | 輸入者 | Collect（後払い） |
| FOB（本船渡し） | 輸入者 | Collect（後払い） |
| CIF（運賃保険料込み） | 輸出者 | Prepaid（先払い） |
| C&F（運賃込み） | 輸出者 | Prepaid（先払い） |
例えば、FOBであれば、輸出者は、輸出港における本船に乗せるまでのお金を支払います。本船に乗せた後、外国から日本への輸送費用は輸入者側が支払います。もう一つ別の物に「CIF」などがあります。この場合、輸出者は、日本の港につけるまで船賃をすべて支払います。これら２つの特徴を比べると、次の通りです。
- FOB、EXWは、輸入者が船賃を支払う（後払い）→コレクト
- CIFなどは、輸出者が船賃を支払う（先払い）→プリペイド
FOBなのにprepaidになっている？その理由は..
もし、あなたが輸入者であり、輸出者との間でFOBで取引する場合は、アライバルノーティス内のオーシャンフレイトは「コレクト」です。逆に、輸出者との間で「C&F」や「CIF」など、輸出者側が日本までの海上運賃を支払うときは「プリペイド」です。
FOBなのにプリペイドになっていたり、C&Fであるにも関わらず「コレクト」になっていたりするときは、次の理由が考えられます。
- 特別契約
- 輸送上の理由
- 用語に対する誤解
輸送業者との特別契約やディスカウント
売り手が輸送業者と特別な契約を結んでおり、売り手が先に運賃を支払った方がコストが安くなる場合があります。この場合、売り手が一旦支払った後、買い手に請求することがあります。＝輸出者が運賃を支払ったほうがコストメリットがある場合、FOBでもPrepaidとなることがあります。
スムーズな輸送手配のため
買い手が運送手配を行う前に、売り手が事前に運送業者に支払うことで、出荷や通関手続きがスムーズに進むようにする場合もあります。この場合、売り手は一時的に運賃を「prepaid」として負担しています。
用語の誤解
「prepaid」という表現が誤って使用されている可能性もあります。実際には、船積み前の陸上輸送費用が「prepaid」されているだけで、FOBの本来の条件に従って、海上輸送費用は買い手負担となるケースもあります。
他、単なる人為的なミスなどが考えられます。記載ミスを発見したら、フォワーダー（代理店）に連絡をして訂正をしてもらいましょう！
CIF（運賃・保険料込み）なのにCollectになっている？
CIF（Cost, Insurance, and Freight）は、原則として輸出者が運賃を支払うため「Prepaid」になります。しかし、次のような理由で「Collect」になる場合があります。
CIF契約の誤解
CIFは「運賃込み」ですが、実際にはフォワーダーがCIFの船賃を分割して請求することがあり、一部を輸入者が負担するケースがあります。
追加料金の発生
CIF価格には基本的な海上運賃は含まれていても、ターミナルチャージ（THC）などの追加料金がCollectとして請求されることがあります。
記載ミス
契約ではCIFにもかかわらず、アライバルノーティス上で誤ってCollectと記載されている場合があります。輸出者やフォワーダーに確認しましょう。
フレイトプリペイド・コレクトの料金計算ツール
海上輸送の料金は様々な要素によって決まるため、事前にコストを試算できるツールを活用すると便利です。以下のツールを使うことで、フレイトプリペイドとコレクトのコストを比較しやすくなります。
おすすめのツール
世界の海上運賃計算サイト（例：Freightos）
輸出地と輸入地を入力するだけで、おおよその海上輸送コストを計算可能。
フォワーダー各社のオンライン見積もりサービス
DHL、UPS、FedExなどのサイトで、海上輸送料金の簡単な見積もりができる。
船の輸送代金が決まる要素とは？
船の輸送代金は、どのように決まるのでしょうか？ ポイントは、輸送航路、荷物の輸送量、定期的なブッキングの有無、荷主とフォワーダーとの力関係などがあります。
例えば、毎月50本近くコンテナを利用する荷主と、1本しか利用しない荷主の輸送料金が同じであるはずはありません。他の業界と同じように、大口、かつ、継続的に依頼するほど、荷主にとって有利な輸送代金が提示されます。これは経済的な仕組み上、当然です。しかし、これとは別に、輸送料金に影響を与えるポイントがあります。それがコンテナの需給バランスです。
例えば、日本と中国の間で考えてみましょう。どちらもかなりの物流があります。では、この物流を以下の２つに分けて考えてみます。
あなたは、この輸送ルートをご覧になり、どちらの方がより安い輸送料金だと思いますか？ 答えは「日本→中国」です。
- 中国→日本
- 日本→中国
中国→日本のドル箱路線
中国市場を見てみると、日本製品も販売されていますが、日本ほど、様々なシーンで日本製が流通しているわけではありません。つまり、日本と中国の市場を見比べると、圧倒的に日本市場に中国製品が流通しているのです。商品が流通するのは、それだけ日本へ輸送されてくる商品が多い＝船のスペースへの需要が高いことを意味します。
つまり、これは….
