知っている人よりも、知らない人が多いのではないでしょうか。年々、認知度が高まってきているタイのOTOPをご紹介します。
タイの一村一品運動。タイ政府認定の品質で安心、安全。
OTOPとはタイ語で「One Tambon One Product」の略で、オートップと呼ばれています。タイを訪れた人なら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか? 日本語訳にすると「一村一品」運動で、日本の大分県の一村一品運動がモデルです。
2001年にタイ政府の主導で開始。タイ全土77県の特産品をOTOP製品として認知する地方創生プロジェクトです。もともと地方独自で製品化はしていましたが、品質はバラバラでした。そこで政府が品質の管理を行い、合格したものは政府公認のOTOP製品として採用されました。審査基準はかなり厳しいと聞きます。
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タイの社会問題の解決策として誕生しました。
80年代以降、タイは急激な経済成長を遂げてきていますが、その中心は首都バンコクです。世界各国の企業とともに、日本企業もバンコクや周辺の都市部に進出してきました。日本の製品が市場に増え、居酒屋やレストランがどんどんオープンしました。
しかし、この発展の裏では大きな社会問題が生じてきていたのです。都市部と地方の農村部との間では、収入格差が年々広がっていきました。この問題の解決策の一つとして、政府はOTOPを立ち上げたのです。OTOP製品を通して地方の自立と人材の育成に努め、地方経済の活性化を図ることが狙いです。その努力は着々と実を結び、現在は環境保護や伝統文化などを製品化したものも増え、OTOP製品は数万点にまで及んでいます。
認知度は高まっている。海外への輸出も増えている。
OTOP製品が、国内はもとより海外でも知れ渡るようになってきたのは、ひとえに政府と国民の努力と言えましょう。主力となるのは、国内でのイベントやデパート内でのフェアです。毎年各地で開催されており、その規模は年々大きくなってきています。イベント時には外国人審査員を交えての品評会を経て、海外への輸出へ繋げていくことにも力を入れています。
ある資料によると、03年のOTOPの売り上げ目標は200億バーツ。現在は遥かに目標額を超えているそうです。今後も売り上げの拡大は期待されますが、OTOP運動の目的はタイの成長と発展に貢献しつづけることであります。
私は、こんなカタチでOTOP製品と出会いました。
一度、セントラルデパート内をぶらぶらしていたとき
“タイのお菓子です。ひとつどうぞ”
タイの若い女性からもらいました。おいしかったですが、何気にフェアの看板を見ると「OTOP」とありました。買い付けで市場へ行くと、あるブースでは司会者がマイクを手に製品のアピールをしています。製品は雑貨か何か?垂れ幕を見ると「OTOP」の文字。人々もかなり集まっていました。
よく行くスーパーの陳列棚にも、OTOPのステッカーが貼られた食品やお菓子を目にする機会が増えてきました。ほとんど興味のなかった私でも、OTOPのお菓子を買いました。今の所、私とOTOPを繋ぐのはお菓子のみですが、今後も試してみようと思っている食品はいくつかあります。
製品の種類は豊富。スーパーなどで見たことがあるかも?
お菓子
タイのクッキー的なものやチョコレート、ドライフルーツなど種類は豊富です。
食材
乾物ものが多いような気がします。豚肉を乾燥させたもの、甘みのあるソーセージなど。
お茶
人気があるのは、チェンライ県のウーロン茶「チョイフォンティー」です。機会があれば、OTOPの甘いお菓子と一緒に味わいたいです。デッドストック効果のあるお茶も見かけます。
雑貨や陶器、工芸品
民族柄をモチーフにしたかわいい雑貨類は、とても充実しています。タイの伝統品、ベンジャロン焼きの陶器は人気です。
アクセサリー
一般的なものから、山岳民族風のものまで種類はいろいろあります。パラディアムセンターのB1Fに支店を持つシルバー店には、OTOP製品があります。
ファッション
染めたシャツやカラフルなブラウス類、手編みのバッグ、クロコダイルのバッグなど実にさまざまです。
コスメ品
ハーブ類は多いです。フェイス用、ボディ用クリームなどいろいろあります。
ヘルス商品
「PIYAMAS」というココナッツオイルは、お土産品として人気だそうです。サイアムパラゴンの「HEALTY」ブースに置かれています。
スーパーや百貨店、ネットなどで買えます。
OTOP製品はいろんな場所に置かれています。中でもセントラルエンバシーの4F「HERITAGE」内の製品は豪華です。タイ全土から壺や金銀の装飾品など高価な製品が集まっています。タイを代表するスーパーのビッグCなどには、スナック類や食材が豊富。チャトチャック市場やJJモールにも雑貨やハーブ類があります。
食材がメインのオートコー市場には、コラート県名産の豚肉を乾燥させた「ムーヨン」があります。ここは、お店によって試食品が置いてあるのがうれしいです。スワンナプーム国際空港内にも専門店があります。さらには、OTOPの専門のサイトにて購入が可能です。しかしながら、閉店した所もあります。BTS「プルンチット駅」近くのガード下に出来た専門店は売り場面積が広く、多くの観光客の来店が期待されていました。現在は、お店の前に屋台が建ち並んでいます。
参考サイト:→ http://www.thaitambon.com/
果たして、日本での認知度はどれぐらいあるのか?
2010年の段階で登録数が8万点を超え、海外へも輸出されているOTOP製品ですが、日本での関心や認知度はどうなのでしょうか?私のまわりでは知っている人は多いですが、OTOP製品を買い付けるような方はいません。同行したお客さんに
“OTOP製品はどうですか?”と尋ねたりもしますが
“なんですか、それ?”の答えが多いです。
試しに製品をお見せすると、スナック類はお土産にいいねと言われます。街中でよく目にする製品は雑貨、スナック類や食材、ハーブ類などお土産に最適なものが多いので、日本で売るとなるとどうか?と思います。日本のオークションサイトなどでOTOP製品を探しても、品数はまだまだ少ないです。出品者も単にOTOP製品とだけ明記しているのが多く、これではOTOPがどんなものかが全く伝わりません。日本ではあまり興味を持たれていないのが実情のような気がします。
日本では売っている人が少ないからこそ、チャンスでもある!?
私自身もそれなりにOTOP製品を見たりしましたが、一番のネックは“日本人は興味を持つのか?”でした。厳しいことを言えば、政府認定でも製品自体に魅力がなければ買わないと思います。
革バッグや装飾品など確かに質が良く売ってみたい商品はありますが、食材やスナック類は良くてもお土産でしょう。逆に考えれば、ライバルが少ないだけにチャンスです。OTOPをどうやって浸透させ、数ある製品の中から売れそうなものを見つけるかがキーになるでしょう。
市場以外に展示会や地方でしか見ることの出来ない、魅力的な製品もOTOPにはたくさんあります。仕入れがなかなか難しそうですが、日本人の心をつかむ製品は必ずあると思います。
まとめ
- OTOPはタイの一村一品運動。審査を経ると、政府認定の製品に採用される。
- 貧困など、国内の社会問題の解決策としてOTOPは誕生しました。
- 各種イベントなどで認知度は上がり、海外への輸出は増えている。
- スーパーや百貨店、専門店に製品は置かれている。ネットでも購入可能。
- 日本での認知度は低く、売っている人も少ない。それだから、チャンスと言える?!