国際的な配送サービスの「EMS(国際スピード郵便)」は、サービス対象地域であれば、遅くても5日以内には届けられます。配送できる物も書類から一般的な小包まで、最大30キロまで対応しています。
EMSを利用するときは、送付状(ラベル)を作成します。この送付状(ラベル)には、国内配送のように「何を?いくらの物を?どれだけ送るのか?」を記入します。ラベルの一部はインボイス(仕入れ書)や税関告知書の役目もあり、これを書くだけで、すべての書類ができあがります。ただし、送る先の国によっては、このラベルとは別にインボイスを用意します。
この記事では、インボイスを作成するために便利なツール「インボイスフォーマット」の使い方をご紹介していきます。
■この記事のポイント
- インボイスの有償・無償の違いは、商品代金を受け取るのか?で判断する。
- 発送先からお金を受け取る場合は、有償。受け取らない(プレゼント)は、無償
- 有償・無償に関わらず、貨物の価格を記載する(有償取引での価格)
- 無償の貨物(相手に送金をしない物)は、インボイス上にNo Commercial Value for Customs Purpose Onlyと記載した上で、有償取引での価格を記載すること
インボイスの作成 無料ダウンロード!
日本郵政は、海外に荷物を発送する人に役立つツールとして「インボイスフォーマット」を公開しています。発送元、発送先、商品情報等を順番に入力するだけで、EMSに添付するインボイスができます。フォーマットは無料。エクセル形式のため、誰でも簡単に使用できます。
まだEMSのラベルを手書きで書いている?オンラインシッピングツールの使い方を完全解説!
インボイスの役割
インボイスは、あなたと送り先の相手との間で、どのような取引をしているのか?を証明する書類です。EMSで発送する人は、インボイスの中に、商品の原産国、数量、価格等の情報を含めて作成し、これを荷物に添付します。
*基本的にインボイスの作成は不要です。発送先の国や品目等により、発送ラベルの他、別にインボイスを作成しなければらないときに関係するお話です。
インボイスは自分で作ることができる?
インボイスフォーマットを使わなくても、自身ですべて作成できます。ただし、インボイスには、記載するべき内容があるため、すべてを自作するのは大変です。
例えば、次の情報を記載する必要があります。
インボイスに記載するべき情報
- 差出人に関する情報(住所、電話番号、担当者名、郵便番号など)
- 受取人に関する情報(上と同じ)
- 発送する商品の情報(単価、数量、重さなど)
- 無償で送るのか、有償でおくるのか。
- 無償で送る場合の理由など
よって、手書きを含めて、インボイスを自作することはお勧めしません。インボイス作成ツールを使いましょう!
インボイスフォーマットの使い方
まずは、日本郵政のインボイスフォーマットのツールをダウンロードします。(すべて無料で使用可能)
インターネット上からエクセルファイルをダウンロードすると、下記の警告が表示されます。「編集を有効にする」ボタンを押して、保護ビューモードを解除します。
次に同様に、マクロの使用に関するボタンが表示されます。こちらもオンにします。これでインボイスフォーマットを使うための準備が完了しました。
基本的には「記載例」のタブを確認すれば、入力ができます。
インボイス作成の流れ
インボイスの作成は、7つの情報を順番に埋めていきます。
- ご依頼主
- お届け先
- 郵便物番号
- 支払い条件
- 備考欄
- 商品情報
1.ご依頼主
発送人(荷物を送る人)の住所、電話番号を記載します。日本の住所を英語にしたい場合は住所を英語にする方法をご覧ください。また、電話番号は、日本の国番号「81」番の後に、先頭の番号を除いたものを記入します。
例:03-1234-5678 → +81-3-1234-5678
発送情報のサンプル
2.お届け先
荷物の発送先の住所(受取人)を記載します。ここにも名前、住所、郵便番号、電話番号を記載します。なお、国名や都市名も記載しましょう。
3.郵便物番号
郵便物番号は、EMSなら、EMSラベルの「追跡番号」です。つまり、各配送ごとのラベルとインボイスを「紐づける」ために記載します。
郵便物番号のサンプル
4.支払い条件
ここは、個人使用で利用する場合は空欄でOKです。商用で利用する場合に記載します。
例えば、相手側と「輸入国側の諸税も負担する」条件で契約をしている場合は「DDP」を記載します。反対にあなたが輸入国側の諸税を負担しないなら「DPU」等を記載します。具体的な記載例は、次の通りです。
DPU AT 配送先 JPY○○円(下に記載の合計金額) INCOTERMS2020
支払い条件を変更する場合は、作成ツールの右下にある以下の部分も変更しましょう!