- 中国から日本は、多少、船賃が高くてもスペースが売れる。
- 日本から中国は、日本向けの航路よりも需要が少なく、料金を値下げしないと荷主が見つからない。
という状況にあることを示します。では、この需給バランスの崩壊と、フレイトコレクトとプリペイドには、どのように関係するのでしょうか？
結局、日本の輸入者が肩代わりしていることが多い。
フレイトコレクトは、輸入者側が船賃を支払うことです。一方、プリペイドは、輸出者側が船賃の支払います。では、外国にいる輸出者に対して、同じ航路を「フレイトプリペイド」と「フレイトコレクト」の場合で見積もりをしてもらうと、料金は、どれくらい変わるのでしょうか？
フレイトコレクトは、輸入者が日本側で運賃を支う仕組みです。そのため、仮にフレイトコレクトで見積もりをとれば、フレイトプリペイドからフレイト分を引いた価格と等しくなるはずです。少なくても計算上はです。次のような考え方です。
- フレイトプリペイドは、日本までの運賃が入っている価格
- フレイトコレクトは、日本までの運賃が入っていない価格
- フレイトプリペイドから、日本までの運賃を引けば、フレイトコレクトと同じになる
しかし、実際のところは、このような単純なことにはなりません。その秘密が輸出側のからくりにあります。今回は、一つの例として、中国と日本航路のことをご紹介します。貿易取引をする相手国によっては、もしかすると、上記のようなカラクリはないのかもしれません。
実は、中国にいるフォワーダーの多くは、日本航路を使う荷主を探しています。ただし、フォワーダーが多いため、少しでも契約を拡大するために、過当な値下げ競争をしています。もちろん、中国側で利益を削って値下げをしているわけですから、どこかで利益が必要です。その「どこか」が日本の輸入者です。
アライバルノーティスに記載されている物の中には、よくわかならない○○チャージがありませんか？
この中には、中国側で回収できない船賃を日本側の荷主から回収している物があります。しかも、フレイトとしてではなく、『よくわからないチャージ名』としてです。フレイトコレクトにしても、プリペイドにしても思うほどの料金差がうまれないのは、この輸出国側でのカラクリにあります。
日本側は、どれだけ不明瞭な料金がかかっても荷物を抑えられているため（支払わない限り、荷物をピックアップするためのD/Oを発行してくれない）どうしても払わざるを得ないのです。「タイトな納期で冷や汗をかいている輸入者の弱みを握る」これが彼らのやり方です。
よくある疑問
All charge collectの意味
フレイトコレクトの別称だと考えましょう！
フレートメモとは？
海上運賃の明細書と考えれば良いです。
海上輸送と航空輸送の比較をしたい！
【コンテナ】海上運賃の相場 内訳とサーチャージの調べ方を解説！
A/Nなどにコレクト表記の記載ミスがある場合は？
アライバルノーティスにコレクトやプリペイドの記載ミスがあるときは、輸出者側に伝えて、輸出者経由で訂正してもらいます。日本側から要求しても、船の輸送を頼んでいない人から扱い（輸出者手配）となり、時間がかかります。
一方、輸出者側から訂正の指示を出すと、依頼人からの依頼となり、迅速に訂正されることが多いです。
フレイトプリペイドなのに、何か請求が来ている！
海上運賃がプリペイドであると、輸入者側は、船賃（オーシャンフレイト）を支払う必要はありません。ただし、だからといって、アライバルノーティスに記載されているチャージがゼロになるわけではありません。
例えば、THC＝ターミナルハンドリングチャージなどがあります。これは、港においてコンテナを移動させるときに発生する料金ですが、このようなお金は、フレイトがプリペイドやコレクトに関わらず請求されます。
まとめ
- フレイトには、コレクトとプリペイドの２種類がある。
- コレクトとは、輸入者側が船賃を支払うこと
- プリペイドとは、輸出者側が船賃を支払っていること
- インボイスの関係から、コレクトとプリペイドの相関性が正しいのかをチェック
- フレイトがコレクト・プリペイドに関わらず、請求されるチャージはあります。
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