支払い条件のサンプル
5.備考欄(有償と無償の違い)
発送する商品は、有償なのか? それとも無償なのか?を指定します。なお、有償・無償の定義は、次の通りです。
- 有償→ 商業的な売買行為の取引
- 無償→ 非営利行為に基づく取引
誰かに無償で送った。あげた等
の意味ではなく、貨物その物が持つ価値を記載します。よって、有償、無償どちらの場合も価格の記載は必要(有償取引の価格)です。
例えば、一つ500円の価値がある物を…..
- 有償取引で送るなら→有償にチェックした上で価格を記載
- 無償取引×商品サンプル(無償)→ 無償>>商サンプルにチェックをした上で価格を記載
にレ点をいれます。無償であげたから、貨物の価格は0円でないです。有償、無償関わらず、貨物その物の価値はいくらなのか?が重要なのです。詳しくは、次の記事をご覧下さい。
国際郵便/EMSの金額は0円でもいい?N.C.Vがダメな理由
備考欄のサンプル
有償と無償が混在している場合の記載方法
送る商品の内、有償と無償が混在している場合は、次のように記載するといいと思います。(一つの参考事例)
インボイスの有償・無償を間違えた場合は?
金額が少額であれば、次回以降に正しく申告すればいいです。金額が大きい場合は、税関外郵便出張所か、日本郵便(EMSなら)に修正申告をする旨を伝えるといいです。
6.商品情報
最後に発送する品目を登録していきます。内容品の英語訳が分からないときは、内容品の英語訳を参考にします。リンク先には、衣類・装飾品、食品、日用品、電子機器・家電、おもちゃ・ゲーム・グッズ、化粧品、医薬品・衛生用品、書籍・書類、その他・補記等などの種類毎に細かく英訳があります。
左から内容品の名称、原産国、正味重量、数量、単価と入力します。一番右側にある合計金額は、自動入力です。ここのポイントは、品名に具体性を持たせることです。
例えば「お菓子」を考えてみましょう。お菓子といっても、ポテトチップ、クッキー等、様々な物がありますね!この場合は…
- お菓子と記載するのは間違い。
- ポテトチップスやクッキーと記載するのが正しい。
商品名に具体性を持たせることが大切です。また、正味重量には、箱等に入れていない状態の重量。単価の欄には、商品を取得したときの価格です。百円単位のざっくりな価格で大丈夫です。もし、何らかの中古品等、値段が不明な物を送るときは「商品の相場」を記載します。
商品情報の記載例
番号 | 記載内容の説明 |
1 | 具体的な内容品名を記載する。ダメな例:お菓子。良い例:青汁(Green Juice) *日本郵政の内容品英訳ページの一覧を参考にしましょう! |
2 | その商品が作られた国を書きます。商品パッケージ等で記載されている原産国の部分です。 例えば、日本のスーパーでベトナム産のお菓子を購入したなら、原産国はベトナムです。 |
3 | 正味重量とは、パッケージ(外箱)の重さを除いた数字です。 |
4 | 対象商品の数量を記載 |
5 | 商品の単価を入力。基本的に商品を購入したレシートに記載されている金額で良いです。 *よく間違えること →相手に無償であげるから金額をゼロにする。無償であっても、商品そのものの金額を記載すること。 |
6 | ここは自動入力です。ユニット単価と数量で自動計算 |
最後にインボイスの右上の日付欄の下にある数量やグロスウェイトなどの細かな情報を入力して完了です!すべての入力を終えたら、通常通り、エクセルの印刷画面を開きます。
もし、入力した情報を保存する場合は、エクセルの保存ボタンを押してください。これで差出人情報、受取人情報など、すべての情報を一括で保存できます。
まとめ
インボイスの作成を楽にしてくれる「インボイスフォーマット」をご紹介しました。マイクロソフトのエクセルを利用して作られているため、誰でも気楽に使うことができます。インボイスを作成するための適切なツールを求めている方は、ぜひお試しください。
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